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2006.06.28

ほたか牧場で搬器落下事故~事故続報を見て

この事故については先日も書いたが、サスペンダーの破損による搬器落下という、いささかショッキングな内容なわりに関心を寄せるマスコミが少なく、なかなか全貌がつかめない。その中で、さすがに地元紙である上毛新聞は連日続報を掲載している。(昨日はこちら、今日はこちら。ただし、同紙のサイトでは、記事は1週間しか保存されないので、読むのはお早めに)また28日のNHK-TV「おはよう日本」の関東ローカルでも続報が放送されたそうだ。

リフトのニュースとなると、いささか用語の使い方に混乱が見られ、サスペンダーを「支柱」、原動/終端滑車を「回転盤」を表現するなど意味を汲み取るのに悩んだが、概ね状況が見えてきた。

27日付上毛新聞記事によれば、

・落下したリフトの寸断された部分には何かでこすれた傷が多数ある
・別のリフトにも同じ場所に同様の傷がある

という事であり、磨耗ないしは傷からの腐食によりサスペンダーが破損したものと推定される。さらに28日付上毛新聞記事には、

今村徹・関東運輸局専門官は、支柱の折れた部分に付いていた傷を、リフトが折り返す際に回転盤と接触してできたものと断定した。

回転盤にリフトの支柱部分が触れているのを目視で確認した。

と書かれており、原動/終端滑車の一部がサスペンダーと接触することで、破断の原因となった傷が発生した事が判明している。

近年のリフトでは、サスペンダーと握索機を接合する部分の上部にゴムやナイロン製の振れ止めが付き、これが原動/終端滑車の振れ止めガイドに当り動揺を抑える構造になっている。この構造は東京索道であっても例外ではない。下の画像の矢印が振れ止めだ。

01

そして、この下の画像が実際に搬器が終端滑車を回る様子だ。振れ止めがガイドと密着しているのに対し、滑車下側の振れ止めとサスペンダーは接触していない様子が見て取れる。(矢印部)
つまりこの状態では、今回のリフトに見られたようなサスペンダーの傷はつかない。

02

滑車を回る際に搬器は遠心力で外側に振れるため、通常は上部を押さえていれば十分で、この画像のように通常は内側にある振れ止めには接触しない。したがって、原動/終端滑車の下部振れ止めが搬器サスペンダーと接触していた理由が事故原因と考えられる。

聞くところによると、NHK「おはよう日本」では、滑車のゴムライナーの劣化・肉痩せが接触の理由ではないかと伝えていたそうだ。かなり放置していないとそこまでの状況にならないと考えられ、これが正しいなら事業者の管理責任が問われそうだ。

執筆日:2006年6月28日


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コメント

東索は謝罪しているのでしょうかね~。

内容によっては、謝罪する必要もないですけどね・・・・。

東索の現在の製品のほとんどの滑車がこのようになっているのではないでしょうかね~。

他でもこのような事件がないといいですけど・・・。

日ケ、安索の滑車はこのような形ではないですよね。

太平、三菱重工、川鉄はどうなのでしょうか?

投稿: 索道趣味 | 2006.06.29 20:49

索道趣味さん、コメントありがとうございます。

私は関係者でありませんから、東京索道が謝ったかどうか知りませんし、関心もありません。
私の書き方が悪かったのかもしれませんが、画像を見れば判るとおり、現時点では東京索道の設計に問題は見当たりませんので、個人的には謝罪の必要があるとは思えません。ただ、一部報道にはメーカーへ定期点検を依頼していたとありましたので、これが事実なら、メーカーとしてではなく、点検作業の外注先としての責任は当然あると思います。

さて、何らかの原因で内側に大きく揺れることを防止しませんと、原動/終端滑車からロープが外れる要因にもなりかねませんから振れ止めは必要であり、形状に違いはあっても、各メーカーとも滑車下部の振れ止めは付いてます。
日ケ・安索ではサスペンダーの握索機直下で振れ止めガイドに当るような構造になってますので目立ちませんが、これまでの記事で終端装置を比較的大写しにした画像を見てもらえれば、滑車の下側のツバの部分が必要以上に張り出しており、触れるとサスペンダーがあたる構造であるのは判ると思います。太平、三菱、川鉄では比較的東索と似てます。

現在の索道事業は、事業者は日常の保守点検を行う技量があり、適切な管理が行うことが出来るという前提で事業許可が与えられていますので、比較的新しいとはいえ10年以上も運営してきた索道でメーカー責任を問うような事を言い出せば、運営会社自身が自らの管理能力を否定する事になってしまいますので、仮にメーカーの責任を追及するとしても部分的なものに留まるでしょう。

先日のシンドラー社のエレベーター事故を見ても、どうもメーカー責任に転嫁してしまい、管理責任から逃れようとする管理者や監督官庁が目立ち情けないです。世論も内容を理解せずに「とにかく謝れ」で、こんな世論では同じような事故がまた起きると思い危機感を覚えます。あの事故以来、マスコミもシンドラー社のエレベータが事故を起こせば、利用者の有責事故でも大きく扱い、他社製品の事故は小さく扱う傾向がありました。考えすぎかもしれませんが、どうも複合的な要因の事故をメーカーの責任になすりつけることで問題点を矮小化しようする力が働いているように見えます。シンドラー社のやり方を支持するわけではなく、あれは下手だったとは思いますが、被害者とは無関係な人まで「謝らないのは酷い」などと憤慨しているのをみると「なんか違うなぁ」と思ってしまいますね。

