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2006.12.07

索道メーカー 太平索道

太平索道は、御薗生精一が1938年に日索工業として設立した伝統ある索道メーカーだった。御薗生精一は原晋一が架設工事を請負った秩父索道の架設工事に参画し、同工事の経験者を率いて品川索道工務所を設立しており、その後身が日索工業に当るようだ。原晋一は、索道創世記の日本で代表的な索道技師で玉村式索道で知られる玉村勇助と共に足尾銅山で技師を務め、玉村勇助が足尾銅山から独立し玉村工務所を設立した1907年に、玉村氏と同様に独立し1911年に中央工業所を設立、1914年には国内で2番目の旅客索道である大正博覧会不忍池空中ケーブルカーを架設している。

このような経緯があるために、太平索道では創業を原氏が足尾銅山から独立した1907年と称していた。

原氏の独立以来、密接な関係にあった高田商会が戦時色が強まるにつれ、鉱山開発に傾倒し帝国鉱業開発と改称し、日索工業も鉱山索道の実績を積み重ね、帝国鉱業開発の修理工場を日索工業の川口工場とし、戦時統制経済下では索道機械の鋳造を同工場で集中して引き受けていた。

このように貨物索道を中心とした名門索道メーカーであり、貨物索道が減少してからは旅客索道に転進、交走式や三線自動循環式の普通索道にこそ実績はないものの、単線循環式では多くの実績を残してきた。しかし、1997年を最後に新設はなく、現在では廃業したもようである。

単線自動循環式普通索道の導入にあたって、当初はミューラー社(スイス)と技術提携を結び、後に提携先をスタデリー社(スイス)に転じている。ミューラー社との提携で架設したゴンドラは、白根火山・妙高杉ノ原・ニセコ東山・八海山の4本でニセコを除く3本はリプレース済みで、ニセコも昨シーズンから休止しており、壊滅状態となった。

スタデリー社との提携製品は、ゴンドラもデタッチャブルリフトも多くが稼働中である。

かぐらゴンドラ
太平索道製単線自動循環式普通索道:かぐらゴンドラ
搬器は日ケや東索と同じCWA社製

今庄365第2クワッド
太平索道製デタッチャブルリフト:今庄365第2クワッド
筆者にはあまりかっこよく見えないが、この倉庫然とした上屋がデタッチャブルリフトの標準仕様らしい

趣味的に見た外観上の特徴を見出せるほど観察数が多くないが、間違いないのが下のパラレルリフト支柱のアーム形状。筆者はこれをみると鉄人28号の肩を思い出すのだが、どうだろう。これは他社では類似の形状を見た事がない。

ニセコ東山 ダウンヒル第3リフトA・B線
太平索道製パラレルリフト支柱:ニセコ東山 ダウンヒル第3リフトA・B線丸パイプを曲げたような形状が独特

単線固定循環式の設備でも、銘板にはスタデリー社の名前も入っているので、同様にドッペルマイヤー社の名前を入れた銘板を使う日ケのように、技術提携の成果を生かした設備になっていると思われるが、具体的にどの部分が提携の成果がわからない。

会社の廃業により、使用中の事業者は保守などで大きな手間がかかっていると思われ、優先的に淘汰される可能性があるので、同社製を採用した索道には早めに訪問したい。

執筆日:2006年12月7日

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コメント

こちらではお久しぶりです。
で、この記事、すごく詳しくてためになります。
私が書いてる「用語集」とは比べモノになりません。
個別にリンクを張ってもよろしいのでしょうか?

投稿: さいとー | 2006.12.09 09:23

さいとーさん、こちらこそお世話になっています。昨冬の道東巡業では、さいとーさんの記事を大いに参考にさせていただきました。
各記事個別にリンクしていただく事は、いっこうに構いませんよ。お役にたつなら、どんどんリンクしてください。

投稿: こぶ | 2006.12.09 18:17

はじめまして。
いきなりですが、富山県のイオックスアローザのスキー場で太平索道に似ている珍しい固定循環式ペアを見つけました。支柱に書いてある情報では「太平索道」と記述してはありませんでした。(記述してあった会社名は忘れてしまいました・・・)
このスキー場のリフトは全て太平索道が存在していた頃に架設されているのですが、確か1,2年前に2基の固定循環式を追加しています。この追加された2基が見たことの無い固定循環式ペアなのです。機材から見ても太平索道の物を用いているようなので、太平索道を引き継いだ会社が存在しているのですかね?

それと同県の牛岳温泉スキー場に2004年に架設された安全索道のデタッチャブルがあります。自分は安全索道製の5.0m/sで稼動するデタッチャブルにはお目にかかったことがないのですが、他のスキー場でも存在していますでしょうか?

投稿: 安索好き | 2006.12.11 22:26

安索好きさん、はじめまして。

今出先なので、手元に資料がないのですが、イオックスアローザのゴンドラに平行する形で新設されたペアは3シーズンか4シーズン前ではありませんでしたっけ? とにかく新設リフトが珍しい時代でしたから「おおっ」と驚いた記憶があります。

日本ケーブル・安全索道・東京索道でないとしたら、三菱重工(たぶん撤退後なので可能性は低い)、樫山工業、JFEメカニカルのいずれかではないかと思います。以前に取り上げたように置戸町南が丘スキー場のシングルリフトはJFEメカニカルの前身である川鉄鉄構工業の建設になっていますが、見た目は大平索道製そっくり、まだ大平索道があった時代の製品ですからOEMしたのではないかと憶測してますが、とにかく何らかの関係があったのは確かでしょう。JFEメカニカルのサイトを見ると以前は大平索道のユーザーだった事業者名が確認できますから、大平索道製リフトのメンテナンスを請け負っている可能性は高く、その関係で図面などを引き継いでいるのかもしれません。同様の例としては、玉村式索道建設のロープウェイのメンテを日ケが引き継いだという事が過去にありました。
川鉄鉄構工業の提携先はギラク社でしたが、固定循環式なら大平からの引継ぎでもどうにでもなるでしょう。イオックスは行きたいのですが、なかなかチャンスがなくまだ見ていませんのでなんともいえませんが。

