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2006.03.02

御荘湾ロープウェイ ~この3月で消える現存唯一の純国産ゴンドラ

MISHOUWAN01

御荘湾ロープウェイ
事業者名:愛媛県
施設名:南予レクリエーション都市公園(御荘公園)
公式サイト:http://www.insnet.ne.jp/hp/nanreku/misyoukouenn.htm
所在地:愛媛県南宇和郡愛南町御荘平城
キロ程:1566.37m
支柱基数:11基
高低差:155.20m
最急勾配:24度7分
輸送能力:900人/時
搬器台数:72台
速度:3.5m/s
回転方向:時計
動力:電気 110kw
許可年月日:1977年1月27日
運輸開始年月日:1977年8月10日
建設年:1977年7月
種別:普通索道
方式:単線自動循環式
搬器定員:4人
山麓:不明
山頂:不明
索道メーカー:日本ケーブル
鋼索メーカー:不明

観察日:2000年5月4日

2月28日付の愛媛新聞に御荘湾ロープウェイ廃止の記事が載ったためか、キーワードを「御荘湾ロープウェイ」として検索、本ブログに来られる方が増えたようなので、この冬の北海道ツアーレポートを中断して、御荘湾ロープウェイを取り上げよう。

この御荘湾ロープウェイは、愛媛県が計画した南予レクリエーション都市公園の一環として架設された普通索道だ。ロープウェイという名称ながら、実際は「ゴンドラ(リフト)」という呼び名の方が一般的な単線自動循環式である。

世界最初の単線自動循環式は、1927年に安全索道が三重県に架設した「矢ノ川峠旅客索道」であるが、これは索道発達途上の過渡期の製品で、この方式は国内においても世界的にも安全性の面からしばらくは顧みられなかった。その後、技術発達を受けて欧州で研究が進み、国内では1973年に安全索道が仏国ポマガルスキー社の機械を輸入して、五竜とおみスキー場(現 白馬五竜)に戦後の第一号となる五竜テレキャビンを架設した。のちに同社は、技術提携によりポマガルスキー社のゴンドラの国内生産を開始し、現在に至っている。

一方、日本ケーブルでは純国産技術による単線自動循環式普通索道の製品開発を目指し、五竜テレキャビンと同じ1973年に北海道横津岳で架設したが、施主側の諸般の事情により営業を断念している。その日本ケーブルの第二号機・・・営業機としては第一号となるのが、この御荘湾ロープウェイである。同社では、78年に第三号機となる札幌国際スカイキャビンを建設したが、その後は他の国内メーカーと同様に欧州メーカーとの技術提携路線に方針を転換し、オーストリア・ドッペルマイヤー社のシステムを導入したため、純国産ゴンドラは実質的に2路線。札幌国際スカイキャビンは1989年に現行の8人乗りに架け替えられたため、現在ではここが唯一の純国産ゴンドラとなっている。

つまり、国内索道技術史において、注目すべき設備なのだ。

また、海中に支柱を持つ、海上ゴンドラというロケーションも国内唯一と思われる。

ということで、筆者は以前から行きたいと思ってはいたが、四国で最も不便な地域の一つである南伊予にあるために、なかなか行くチャンスに恵まれなかった。2000年のGWに、宇和島と高知で行きたいイベントが開催されたのを好機に、宇和島~御荘湾~高知という計画を立てた。宇和島を朝出て、快調ながらも長いドライブの末に飛び込んできたのがこの看板だ。(実はこのあと、高知までの方が遠いし、道は混んでいて大変だった)

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ゴンドラの搬器を使った看板は、白馬山麓の岩岳でも見たが、あちらは明らかに模造品。しかし、これは必要以上に精巧に出来ている。本物ではないかと疑って、見れば見るほど本物に見える。

MISHOUWAN06その結果発見したのが、この銘板だ。看板用の模造品で、ここまで再現する必要はないだろう。余剰・・・あるいは故障搬器の転用だと思われる。代替搬器が作られたかどうかが気になるが、自動循環式索道の搬器は、多少の余裕があるのが通例なので、代替は無かったのかもしれない。そうなると上述のスペックにある搬器台数は間違っている事になる。

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これが山麓停留場だ。簡素な建物だが、スキー場のゴンドラにはもっと安っぽい、鋼板張りも多いので、それよりは建物らしい。停留場を出るとすぐ海で、トップ画像のように何本かの支柱が海中に建つ。ただ、非常に浅い海で、干潮時には限りなく干潟に近いような状態になるようだ。

山頂停留場の横には、回転展望塔があり、タワーを真ん中にしたドーナツ型の展望室が、回転しながら上昇する。これも日本ケーブルの製品だ。こちらも今後が心配だ。

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話を本題に戻そう。時代を感じる仕様の掲示。

MISHOUWAN04こちらは停留場機械に取り付けられていた銘板だ。日本ケーブルでは、単線自動循環式普通索道の商品名をゴンデルバーンとしていたようだ。前述の札幌国際スカイキャビンも資料によっては朝里岳ゴンデルバーンという名称になっている。

さて、廃止の話。1980年度の年間約74000人の利用をピークに、99年以降は1万人台の利用(2004年度は約11000人)に落ち込んでいるために、愛媛県ではこの3月31日を最後に営業を廃止するそうだ。これを記念して3月21~31日の間、次のイベントが企画されている。

○往復料金を100円(大人・子供共)
○先着1000人に木製の乗車記念切符贈呈
○スピードくじ実施(商品は「ホテルサンパール」の宿泊券など)
○山麓駅に記念撮影用のゴンドラを設置

3月31日は、稚内と南予という日本の南北でロープウェイ・ゴンドラが最終日を迎えるわけだ。合掌

執筆日:2006年3月2日

3月28日付け四国新聞記事によれば、27日14時40分ごろ、山頂駅の場内レールで搬器が脱輪したため全線で一時運転を止め、脱輪した搬器を取り除くまで30分ほど宙吊りになったそうです。どうも後続の搬器が停止した搬器に当たり、せり上げるような形になったので脱輪したようです。試運転中の事ではありますが、同様のトラブルは筆者も見たことがあり、場内でのトラブルは自動循環式の泣き所ですね。場内で脱輪すると人手で持ち上げるしかないため、たぶん人を集めるのに時間がかかったのでしょう。安全上の問題は小さい事故ながら、事故に遭遇された方は不安だったでしょう。お見舞い申し上げます。あと僅かですから、トラブルなく最後の日を迎えて欲しいですね。
3月28日追記

28日には4号支柱で脱検が誤作動し、約1時間停止。29日に運休して点検した結果、30・31日も運休をする事になりました。結局、無事に最後の日を迎えられなかった事になります。ああ~
3月31日追記

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コメント

あぁ・・・ここも稚内と同じで山麓駅で、搬器を見ただけで乗車していません・・・。純国産最後ですか・・・。知っていれば必ず乗っていたのに。去年の3月31日は岐阜市内線を始め多くの鉄道線が消えましたが、今年は索道でしょうか。見落としていたとは言え残念。しかし、御荘湾ロープウェイはいずれ廃止の話しは知っていましたが、報が急ですね。

投稿: CSSSB | 2006.03.02 01:31

CSSSBさん、コメントありがとうございます。
ここまで行かれながら乗らなかったとはもったいなかったですね。しかし、行った事があるというだけでも貴重な経験かもしれません。
今年度いっぱいの廃止は、すでに既定の方針だったわけですから、躍起になって広報していなかったのでしょうね。そういえば、北海道ちほく高原鉄道も廃止の予告が全然なかったです。

投稿: こぶ | 2006.03.02 12:09

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