カテゴリー「関東運輸局」の記事

2006.12.25

番外編:2006年度の索道動向:普通索道編

2006年度はまだ3ヶ月以上あるが、索道界としてはスキー場の新設索道が明らかになるこの暮れで、その全容がほぼ明らかになったと言っても過言でないだろう。そこで現時点で筆者が掴んでいる索道の動向を新設情報中心にまとめてみた。

正直言って、かなり抜けがあると思われるので、コメントでどんどん補足いただけるとありがたい。

まずは普通索道編。


◎新規開業普通索道

○ニセコ グラン・ヒラフ
・エースセンターフォーゴンドラ ニセコ高原開発(株) 2006.8.1運輸開始
※2006年度新設の普通索道は無いと思っていたら、とんだ伏兵が潜んでいた。→の「索道ニュース」でもお伝えしたように8月1日から10月9日まで、エース第2センターフォーリフトを流用してヒラフゴンドラのキャビンを使い、普通索道として営業した。白馬47とタングラムが2004年夏営業で導入したものと同様なクワッドの利用法だが、キャビンは夏冬兼用で使う点が新たな試みである。

◎休廃止普通索道
○稚内公園
稚内公園ロープウェイ 稚内市 1975.7.27運輸開始
※日本で最北の索道・ロープウェイである稚内公園ロープウェイが、利用者減と設備老朽化のため2006年3月31日限りで営業を終えた。最終営業日から2006年4月1日付の廃止と思われる。
この結果、日本最北のロープウェイは、大雪山層雲峡・黒岳ロープウェイとなっている。

○ニセコ東山スキー場
ニセコ東山ゴンドラ (株)プリンスホテル 1982.12.15運輸開始
※2005-2006シーズンでは休止と伝えられ、休止中のままコクドからプリンスホテルに譲渡された本ゴンドラは、キャビンを流用したアート作品が札幌近郊の公園で展示されており、プリンスの公式サイトのゲレンデマップからも抹消されている(ニセコ三山の共同サイトでは休止中として掲載)ので、休止中としても実質的には廃止と思われる。太平索道がミューラー社との提携で導入した単線自動循環式の最後の1本であった。

○ARAI MOUTAIN&SPA
・新井ゴンドラ 新井リゾート(株) 1993.12.19運輸開始
※運営会社である新井リゾートマネージメントの特別清算により、今シーズンの営業を断念。資産は外資系投資会社が保有しており、施設の保全のみを行って来シーズンからの運営者を探している。
安全索道製定員10名の立ち乗りゴンドラ。立ち乗りとしては、野沢温泉長坂(2代目)に次ぐ国内第2号機である。

○牛岳温泉スキー場
・牛岳ロープウェイ 富山市 1981.12.18運輸開始
※設備老朽化のため本ロープウェイでアクセスするユートピアゲレンデを今シーズン休止と告知している。このまま廃止の公算が高い。安全索道製交走式で、ワンスパンで谷を渡る。


○三峰山(埼玉県)

・三峰ロープウェイ 秩父鉄道(株) 1964.4.29運輸開始
※設備老朽化のため2006年5月19日から2007年5月31日までの予定で休止している。これを報じる中では、収支面で復旧に及び腰な様子も読み取れたので、発表どおり休止を終えるかどうか予断を許さない状況と思われる。

○箱根(神奈川県)
・箱根ロープウェイII期線 箱根ロープウェイ(株) 1960.9.7運輸開始
※三線自動循環式から複式単線自動循環式フニテルへの架け替えのため、2006年6月1日から2007年5月31日までの予定で運休中。2007年6月1日から新線の営業開始予定。2005年3月に宮島ロープウェイが二線自動循環式に改造され、後述の通り奈良ドリームランドスカイウェイが3月に休止されたため、この休止により日本独特の技術であった三線自動循環式は全て姿を消した。

○朝日村営鈴蘭シャンツェ(岐阜県)

