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2006.08.25

索道メーカー 日本ケーブル ~機械について(4)

◎趣味的な見地から見た機械の特徴(4)

○支柱
リフト乗車中に見るものといえば、ゲレンデをすべるかわいい女性か支柱ぐらいだ。一見、同じように見える支柱もよく見るとメーカーの特徴が見えてくる。こちらも交走式は特徴が見出せるほど数が多くないので割愛。また古いリフトも差が少ないうえに観察した個体数が少ないので、比較的近年(といってもここ20~15年くらい前から現在までの製品)での観察結果だ。

■単線固定循環式特殊索道
各社とも古いリフトでは山形鋼などを組み立てたトラス支柱が使われたが、1970年代には丸形鋼管を用いた支柱が登場している。日本ケーブルにおいての初登場がいつになるかは判らないが、1970年代後半には登場していたと思われる。

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1980年建設柳津温泉第1リフト
この時点で現在の支柱の標準仕様がほぼ確立していたことがわかる。

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2002年建設美幌町リリー山スキー場リフト
こちらが現在の標準仕様。作業アームの構造が変わった事が目立つほかは、大きな変化はない。

支柱の上部にあるのが作業アームで、古いリフト支柱には見られない設備である。これは文字通り保守作業に用いる設備で、索輪の交換等の際にロープを一時的に引き上げる作業の支点に使われたり、地上から交換パーツを引き上げる際にチェーンブロックなどを吊るしたりするのに使われる。

上の画像でわかるように当初は山形鋼(最上部の水平部材は角パイプ)を組み合わせたトラス構造であったが、1990年代前半にモデルチェンジが行われ、現在の角パイプによるラーメン構造になった。作業アームや点検台は、日ケの場合、早々とメッキ仕様が標準仕様となっている。
他には年代が新しいほど点検台の手すりが目立ち、高所作業時の安全意識の変化が見出される。これらの変化は、デタッチャブルリフトやゴンドラ用の支柱でも共通だ。

非常に些細な点であるが、メーカー間の差異に、支柱本体とアームの取付位置の差がある。画像でわかるように日ケの場合は、支柱本体の上部でアームと接続されており、固定ボルトはリング状に配置されている。他社ではどうなっているか、今後の記事で注目してもらいたい。

パラレルリフト用の支柱は、特徴を見出せるほど観察数が多くないが、筆者の確認の範囲では、安索に比べると作業アームの構造が簡便に見える。またアーム自体の形状も直線主体の単純な形状に見える。支柱本体とアームの取付位置は、支柱本体の最上部ではなく、その最上部に左右に広がるように取り付けられた部材の上である。

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パラレルペアリフト支柱:蔵王温泉スキー場中央第1ペアA・B線
この画像ではわかりにくいが、A線は甲乙兼用で回転式片持ちアームが装備されている珍しいタイプの支柱だ。

パラレルトリプルリフト用の支柱では、本体に鋼板方錐形を採用しているのが特徴だ。デタッチャブルリフトやゴンドラで鋼板方錐形が見られなくなっているので、もしも今後パラレルトリプルリフトが新設されるような事があれば、そのような形状の支柱本体になるかが興味深い。

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パラレルトリプルリフト:パインリッジリゾーツ芸北国際トリプルA・B線

■単線自動循環式普通/特殊索道
日ケのゴンドラ/デタッチャブルリフトの特徴として鋼板方錐形(角パイプ形)支柱の採用があった。

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鋼板方錐形支柱(ゴンドラ):安比ザイラーゴンドラ

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鋼板方錐形支柱(クワッド):開田高原マイア第1クワッド

本体上部は角パイプで下半分は末広がりの方錐形になっている。
作業アームは固定循環式と同じで、以前は山形鋼のトラス構造であったが、後に角パイプのラーメン構造となった。また、支柱本体とアームの取付位置も同様だ。

これが1990年代の半ば頃から、支柱本体が鋼管円筒形となっている。筆者の確認した中では1994年建設のスキージャム勝山イリュージョンクワッドAが最も早いが、これ以前でも鋼管円筒形のクワッドがあるという話を聞いたことがあり、第1号がどこだったのかはっきり判らない。

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鋼管円筒形支柱(ゴンドラ):妙高杉ノ原ゴンドラ

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鋼管円筒形支柱(クワッド):スキージャム勝山イリュージョンクワッドB 