投稿: こぶ | 2006.06.29 21:44

やっぱり、東索以外のリフトにもありましたね。

日ケのシングルリフトの石打丸山スキー場中央チロルリフトの降り場には大きい、このような振れ止めがあります。

川鉄の製品にも結構ありましたね。

投稿: 索道趣味 | 2006.06.30 06:15

どうもお久しぶりです>こぶさん

さて今回の武尊牧場のサスペンダー破断の件は、あたかも「初めての事故」のような報道をされていますが、02年1月に関西の某スキー場でも同様な位置での破断が目撃されています。
幸い怪我がなかった(乗車直後の雪の上への落下)ためか、運輸局等への事故報告もなされておらず、結果として「なかったこと」にされているようです(苦笑)

残念ながら今回は共同通信社や国内新聞各社からコメントを求める電話がなかったため、「何処のスキー場でも整備や確認が疎かなら、発生の可能性がある事故」という見解を発表できなかったので、ここに書き込みさせて頂きます。

#おんたけロープウェーの事故時は取材時にその内在する危険性を広く周知できたのですが。

投稿: ぐでん2 | 2006.06.30 13:19

ぐでん2さん、こちらこそご無沙汰してます。

初耳の事故でしたが、前例がありましたか!
警察や運輸局の現場検証でサスペンダーの接触が確認されたそうですから、係員が気が付いていなかったとは考えにくく、その結果がもたらす危険性への認識が欠けていたのでしょうね。事故リフトの画像を見る限りでは、夏山用としてロープ高を変更しており、夏山営業の前に搬器を点検する機会があったわけですから、索道事業者としての意識の問題がありそうです。さらに突き詰めていくと、事業として成立していたのかという問題にもなりそうですが。

これがスキー場に払う金は安ければよいという風潮への警告にならないのでしょうね。

まあ、儲かっている時代にも、安全への認識が低い事業者もあったわけですからなんともいえませんけど。

投稿: こぶ | 2006.06.30 18:51

「安全」、非常にないがしろにされている言葉ですね(苦笑)

その辺のユーザ視点の資料もありますので、上記HNのメール宛にご住所連絡くださいな>こぶさん

それと、今後予想されそうな事故としては
「腐食によるサスペンダ破断」
「支柱倒壊(屈曲)による脱索」
があります。

特に4年ほど前にHスキー場であった「雨水による支柱(Hスキー場の場合は亜鉛メッキどぶ漬け)への浸水とその凍結」に、昨今多くのスキー場で見られる「溶接箇所等の錆び腐食(茶色に塗装された支柱に多い)」が重なり合うと、十分に支柱の倒壊も考えられます。

当然の事ながら、業界の内部からその危険性に関しては声高々に訴えていますが、、、、無反応です(苦笑)

ということで、そろそろこぶさんかるなてっく辺りに「行ってはいけないスキー場リスト」でも作ってもらわなければならない時代となりました<残念な事ながら

ではまた。

投稿: ぐでん2 | 2006.06.30 20:46

本件ですが、各メーカー共整備がおろそかなところへは、整備するよう、訪問や文書で催促入れてます。これは製造物責任を取られないようにと、事業者の技術は低いところが多く、万一の事故のときはメーカーもとばっちりを受けるからです。T社も再三申しいれてましたが、整備や修理がされなかったので、実際はホタカがTを損害賠償で民事告訴しましたが、当然負けました。

ちなみに内側の振れ止めには高圧強力ゴムホースが巻いてありますが定期交換しないとボロボロになり、取り付け台の枠の鉄に搬器サスペンダー(ハンガー)が直接当たり、長い間に衝撃でサスペンダーに金属疲労が入りクラックから切断へつながります。

特に山頂が顕著ですね。降りる人が振るので傾いて山頂折り返し滑車に入っていくためです。振れ止めゴムの痛みは山頂が早いです。

あと1月5日夜ナイター時、富良野スキー場のN社クワッドが搬器衝突しましたね。自動循環で握索機が支索を噛まないで出発し上り急勾配で後ろへ突っ走り後続搬器に衝突し弾みで支柱か索受に激突して脱索したものでたまたま乗客がいなかったのが幸いだったようです。下手すれば死亡事故ですから。

単線自動循環方式の根幹を揺るがす重大インシデント(今運輸局はこう言う)なので裏では(N社、局、プリンス本社)大騒ぎでしょうね。
そもそも安全装置(半つかみ検出/不完全握索検出)が働かなかったのですからね…

良くあるのは誤作動でリフト停止が面倒で少しずつクリアランスを広げていく事や永年でボルトだって緩んだりずれたりするのに定期的に寸法確認しなかったなどですね?

おそらくリミットスイッチやブレークフォーク(N社は動作ごとに壊れるシステムもある)では動作するでしょうが調整が大事です……

だらだら失礼しました

投稿: 文句言いたい専門家 | 2016.01.07 17:41

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