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2006.07.18

索道の種類~単線自動循環式普通索道

単線自動循環式とは、1本の支曳索に一定の間隔で搬器がぶら下がる方式で、停留場内では搬器はロープから分離する。したがって乗客の乗降は、搬器を停止させるか微速で進行させながら行われ、停留場間の搬器の速度には影響しない。普通索道では、ゴンドラ(又はゴンドラリフト)と呼ばれる事が多い。

この方式の元祖は、1927年に三重県の矢ノ川峠に架設された旅客索道で、国内は元より世界でも旅客索道に用いたのはここが初めてとされている。ただし、当時の索道は県による監督下におかれており、その後、法整備が行われ国の許認可が必要となるとこの方式による普通索道は認められなくなった。なお、矢ノ川旅客索道は観光用ではなく、国道42号線の整備が不十分なためにバスでは十分な輸送ができないため、もっとも急峻な区間においてバス代行を行うために架設された。前後の区間は民間乗合バスが接続するという公共交通機関としての索道だった。後に、国道が整備され、鉄道省営バスの運行が始まったために廃止された。

その後、第二次世界大戦後のヨーロッパで開発が進み、日本でも導入の気運が高まり、1973年にポマガルスキー社(フランス)製の設備が同社と技術提携をした安全索道の手により長野県五竜とおみスキー場(白馬五竜)で架設され、国の認可した単線自動循環式普通索道の国内第一号となっている。同年には日本ケーブルも自社開発によるシステムで北海道横津岳スキー場に架設を行っていたが、索道免許(当時は技術的な審査とは別に路線免許が必要だった)の問題で営業を行うことができず幻のゴンドラとなっている。

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架替に伴い山麓駅舎内に保存されている初代五竜テレキャビン客車

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単線自動循環式普通索道搬器:妙高杉ノ原ゴンドラ
搬器各部の名称は、交走式とだいたい同じ。違うのは走行装置ではなく握索機であるぐらいだろう。

扉開閉レバーの形状や位置はメーカーによって異なるが、動作原理はほぼ同じで、停留場内の「く」の字形のガイドレールにより、レバーを垂直あるいは水平方向に動かし、扉を開閉し、鎖錠・開錠を行う。

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単線自動循環式普通索道(受索)支柱:苗場第2ゴンドラ

ロープを支持する滑車を索輪と呼ぶ。
作業アームは、索輪交換などの作業時にロープを一時的に吊り上げたり、地上から更換部品を吊り上げる際に支点として利用するためにある部材で、索道の運行に直接は関係ないがメンテには有用な部材で、非常に古い索道では見られない。支柱においてメーカーの差異が現れる事の多い部材で、メーカーの判別の手がかりになるケースもある。
脱索防止輪は、日本ケーブルではこのように小型の索輪という形状だが、二輪車用のようなゴムタイヤを用いるメーカーもある。
脱索検出装置は日本ケーブルの例で、通常の索輪の輪心部がアルミ製であるのに対し、1輪だけ鉄製の輪心(赤色に塗装=俗に赤玉)をもった索輪を取付け、万が一ロープが外れた際に対となった索輪が重量差で傾くことで脱索を検出する。この傾きをブレークホークというU字型の金具で検出するのも同社の特徴で、傾いた際にブレークホークを折り、通電を途絶えさせることで検出する。東京索道も索輪(こちらでは鉄製輪心は青色塗装)の重量差による傾きで検出するが、リミットスイッチで検出する点が異なる。索輪を利用しない場合は、ロープが直接リミットスイッチを作動させる構造が一般的だ。

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単線自動循環式普通索道(圧索)支柱:苗場第2ゴンドラ

単線自動循環式や単線固定循環式の大きな特徴の一つに、圧索支柱が比較的容易であることが上げられる。圧索支柱とは、このようにロープを上から押さえるようにする支柱で、これにより適度な荷重を受索支柱にかけることができ、搬器通過高さを抑えることも出来るので、線路設計の自由度が増す。

自動循環式索道でメカ好きな人の興味をそそるのは、ロープへの着脱の仕組みだろう。停留場場内ではロープから離れて、場内レールに乗っている搬器は発車待機位置で発車規制装置により止められて待機し、所定の間隔(一般的には 運転速度×12秒・・・速度5m/sなら60m)が開いたところで規制装置が解除され、加速押送装置によりロープ速度と同じになるように加速、そして速度が同調したタイミングでロープをつかむようになっている。加速押送装置は古いタイプではレールの下り勾配を利用するシステムなどもあったが、減速運転時の速度同調などの問題もあるので、現在ではタイヤ押送によるシステムが一般的だ。これは、回転速度が順に速くなるように並べたタイヤによる加速装置で、回転力はロープから取るようになっている。したがって、どのような速度で運転していても、ロープ速度に合わせて加速できる。

