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2005.11.17

索道入門5 ~索道の輸送能力 その2

○設計輸送能力は・・

理屈は理解いただけたと思うので、具体的な数字を説明しよう。

規制緩和の要請の中で、これまでに無かった形式のリフトも増えてきており、筆者の知識も追いついていないので、多少の勘違いや思い込みがあるかもしれないので、ご存知の方はどんどんコメントして欲しい。

・シングルリフト
最高速度2.5m/s、最小間隔5秒、輸送能力720人/時
ただし、この基準が決まった時代には、主流はペアリフトに移行しつつあったので、このフルスペックのリフトはほとんど見かけない。昔ながらのガラガラと音を立てて回るリフトでは、ほとんどが6秒間隔の600人/時だ。

・ペアリフト(固定循環式)
最高速度2.3m/s、最小間隔6秒、輸送能力1200人/時
前述のようにこのスペックで建設されたリフトは少ない。主流は最高速度が1.8ないしは2.0m/sの6秒間隔だ。ペアリフトが登場した当初では、1.6m/s・8秒間隔までしか認められなかったので、この場合は900人/時となる。この時代のペアリフトはかなり淘汰されているが、まだ一部では現役だ。

・トリプルリフト(固定循環式)
最高速度1.8 2.0m/s、最小間隔7秒 6秒、輸送能力1542 1800人/時
乗場にローディングカーペットを併用する事で、発車間隔の短縮は可能だと思われるが、実際に行なわれいるかどうか不明。 法令の改正に伴い国内登場時よりも制限値が緩和された。

・クワッドリフト(固定循環式)
最高速度?、最小間隔8秒、輸送能力1800人/時
クワッドといえば自動循環式の高速リフトというイメージが強いが、固定循環式もある。最高速度はわからなかった。ローディングカーペット併用が主流で、この場合は7秒間隔、輸送能力2056人/時となるようだ。公式サイトで2100人/時をうたうスキー場があるが、発車間隔が6.8秒なのか、2056人/時を四捨五入しているのか不明。どなかた真相を教えて欲しい。

・高速ペアリフト(自動循環式=デタッチャブル)
最高速度4.0m/s、最小間隔6秒、輸送能力1200人/時
たぶん最高速度は5.0m/sでも認可されると思うが、筆者の知っている限りでは4.0m/s。速度を上げても輸送力は変らないが、搬器台数は減らせる。自動循環式の場合、速度が上がると加速・減速押送装置(搬器をロープ速度と同調/減速する装置)を変える必要があるので、固定循環式のように搬器台数が少ないから安いとならないのが、スキー場経営者としては難しいところ。

・高速トリプルリフト(自動循環式=デタッチャブル)
最高速度4.0m/s、最小間隔6秒、輸送能力1800人/時
たぶん最高速度は5.0m/sでも認可されると思うが、筆者の知っている限りでは4.0m/s。日本のデタッチャブルリフト&トリプルリフトの歴史は、この形式の誕生で始まったが、今ではデタッチャブルはクワッドが主流で、トリプルでは固定循環式が主流なので、影の薄い存在になりつつある。

・高速クワッドリフト(自動循環式=デタッチャブル)
最高速度5.0m/s、最小間隔6秒、輸送能力2400人/時
日本のスキー場でリフトの主役。主流はペアリフトだが、スキーヤーに人気があるのは、こっちだ。たいていのリフトは、認可される限度いっぱいの輸送能力で作られるが、人気のクワッドを安く作るために、輸送能力を低くして作られたリフトもある。搬器台数を減らし、発車間隔を開ければ、クワッドながら時間当たり1800人しか運べない事もあるわけで、これは実在する。
ゲレンデキャパや入り込み実績から2400人/時の輸送力が不要な場合、高速トリプルよりも輸送力を落とした高速クワッドを架ける方が投資金額は大差なくイメージアップが図れるわけだ。
この場合、将来の輸送力増強の可能性を考え、モーター出力とロープ仕様は2400人/時対応にしておいて搬器台数だけ減らす場合と増強は考えず出力やロープ仕様も低くする対応が考えられるが、実際どうなっているかは、メーカーとスキー場運営会社しか判らない。
なお、高速クワッドの認可を取るために、高速トリプルながらクワッド仕様の機械としトリプルの搬器で認可を受け、一時的にクワッドの搬器を付けて試験を行なったリフトがあった。また、開発認可の関係で高速ペアとして竣工したクワッドリフトもあった。
クワッドの登場当初は、最高速度4.0m/sだったが、輸送力は変らない。技術的には早い時期に5.0m/s対応仕様の機械が登場、実用化に向けて試験されたが運輸省(当時)の認可がなかなか下りず、長らく4.0m/sで使われていた例もある。この場合も、発車間隔規制装置の調整も行なって5.0m/s化にあたっては搬器台数を調整し、輸送力は不変だった。
クワッドに限らずフード付きの搬器があるのもデタッチャブルリフトの特徴だ。当初からフード付き仕様で設計していれば、フードを取り付けることで輸送力が変る事はないが、フードはかなり重いので、フード付き仕様になっていないリフトにフードを付けると、輸送力を落とさないと、出力やロープ強度などの問題が発生する。
 高速リフトでは、停留場では搬器はロープから外れるので、発車間隔が自由に設定できそうだが、筆者の知る限りではシステムを単純化するために場内押送チェーンの搬器を押す爪の間隔で出発間隔を規正しているので、自由に設定は出来ず、基本的には6秒の倍数での調整しかできない。