・鈴蘭グループゴンドラ 朝日村 1996.2.10運輸開始
※『平成17年度鉄道要覧』には休止中として掲載されていたが、平成18年度版からは記載が無く、2005年度中、もしくは2006年4月1日付で廃止されたものと思われる。なお、朝日村は2005年2月1日付で高山市と合併しており、平成17年度版に朝日村として掲載されていること自体が問題であった。同シャンツェは現役ジャンプ台であり、2007年2月開催の第19回全国高等学校選抜スキー大会会場にも使われる予定である。運輸開始年から判るように老朽化とは考えにくく、運営コストが負担であったための廃止と思われるが、メーカーの太平索道が廃業した事も関係するかもしれない。高山市が2006年度に鈴蘭シャンツェの指定管理者を募集していたが、委託業務に索道は含まれておらず復活の目はなさそうだ。
本ゴンドラは、単線固定循環式を採用している点が珍しく、また普通索道完乗を目指す人には、競技関係者のみの利用となっていたために「乗れない」事で知られていた。
『鉄道ピクトリアル2001年4月増刊号 千年の京にありて』掲載の「単線固定式普通索道について」という記事が、本ゴンドラをまとめて紹介する数少ない文献と思われる。

○比良山スキー場
比良ロープウェイ 比良索道(株) 1962.8.16
※すでに本ブログでも取り上げたとおり2004年3月末を最後に休止していたが、『平成17年度鉄道要覧』には休止中で掲載されていたものの平成18年度版には記載がない。スキー場ゲレンデの復元作業の目途が立ったため、2005年度中か2006年4月1日付でリフト共に正式に廃止の手続きがとられたものと思われる。

○びわ湖バレイ
アルプスゴンドラ (株)びわ湖バレイ 1975.10.31運輸開始
※株式の大多数を持つ名鉄が、保有する全株を日本ケーブル系のNCリゾートに譲渡すると発表し、その報道の中で来季からはゴンドラを大型ロープウェイに架け替えると報じられた。筆者は、ゴンドラとは別位置にゴンドラの夏営業を行いながらの新線建設となると予想するが、今シーズンの終了と共に営業を休止する可能性も排除できない。営業を行った単線自動循環式普通索道では国内で2番目、現存する中では最古の施設であるので、機会があればこの冬に乗っておきたい。

○奈良ドリームランド

スカイウェイ (株)ドリームパーク 1961.7.1運輸開始
※『平成18年 鉄道要覧』に平成18年8月31日廃止予定として掲載されていたが、機器故障により2006年3月に運休し、そのまま再開することなくドリームランド廃園を迎えた。故障したのは制御盤らしく、代替の部品もないために簡単に修理とはいかなかったようだ。架設当時の機械がほぼそのまま残る三線自動循環式だったので、その廃線は惜しまれる。

○南レク御庄公園

御荘湾ロープウェイ 愛媛県 1977.8.10運輸開始
※設備老朽化と山頂駅付近を通る有料道路の無料化が決まり利用者減が見込まれるため、2006年3月31日限りで営業を終えると決定。実際は、3月27・28日の2日連続で宙吊り事故(27日は搬器が山麓駅構内で脱線、28日は4号柱脱索検出器誤作動)を起こし、29日に運休して総点検を行い、その結果、30・31日は運休となったために3月28日が最終営業日になった。稚内公園と同様、2006年4月1日付の廃止と思われる。
本ロープウェイは日本ケーブルが自社開発した単線自動循環式の最後の1本であり、この廃止によって純国産の単線自動循環式は姿を消した。
本ロープウェイが廃止され、2006年度に立山山麓ゴンドラが富山県から富山市(ないしは同市3セクの大山観光開発)に移管されたため、県営の普通索道は消滅した。

執筆日:2006年12月25日
加筆日:2006年12月26/27日

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2006.04.15

サンメドウズ バードリフト ~休止中の希少種

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サンメドウズ バードリフト
事業者名:清里ハイランドパーク(株)
スキー場名:サンメドウズ大泉清里スキー場
公式サイト:http://www.sunmeadows.co.jp/
所在地:山梨県北杜市大泉町西井出
キロ程:614m
支柱基数:10
中間停留場:なし
高低差:不明
最急勾配:不明
輸送能力:不明
搬器台数:不明
速度:不明
回転方向:時計
動力:電気
許可年月日:1990年7月26日
運輸開始年月日:1990年12月29日
建設年:1990年
種別:特殊索道
方式:単線固定循環式
搬器定員:2名
山麓:原動油圧緊張
山頂:終端
索道メーカー:三菱重工業
鋼索メーカー:不明

観察日:2006年3月24日

現在休止中のペアリフト。正式名称は第3リフト。

索道要覧では「休止中」の注釈はなく、多くのゲレンデガイドでも記載されてるが、ここしばらくはまったく動いていないようだ。

スキー場開設時に設置された三菱重工業製の機械がそのまま残る。運転するつもりがなかったので架け替えなかったのか、自動循環式と違い固定循環式には特に問題がなかったので架け替えなかったのか不明である。