デタッチャブルリフトの5.0m/s対応は業界としては1990年頃から運輸省(当時)に働きかけており、日ケではこのころから5.0m/s対応製品をラインナップに揃えてましたから、安索にも対応製品はあったかもしれません。ただ、この当時の安索は、速度向上よりもクワッドやトリプルの発車間隔を6秒から5秒に短縮する特別認可を取るほうに熱心だったような印象がありますので、ラインナップに加えてない可能性もあります。ただ、既存の設備で搬器間距離を変えずに速度を向上させて発車間隔を短縮するような提案をしているという話しも聞いた覚えがあり、速度向上に関心がなかったわけではないでしょう。

ただ、昨年にホワイトピアたかす第2クワッドがリプレースされた際に西日本最速と銘打ってますので、安索がその牙城である西日本で5.0m/sを実現していないのは確かです。信州や東日本ではどうなのでしょうね?

日ケにしても安索にしても、デタッチャブルに関しては、技術提携といいながら実質的には提携先のコピー製品を作っているに過ぎませんから、メーカー独自の開発力とか技術力の問題ではなく、たんなる営業戦略とか技術の方向性による違いにすぎません。

投稿: こぶ | 2006.12.12 00:18

3,4シーズン前だったかもしれませんね。はっきりと覚えておらずに適当に述べてしまい申し訳ありません。
自分はイオックスや牛岳には比較的楽に行くことができるので今シーズンチェックして参ります。
安策が発車間隔を6秒から5秒に短縮しようとしていたのは初めて知り、ためになりした。ありがとうございます。

ついでに、安索と言えばこぶさんが以前日記に書かれていたように2種類の索輪を使い分けていますが、本当に真相が気になりますね。
比較的新しく架設されたリフトがプレート式を採用しているのかと思いきや、八方尾根のゴンドラでは見た目からして相当の年代物と思われるプレート式の索輪がありました。栂池高原のゴンドラではスポーク式とプレート式の年代物と思われる索輪が混同していました。年代別でスポーク式かプレート式かを採用していたか判断することはできないようですね。
リフト架設の際にオプションとして選べたりするんでしょうかね。

投稿: 安索好き | 2006.12.13 00:10

安索好きさん、コメントありがとうございました。
イオックスの新設ペアは、運輸局へ届け出た営業開始日は平成15年12月20日になってますので、3シーズン前の新設になるようです。メーカーが気になりますね。

索輪は、比較的交換の多い部材になりますから、八方のアダムでも早々と交換したものであれば、それなりに古くなったものがあるかもしれません。プレート式であってもスポーク式であったとしても、取扱い上でそれほどの差異があるとは思えませんから、オプションと言うことはないと思いますが、安索と仲が良いと思われる白馬観光開発が、安索からの要請を受けて試作品を試用を引き受けたとか、長期耐用試験を行っているとかの事も考えられますね。あるいは白馬観光開発は経験豊かな事業者ですから、保守部品を安索に発注せず独自に手配したとかの可能性も考えられます。

難しいですね。

投稿: こぶ | 2006.12.17 13:34

お返事ありがとうございます。
こうして考えてみると索道って難しい面が多いですね。。。

スキー場がオープンしだい、早めにイオックスの新設ぺアのメーカーを調査してまいります。今シーズン北陸地区のスキー場はオープンがかなり遅くなりそうですが・・・。

投稿: 安索好き | 2006.12.18 00:29

安索好きさん、こんばんは。
イオックスの第2・3ペアですが、JFEメカニカル製に間違いありません。JFEは資本は旧川鉄ですが、営業地盤は太平を引継いでおり、一部人員も引き受けています。イオックスは他はすべて太平製で、もともと第2・3ペアの架設を予定しており、それをJFEが引継いだのでしょう。設計も太平ペアと同じです。外見が相似しているだけに、安索好きさんがご覧になった支柱の銘板(シール?)、あるいは索輪の゛JFE゛の刻印の有無、等がポイントでしょう。私はゴンドラ内から遠目に眺めただけなので、ぜひ確認してみてください。ちなみに、タカンボーやシャルマンでも同様にJFEが引継ぎ新設を行っています。

正確には、太平における海外メーカーとの提携は、ミューラーとスタデリーほぼ同時期です。初期固定2人乗り架設において、浦佐国際第1ロマンス(S49 ミューラー)、草津殺生ロマンス(S50 スタデリー)、と両メーカーと提携しています。その後デタッチャブル架設はミューラーシステムを採用しましたが、スタデリーとはポニーリフト(簡易リフト)の輸入・設置について提携を継続しました。

最終架設年度として、シャルマン(新潟)のクワッド・ペア、ひめかゆ(岩手)のペア2本の計4本は、支柱表記が1998年竣工となっています。

投稿: tune | 2007.01.21 20:55

tuneさん、コメントありがとうございます。ミューラーとスタデリーと二本立ての時代があったのですね。
平成元年ごろの索道工業会の資料で、提携先としてスタデリーしか書かれていませんでしたし、私が見た銘板にミューラーの名前がある太平の製品は、初代妙高杉ノ原ゴンドラだけでしたので、ミューラーとの縁を切ってからスタデリーと提携したのだと思い込んでました。
また太平とJFEメカニカルの関係のご教示もありがとうございます。

投稿: こぶ | 2007.02.02 08:34

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