・高速6人乗りリフト(自動循環式=デタッチャブル)
最高速度?、最小間隔6秒、輸送能力3600人/時
欧州には8人乗りリフトまであるらしいが、日本では5人乗り以上は、6人乗りが1本あるのみ。乗場は並列に2つあり、交互に出発する事で6秒間隔、3600人/時輸送を実現する仕様になっているが、筆者の訪問時にはこのシステムは使われていなかった。
国内の索道では、これが最大の輸送力を誇る。

・4人乗りゴンドラ
最高速度4.0m/s、最小間隔12秒、輸送能力1200人/時
リフトよりもゴンドラの方が輸送力が大きいと誤解している人も多いようだが、発車間隔が大きいので、実はリフトと大差ない。特に、ゴンドラ(単線自動循環式普通索道)が認可された当時は、4人乗りで16秒間隔だったので輸送能力は900人/時、今でもこのスペックで現役のゴンドラがある。これだと最高スペックのシングルリフトと大差ないのだ。
なお、速度については4人乗りでは4.0m/sまでの実績しかないだけで、法的な規制で抑えられているわけではない。

・6人乗りゴンドラ
最高速度5.0m/s、最小間隔12秒、輸送能力1800人/時
最高速度は実績での最高であって、安全索道のサイトでは6.0m/sも可能である事が明記されている。

・8人乗りゴンドラ
最高速度6.0m/s、最小間隔12秒、輸送能力2400人/時
8人乗りであっても、この通りクワッドの輸送力と同じ。以前の法令上の規定では、ゴンドラの発車間隔は、12秒ないしは(搬器定員×1.5)秒の長いほうという制限だったので、これを遵守する限りは2400人/時よりも輸送力の大きなゴンドラは出来ない。つまり、搬器定員を増やしても輸送能力はアップしない。実際条件として、全員着席のゴンドラでは(搬器定員×1.5)秒という規定は妥当なものだと思う。
クワッドと同じで、輸送能力が2400人/時必要ない場合でも、8人乗りにしておいて搬器台数を減らすほうが有利な面が考えられ、輸送能力がもっと低いゴンドラも存在する。

・立乗りゴンドラ
最高速度5.0m/s、
 10人乗り 最小間隔15秒、輸送能力2400人/時
 12人乗り 最小間隔13.5秒、輸送能力3200人/時
 15人乗り 最小間隔16.5秒、輸送能力3272人/時
国内には4基しかないのでまとめてみた。15人乗りなど輸送力が大きそうだが、実は6人乗りリフトには負けるのだ。最高速度は6.0m/sまで対応できるはずで、事実、安全索道のサイトには明記されている。

次回は、交走式の輸送力を検証してみよう。

2005年11月17日執筆

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コメント

えーっと、高速クワッドにだまされていた方です。
岐阜の高鷲スノーパークに15人乗りゴンドラがあるそうですが(行った事がないです)、あれも何かカラクリがあるんでしょうか?なんとなく安全なの?十分に捌ける能力があるの?とイメージがあまり良くなくダイナランドに脚が向いてしまします。

投稿: CSSSB | 2005.11.19 22:43

CSSSBさん、コメントありがとうございます。

設計上の輸送能力を2400人/時よりも落としている高速クワッドはそれほど多くないですが、デタッチャブルのくせに減速運行しているのは時々見かけますね。減速運行をする事で、搬器間隔を開けて、降り場で転んだ人の逃げる時間を稼いでいるのでしょう。

あと、非営業時間は車庫線に収納しているクワッドでは、出場させる搬器を半分にして12秒間隔で運転している事があります。これで営業を始めると、途中で搬器を増やせないので、需要予測が外れると混雑が解消できません。

とにかく前の搬器との間隔を測ることで、何人輸送しているか分かりますよ。

高鷲スノーパークのゴンドラは、定員15名の立乗りで、16.5秒間隔ですから、乗降に不安はないと思いますよ。私は平日に乗ったのでガラガラでしたが。このスキー場は、ダイナが拡張用として考えていた土地を鷲ヶ岳が奪って作ったスキー場で、たぶん地権者は両社からの接待合戦でいい思いをしているはずです。

本当はダイナのリフト券で滑れるはずのエリアだと思うと口惜しいですが、高鷲のほうが滑り応えがありますね。

投稿: こぶ | 2005.11.20 02:57

どことは言いませんが搬器の間隔が以上に長いところがあります。


>土地を鷲ヶ岳が奪って作ったスキー場
そんな経緯があったんですね。両山共通券があればと思いますが、難しいですね。
高鷲のほうが滑り応えがありますか。今年は滑りに行きたいですね。