カバーするのは主に上級コースで、山麓部の緩斜面をいとわなければパノラマリフトで代替できるので、来場者が多くないと利用価値が低いリフトであるのは確か。

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米国リフトエンジニアリング社との技術提携によるリフトで、停留場機械や支柱は独特の形状をしている。筆者が確認している同形のリフトは、ホワイトピアたかす第3ペアリフト網走レークビュー第2リフトがあり、マウンテンパーク津南のリフトも同じではないかと睨んでいるが、このほかにはあったとしてもかなり少ないと思われる。すでに提携先の会社はなく、三菱重工自体も索道事業に力が入っているとは思えないので、今後は減る一方と思われる。

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この支柱も作業アームなど独特の形状で、3輪という索輪も珍しい。

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このリフトも夏山営業兼用の高低切替え式の支柱になっており、アームが小径の円筒柱2本にはさまれる形で上下する。この構造は、日本ケーブル製のキューピットバレイ第3ペアリフトの支柱と似ている。

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山頂の終端機械も独特の形状だ。


執筆日:2006年4月15日

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2006.04.14

サンメドウズ フラワーリフト

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サンメドウズ フラワーリフト
事業者名:清里ハイランドパーク(株)
スキー場名:サンメドウズ大泉清里スキー場
公式サイト:http://www.sunmeadows.co.jp/
所在地:山梨県北杜市大泉町西井出
キロ程:518m
支柱基数:7
中間停留場:なし
高低差:67m
最急勾配:不明
輸送能力:2400人/時
搬器台数:44台
速度:4.5m/s
回転方向:時計
動力:電気 150kw
許可年月日:1990年7月26日
運輸開始年月日:1990年12月29日
建設年:2002年11月
種別:特殊索道
方式:単線自動循環式
搬器定員:4名
山麓:油圧緊張 車庫線
山頂:原動
索道メーカー:日本ケーブル
鋼索メーカー:不明

観察日:2006年3月24日

初心者コースをカバーするデタッチャブルクワッド。正式名称は第2クワッド。パノラマリフト共々夏山営業も行う。

こちらもスキー場開設時には三菱重工製のYANクワッドが架設されており、その許可を生かして変更認可で日本ケーブルのクワッドに架け替えられている。

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この角度からは見えないが、機械カバーに隠れて反対側に露天の車庫線がある。パノラマリフト山頂と同様に、こちらの監視室も三菱重工製時代の監視室を流用していると思われる。

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フラワーリフトでは、一部の支柱がこのような夏冬兼用型のロープ高さが切り替えるタイプになっている。

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山頂停留場も同デザインの機械カバー。

「別冊 山と渓谷 ロープウェイで山歩き」によれば、夏山営業用に車いす対応の多目的搬器がある事になっているがパノラマリフトと共に確認できなかった。おそらく、冬季はどこかに格納してあるのだろう。チャンスがあれば夏にも来てみたい。なお、リフトでは珍しく、(パノラマと共に)冬季でも往復乗車可能となっており、展望のためにトップまで往復できる。

さてここでおまけ画像。

Hakonecabin

ゲレンデ下部(Hコース沿い)で発見したのが、この搬器。解説するまでもなく箱根ロープウェイの搬器だ。おそらく、早雲山~大涌谷のDLM化により余剰となった搬器の転用だろう。見てのとおりフェンスの外側にあるので、一般客用に開放しているわけではなさそうだ。用途は不明だが、TV用に見える八木アンテナが取り付けられていた。

執筆日:2006年4月14日

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2006.04.13

サンメドウズ パノラマリフト

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サンメドウズ パノラマリフト
事業者名:清里ハイランドパーク(株)
スキー場名:サンメドウズ大泉清里スキー場
公式サイト:http://www.sunmeadows.co.jp/
所在地:山梨県北杜市大泉町西井出
キロ程:1109m
支柱基数:17
中間停留場:なし
高低差:267m
最急勾配:不明
輸送能力:2400人/時
搬器台数:79台
速度:5.0m/s
回転方向:時計
動力:電気 320kw
許可年月日:1990年7月26日
運輸開始年月日:1991年1月7日
建設年:2002年11月
種別:特殊索道
方式:単線自動循環式
搬器定員:4名
山麓:原動 車庫線
山頂:油圧緊張
索道メーカー:日本ケーブル
鋼索メーカー:不明