支柱高が高い場合は、途中でパイプ径が変わり、鋼管の継手がフランジ継ぎという構造で、これは安全索道のデタッチャブル・ゴンドラの支柱本体とよく似ている。

○索受
日ケの索輪はアルミ製のプレート輪心の外周にリング状のゴムライナーをはめ、それをサイドプレートで固定する構造になっている。

さらに特徴付けているのが脱索の検出方法である。これは一輪だけ輪心を鉄製とする事で重量をアンバランスにしておき、ロープが外れることで鉄製の輪心の索輪が下がる事でブレークフォークと呼ばれる常時弱電流が流れる部材を破損させ、さらにこれにより脱索検知回路の電圧に変化を生じさせることで脱索を検知する方式だ。回路に挿入された抵抗により、ブレークフォークが破損した支柱によって電圧の変化が異なるので、これにより単純な回路にも関わらず瞬時に脱索位置を特定できる事が最大の利点になっている。

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これが脱索検知装置。黄色い矢印の先の索輪が赤く塗られた鉄製の輪心をもつ。脱索時にはこちらの索輪が重いため、手前の索輪が上に、こちらが下に動く。その結果、赤い矢印の先にあるブレークフォークを手前の索輪のセンターピン部に直結したバーが折る。脱索時にロープがどのような動きをしようとも索輪からロープが外れれば確実に作動する。

下の画像のように最近のゴンドラでは赤玉を使っていないようだが、脱索検出はブレークフォークであることはかわらないようだ。赤玉でないのは、単に塗装を止めただけなのか、別の方法で重量差を生じさせているか判らない。(8月26日追記)

脱索検出
愛知万博モリゾーゴンドラ

執筆日:2006年8月25日
追記:2006年8月26日


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コメント

こぶこぶさんこんにちは。日ケの機械について興味のある私は非常にためになる記述ありがとうございます。こちらでもよろしくお願いします。
ところで、索輪の件ですが、最近設置された単線自動循環式普通索道(ドラゴンドラや愛知万博のモリコロゴンドラ)には索輪に”赤玉”が無いのですが、脱索検知システムが変わった訳ではないのですか?
特殊索道についてはよく見ていないのですが。

投稿: まぎ | 2006.08.25 09:07

いつも話しています、石打丸山の観光第3エクスプレスの運転開始は平成5年12月だったような気がします。スキージャム勝山イリュージョンクワッドAよりはもっと観光第3の方が新しいです。

投稿: 索道趣味 | 2006.08.25 20:35

まぎさん、索道趣味さん、コメントありがとうございます。

>ゴンドラの脱検
おっしゃる通り、最近のゴンドラは赤玉がないですね。画像を追加しておきましたが、赤玉はないですがブレークフォークは健在ですので、システム自体には変更がないようです。片側のみ脱索防止輪が付加されていますから、これで重量差を生み出しているのだろうと単純に考えていましたが、よく見ると防止輪のない圧索支柱でも赤玉がありません。単に赤く塗るのをやめただけ・・なんて事はないですよねぇ。あと追加の画像を見ていただければわかるように、センターピン位置からのバーで折る位置ではなく、2輪の間にも置かれている。最近のクワッドでは、この位置が標準になったようです。

>デタッチャの鋼管円筒支柱
索道趣味さんご指摘ありがとうございます。おっしゃる通り石打観光第3がジャムイリュージョンよりも1年早いですね。支柱の形状はわざわざ系列のスキー場でテストが必要なほど技術的に難しい変更ではありませんし、もっと早い段階であったという話を小耳に挟んだ記憶があったものですから、今しばらくは先例探しを続けたいと思います。

投稿: こぶ | 2006.08.26 13:42

なるほど、よくわかりました。冬はクワッドを観察していきます。

投稿: まぎ | 2006.08.28 18:36

初めての投稿です。索道の継ぎ目はありますか?どのようにして1の輪になっているのですか?
つなぎ目があるとしたらどうしてつなぎますか?
現場でつなぐのですか?

投稿: いわさき ひでひろ | 2011.03.04 09:53

いわさき ひでひろ さん、こんにちは。

リフトやごんどらなどの循環式索道の、支曳索や曳索などエンドレスになっているロープは、長いロープの両端を現場でつなぎ合わせて輪にします。つなぎ合わせ方は、ロングスプライスという手法で、これを言葉で説明するのは難しいです。細かな点をはしょると、数本のストランドで構成されるロープをほぐして、1本のストランドを芯の代わりにして反対側の中心により込むわけです。これをストランド1本ずつで行えば、強度的には切れ目がない状態とほとんど同等になります。加工が下手ですと、よりこんだ位置がわずかにふくれますが、上手いと直径もほとんど変りません。慣れてくると見分けられます。固定循環式リフトでは、ロングスプライスの位置を1号搬器ににする暗黙の了解がありますから、1号搬器に乗ることがあれば、すぐ近くのロープを見ると寄りこんでいる様子が観察できます。

ロングスプライスは現場で行います。

投稿: こぶ | 2011.03.06 16:18

赤玉は索輪交換泣かせです 30kgくらいあるので足場が短いと片腕を伸ばしてはめなければならず…気合いがいります

投稿: yu | 2013.01.02 21:18

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