投稿: CSSSB | 2005.11.20 08:05

搬器の間隔が以上に開いているクワッドは、搬器を半分しか出していない可能性が高いです。先行する搬器が支柱を通過する瞬間から自分が乗った搬器がその支柱に到達する時間を計れば、発車間隔が判ります。あとクワッドの場合は、場内押送チェーンの爪の間隔で発車規正を行なっている場合が多いですから、停留場機械が見えているクワッドの場合は、押送チェーンに遊んでいる爪があるかどうかで見分けられます。今度こういうシーンに出くわしたら写真を撮っておきますね。ただ、こういう場合は空いている事が多いので、立ち止まって写真が撮り難いのですよねぇ。

ダイナが現在の高鷲SPのエリアに拡張の計画を持っていたことは、高鷲がオープンする前の「スキーマップル」のダイナのページで簡単に触れていました。例えば1995年の「スキーマップル」では“現況は将来計画の3分の1であるということからも”と書かれてます。高鷲のエリアは長良川の源流部であるだけに自然保護の観点からの反対運動もあり、開発への着手がなかなかできなかった事なども開発者が変わった原因の一つなのかもしれません。こういう経緯がありますから、共通券は難しいですね。鷲ヶ岳とWPたかすも共通券が欲しいのですが、こちらもなにかしがらみがあるのかもしれません。・・・こっちは情報を持ち合わせません。

投稿: こぶ | 2005.11.20 13:04

シングルリフトの最高速って、2.5m/sもあるんですか。
以前スキーマップル全国版でやたらに詳しく索道知識のページがありましたが、シングルは1.8~2.0m/s、ペアが2.0~2.3m/sとの解説があったような記憶があります。
もっともシングルが2.5m/sで運行されたら、前後左右に揺れまくって振り落とされそうですが。(笑)

6人乗りチェアリフトに乗りたいが為に芸北国際(現・パインリッジリゾーツ芸北)に行ったことがありますが、平日に行ったので最大5人同時乗車までしか経験していないです。(笑)
リフトが下りから上りに反転する位置で乗車するのは変わった感じでしたが、イタリアのクールマイユールにも同じような進行方向に対して直角に侵入するリフトがありました。
8人乗りチェアリフトって、フランスのアルプデュエズにあるそうですが、ここのスキー場には荷物運搬用みたいな柵型のゴンドラもあるそうでユニークです。

ゴンドラではシャモニーのグランモンテに16人乗りがありましたが、海外の他のスキー場には20人乗りとか28人乗りとかバケモノゴンドラもあるそうなので、一度乗ってみたいものです。

シャモニーの各スキー場のコースガイドには、リフトの索道距離すら書いていなくて、私としてはかなり不満でした。
アバウトそうな国民性のイタリアの方が意外とその点は細かく書かれていて、クールマイユールなんかコースマップもリフト改札もキチキチしていて日本的でした。(笑)

いきなりの長文で失礼しました。
またここにも遊びに来ますので、宜しくお願いします。

投稿: ヤックル | 2005.11.25 00:27

ヤックルさん、コメントありがとうございます。
本数は少ないですが、2.5m/sのシングルリフトは確かにありますよ。昭和50年代後半以降の建設で、上級者コース専用のシングルリフトだとその可能性が高いです。
トマムの第8リフトが好例です。

1986年までの法令では、シングル1.8m/s・ペア1.6m/s以下で、それ以上の速度は特別認可でした。1986年の法令改正で、それまで特別認可の認可基準を正式に法令に組み込み、シングル2.5m/s・ペア2.3m/s以下となり、現在では法令上は速度規定がなくなりましたが、国交省内部の許可基準としては生きているようです。
シングル1.8m/s・ペア1.6m/s以上の速度の場合は、減速運転装置が義務付けられているために、電気品が高くなるために、予算の都合でシングルを選択したようなケースでは、新しくても1.8m/sという例が見られます。一方、ペアでは1.6m/sではあまりにも遅いので、かなりの割合で減速運転装置を採用し、想定するスキーヤーのレベルに合わせて最高速度を設定するケースが多いですが、現場の意向を無視して予算の関係で2.3m/sを採用したような例もあるようです。

ヨーロッパで見られる20人乗りとかの大型ゴンドラは、日本で言う複線自動循環式やフニテルのようですね。複線自動循環式は運輸省の理解不足と前例主義で国内では低性能に押さえられていましたが、ヨーロッパでフニテルが台頭した事より、国内のメーカーはフニテルの導入に心血を注ぎ、ようやく導入が始まってます。国内のスキー場では、蔵王ロープウェイ山頂線(18人乗り)、谷川岳ロープウェイ(今年から22人乗り)で登場してます。どうも本来は立席ありでもっと大勢乗れる搬器を着席のみで使っているようで、かなり余裕があるようです。

投稿: こぶ | 2005.11.25 12:31

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