観察日:2006年3月24日

野辺山・八千穂高原・ザイラーバレー・小海リエックスの順に登場した八ケ岳エリアで最後に登場したサンメドウズ大泉・清里スキー場のメインラインであるデタッチャブルクワッド。正式名称は第1リフト。夏山営業も行っている。

シャトレーゼスキーリゾート八ケ岳を午前中で切り上げ、野辺山を覗いて、昼過ぎに到着。リフト券の選択に悩む。というのも八ケ岳エリア4スキー場のいずれかの1日券を持っていると他のスキー場の午後券を500円で買えるからだ。しかし、このあと小海リエックスにも回る予定なので、500円で買うためにシャトレーゼのリフト券を渡してしまわないとならないなら、ここは1回券で済ますほうが得だ。1日券は回収される可能性が高いと考え、1回券を3枚買う。これはパノラマリフトは2回分が必要なため。これで1200円。サンメドウズは全体的にリフト券の価格設定が高い。リエックスや八千穂よりもアクセスが楽で、(中級者までなら)シャトレーゼよりも滑り応えがあるのは確かだが、ちょっと割高感が強いのも確かだ。

1990年に開設された当時は親会社の北沢バルブ(現(株)キッツ)の略称からとったキッツメドウズ大泉・清里スキー場を名乗ったが、2002年11月にキッツが運営会社(株)キッツメドウズの全株式を日本ケーブルの関係会社に売却し、日本ケーブルの傘下に入り、スキー場名もサンメドウズとなった。ちなみにメドウズとは、牧草地とか(高地の)草原という意味の英単語だそうだ。

ベースエリアは、以前ロープトゥのみの小さなスキー場があった位置と思われるが、確証はない。

山頂からの滑り出しはちょっと斜度があるので、初級者にはちょっと厳しいかもしれないがボーゲンがしっかり出来ればクリアできると思われ、ここさえ大丈夫なら初級者でもなんとかトップから降りれるだろう。

スキー場開設時には三菱重工製のYANクワッドが架設されていたが、その許可を生かして変更認可で日本ケーブルのクワッドに架け替えられている。この完成と同時期に営業譲渡がなされているので、それを見越した架替えだったと思われる。

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停留場の機械カバーは、日本ケーブルで標準だったETタイプからモデルチェンジしているが、内部の骨組みを見るとETタイプと共通の構造にも見え、全面的なモデルチェンジかどうか不明だ。

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建屋になった車庫はないが、露天の車庫線はある。おそらくシーズン中は車庫線に格納する事はないのだろう。

搬器はモデルEで、クリップはトーションバースプリング方式。

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山頂停留場も山麓と同デザインの機械カバー。監視室はその形状から、三菱重工製時代の小屋を流用していると思われる。

執筆日:2006年4月13日

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2005.02.26

駒ケ岳ロープウェー ~僚友 駒ケ岳ケーブルの廃線決定

KOMARW

駒ケ岳ロープウェー
事業者名:伊豆箱根鉄道株式会社
公式サイト:http://www.izuhakone.co.jp/index.htm
所在地:神奈川県足柄下郡箱根町元箱根138
区間:箱根園~駒ケ岳山頂
キロ程:1783m
高低差:586m
支柱:2基
輸送能力:1616人/時
速度:5.0m/s
動力:電気
許可年月日:1962年3月8日
運輸開始年月日:1963年4月27日
種別:普通索道
方式:四線交走式(2支索2えい索)
搬器定員:101名 駒ケ岳・芦ノ湖
山麓:不明
山頂:不明
索道メーカー:安全索道
搬器メーカー:CWA(1986年)

観察日:2002年6月15日

芦ノ湖湖畔の箱根園と駒ケ岳山頂を結ぶ交走式ロープウェイ。山頂で同じ伊豆箱根鉄道の運営する駒ケ岳鋼索線と徒歩連絡し、通しの乗車券も発券される。

2支索2えい索で、支柱は2基だが、画像にあるように懸垂索受もある。メーカーは安全索道だが、1986年に日本ケーブルによりCWA社製搬器に交換された。

訪問日はご覧のように山頂部はガスの中で、まったく展望が利かず、その中を鋼索線の駅まで歩いて、ケーブルカーで下山した。鋼索線山麓駅を通るバスは少ないので、かなり待たされた。2005年2月25日に、2006年2月末をもって鋼索線を廃止する届けが出されたので、下にサービス画像を載せておく。

その後、廃止日が繰りあがり、2005年8月31日山頂発16:30をもって廃止となることが決まっている。(2005年8月25日加筆)

KOMACA

(2005年2月26日執筆)

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