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加速押送装置:フライングチャオ

わかりにくいかも知れないが、ゴムタイヤが並んでいるのが見える

同調した位置で、握索機のレバーをガイドレールで押し下げ(または押し上げ)で、ロープを掴む。ロープを掴む力は、バネによるのが一般的だ。

停留場の到着側は発車側とほぼ同一の仕組みになっており、何らかの問題があって逆転運転を行い、発車側に逆戻りしても大きな支障はない。ただし、扉の自動開閉機能は働かないケースが多く、この場合、扉は係員による開閉となる。到着側からの発車は、発車規制装置がないので通常は行わないが、手動で搬器を押し出せば不可能ではない。

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場内押送装置:苗場第2ゴンドラ

加減速押送以外の部分は、場内押送装置により搬器を自動移動させるのが一般的だ。

場内押送は、このように搬器を押す爪が付いたチェーンを用いるシステムが多いが、最近ではこの押送もゴムタイヤによるシステムをみかける。筆者も観察不足で、タイヤ押送とした場合のメリットがよくわからないが、チェーン押送だと一斉に動くのに対し、タイヤ押送では、いくつかの区間に分けての動作が容易なので、このような制御が行われているのかもしれない。

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場内押送装置:ドラゴンドラ

さらに自動循環式の特徴として車庫線がある。搬器の出入庫は人力による場合もあるが、このように車庫線押送装置を使う自動式もある。自動式では、車庫線レールに勾配が設けてあり、押送装置で少し上らせ、あとは非常に緩い下り勾配を自走する方式が多いようだ。

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自動式車庫線:焼額山第2ゴンドラ(山頂停留場)

国内における最高速度は6.0m/sだが、これは最近になって建設されたものに限られ、スキーブームの時期に大量に建設された時代は5.0m/sが上限だったので、現在でも本方式の大半は5.0m/s。搬器は4・6・8人乗り(着席)が一般的だが、立ち乗りの10~15人乗りもある。輸送能力は、4人乗り1200人/時、6人乗り1800人/時、8人乗り2400人/時が一般的だ。

執筆日:2006年7月18日
加 筆:2006年7月20日

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コメント

久しぶりです!!

日本ケーブルでは6人乗り自動循環ゴンドラを現在も造っているのでしょうか?

握索機がトーションバースプリングの6人乗りゴンドラは見たことがないです・・・・。

投稿: 索道趣味 | 2006.07.20 20:03

索道趣味さん、こんばんは。

索道はオーダーメードですから、注文があれば作ると思いますよ。別に、4人乗りでも6人乗りでも8人乗りでも搬器の大きさが違って、それに合わせて支柱や停留場機械の大きさが違うだけで、技術的な差はありません。
きちっと調べてないので、間違っているかもしれませんが、日ケの6人乗りの最新作は、夏油第2ゴンドラですね。

投稿: こぶ | 2006.07.20 22:52

どうも有難うございます!!!

最近はCWA社も搬器をモデルチェンジしましたよね。オメガ||だったのが、オメガ|||になりましたよね。

投稿: 索道趣味 | 2006.07.21 06:10

索道趣味さん、こんにちは。
おっしゃる通り、CWAのオメガタイプはIIIに進化してますね。同じIIIでも、定員以外の要素でもいくつかのタイプがあるようですね。
これまでにオメガIIIを採用したゴンドラは、愛知万博のモリゾーキッコロ箱館山テイネを紹介しています。

投稿: こぶ | 2006.07.21 12:28

安全索道製のゴンドラは、自動入庫ではないのが多いみたいですね。

ドラゴンドラをオメガ|||にしたら、相当怖いでしょうね・・・・・。

妙高杉ノ原ゴンドラには私も乗ったことがあるのですが、あのタイプBBでしたっけ?あれは私の好みではないです・・・・・。オメガの方がいいです・・・・。あのタイプは、CWA社の標準設計ではないのですよね。コクドが設計して、CWA社に頼んだのでしょうか?

こぶさんはどうでしょうか?

投稿: 索道趣味 | 2006.07.21 20:00

索道趣味さん、こんばんは。

車庫線の自動化はユーザーのリクエストですから、メーカーによる差異ではなくて、ユーザーの嗜好の問題でしょう。ただ、いえるのは、安索の自動車庫線の方が設備が簡便なので目立ちにくいと言うことと、車庫線レールの勾配だけを付けておいて、人力で押し上げるとあとは重力利用という半自動式と思われる(実際の作業を見ていないので断定できません)車庫線が安索にはあるという事ですね。私が思うに、日ケでは搬器形状の差でこれが難しかしいようです。車庫線に関しては安索が間違いなく優れてますね。安索にもCWA搬器を使用した路線がありましたから、これの場内機械がどうだったのか興味あります。

CWAのタイプBBは、CWAのサイトでもコクドでの採用例しか出ていなかった(今は削除されています)事から、コクドのリクエストで設計されたのでしょうね。最近の私は、4人以上でスキーに行く事はほとんどないので、外が良く見える背中合わせの搬器が好きです。ただ、ガラガラでならば前後が見易い向かい合わせのタイプが好きですね。

高所恐怖症ですが、床以外は透明でもあまり気になりません。最近の観覧車でブームの床が透明なキャビンは嫌ですけど。

投稿: こぶ | 2006.07.21 23:48

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