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2006.08.04

索道の種類~単線自動循環式特殊索道(1)

自動循環式とは、停留場内では搬器がロープから自動的に離れ、乗降が停止状態または低速走行状態で行える索道である。この方式を採用した特殊索道とは、いわゆる高速リフト、デタッチャブルリフトである。ただし、固定循環式特殊索道における旧来の規制において、特別構造認可により当時の規制値よりも高速のリフトが認められるようになった際に、固定循環式ながら「高速リフト」を名乗るリフトが現れ、今もその流儀で名乗るケースがあるので、ゲレンデマップ等の「高速リフト」に惑わされる事もある。

Chair国内のリフトの黎明期では、貨物索道の応用で登場した単線自動循環式も登場しており、正式に運輸省の認可を得たリフトの第1号も単線自動循環式だった。(以前、複線自動循環式と書いたことがあるが、これは誤り)

右は上信越自動車道妙高サービスエリア(上り線)に保存されている当時の搬器。これが運輸省の認可を受けた初めての旅客用単線自動循環式となる。スキー用であるが、乗車の際には板を外して搬器の外側のキャリアに積んだようだ。

Grip

こちらが、その握索機のアップ。おそらく重力式と思われ、走行輪が場内レールから離れた際にロープを掴むものと思われ、基本的な構造は現在の自動循環式でも良く似ている。

その後、国内の特殊索道では構造が簡便な単線固定循環式一辺倒となったが、欧米の技術を導入して1983年に復活する事になった。同年に登場したのは安全索道製のテイネハイランド北かべリフトと日本ケーブル製の志賀高原高天原トリプルリフトで、本方式の復活であると共に国内初の3人乗りリフトとなった。

TEINEKITAKABEDT03
テイネハイランド北かべリフト

この当時の規則では、搬器定員と速度の点で特別構造認可となるために運輸局独自では認可が出来ず運輸省(当時)本省の認可となった。

この北海道と長野での競作については、真偽のほどは不明であるが、次のような話を聞いたことがある。
この当時、メーカーと事業者は共に、単線自動循環式高速リフトの早期の認可を目指していたが、志賀高原を管轄する新潟運輸局(当時)では、1983年度に本省の認可は難しいと判断していた。しかし、新潟運輸局にライバル心を燃やす北海道運輸局が、1983年度にテイネの本省認可を取り付けた。索道では他の追随を許さないと自認する新潟運輸局は面子をかけ、急遽、高天原の認可を本省から取り付けた。さらに、事業者を通り越し、直接メーカーに「北海道に負けるな」とプレッシャーをかけ、メーカーもライバル会社に遅れを取るまいと採算を度外視した突貫工事で行った。
高天ヶ原の認可が遅かったのは確かで、かなりの突貫工事だったのも確からしい。本当に運輸局同士のつばぜり合いがあったかどうかは不明だが、少なくともメーカー同士の競争はあったのは間違いないと思われ、上述の話はある程度までは真実と思われる。

閑話休題。デタッチャブルトリプルリフトは、その高速性と輸送能力の高さから、スキーヤーの人気を集めたが、単線固定循環式に比べかなり大きな投資になるため、投資効率を考えるとクワッド(4人乗り)が本命と考えられた。そのため、1984年にはトリプルとして認可をとりながらハード的にはクワッド仕様搬器の運転が可能なリフトが登場し、実際にクワッド搬器を取り付けて試験が行われ、1985年にはクワッドリフトが認可された。

同じ単線自動循環式なので、基本的な構造はゴンドラと変わらない。そのため、導入初期には建屋形式の停留場も多かったが、次第に簡便な機械カバー式の停留場が増えてきた。また、ゴンドラのように車庫線を設けて毎晩収納する運営をする場合もあれば、固定循環式のようにシーズンオフまでは収納しない方式で運営をするケースもある。この中間の方式として、停留場ステージ下など簡単に出し入れできない場所にシーズンオフ用の車庫線を設けたり、上屋の無い簡易な車庫線を設置し、シーズンオフだけ収納するようなケースもある。

MINAMITAIRADQ01
建屋方式停留場:しらかば2in1 南平クワッドリフト
 車庫線併設のため大規模な建屋である

NAEBA1DQ01
機械カバー方式停留場: 苗場第1高速リフト
 新設当初はステージ下がシーズンオフ用車庫線だったが
 後に隣接して常用の車庫線を増設

執筆日:2006年8月4日

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コメント

>>握索機のアップ。おそらく重力式と思われ、走行輪が場内レールから離れた際にロープを掴むものと思われ、基本的な構造は現在の自動循環式でも良く似ている。

えっと、昭和28年(1953)に岩原に架かった単線自動循環式2人乗りリフト(岩原の愛称「ロマンスリフト」、日本ケーブル製)の建設運行に携わった人から直接聞いた話では、
1,場内レール上の搬送システムは、実際の現場では「人力搬送」であった。
2,乗客が乗ったら場内レール上を押すように前に搬器を移動させ、レールから離れたところで係員が「ガツン!」と下に引っ張るようにしないと、うまくワイヤを掴めなかった

とのことです(笑)

投稿: ぐでん2 | 2006.08.05 09:29

ぐでん2さん、貴重な証言のご紹介ありがとうございました。

岩原の日ケ自営のリフトは、複線自動循環式だったそうですが、この時代ですから似たようなものだったのでしょうね。しかし、下に引っ張らないとロープを掴めなかったというのは、なんともはや・・
人力搬送が嫌われたのも、固定循環式に移行した理由のひとつだそうですね。

投稿: こぶ | 2006.08.05 22:53

ほんとだ、写真をよく見ると複線だ(笑)http://www.iwa-ppara.com/2006/history.html

投稿: ぐでん2 | 2006.08.06 09:52

ぐでん2さん、コメントありがとうございます。

岩原の公式サイトに、こんな画像があったとは気が付きませんでした。門形の支柱が貨物索道ぽくって、出自を物語ってますね。

投稿: こぶ | 2006.08.06 11:56

架けた人達が、鉱山索道と森林索道出身者ですからねえ(笑)>こぶこぶさん

でも考えてみれば、アスペンもテリュライドも
「廃鉱山の山」
「最初に雪山の上に人を運んだのは、ディーゼルエンジンの鉱山索道」
だから、正しい老舗の「スキー場の形成のされ方」ともいえるでしょう(笑)

投稿: ぐでん2 | 2006.08.07 20:32

ぐでん2さん、コメントありがとうございます。

交走式はともかく、循環式は世界的に貨物用先行だったようですね。まさに山と索道は鉱山に付き物ですから、あとは雪があればスノーリゾートになる条件が揃うわけですね。

投稿: こぶ | 2006.08.07 21:24

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