カテゴリー「中部運輸局」の記事

2008.03.11

小室山観光リフト

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小室山観光リフト

事業者名:東海自動車(株)
公式サイト:http://www.izu-station.com/sub/tutuji/lift.htm
所在地:静岡県伊東市富戸先原1317-5
キロ程:252m
支柱基数:9基 円筒鋼管柱
高低差:不明
最急勾配:不明
輸送能力:450人/時
搬器台数:不明
速度:不明
回転方向:時計
動力:電気 22kw
許可年月日:1988年2月15日
運輸開始年月日:1988年3月20日
(初代開業:1962年10月1日)
種別:特殊索道
方式:単線固定循環式
搬器定員:1人 ホロ付き
山麓:原動緊張(油圧)
山頂:折返
索道メーカー:日本ケーブル

観察日:2007年6月4日

伊東市小室山公園内にある観光リフト。同じ伊東市内にある、よく似た名前の大室山の方が、観光地としての知名度が高く、山自体も目立っており、周辺に観光 施設が多いために、輸送実績では差が付いているようだが、こちらの方が先に開業している。山頂の標高も大室山に負けているが、こちらのほうが海に近く、す ぐ下の海岸沿いにある、名門ゴルフ場川奈ゴルフクラブを見下ろすロケーションは、大室山とは違った魅力がある。

Komuro02 事業者は、東海バスの名前で知られる東海自動車。ただし、現施設の架替え時は、系列の東海興業であった。

現行の施設は、初代の老朽化に伴い、1988年に架け替えられたもので、ペア化するほどの需要はないということで、シングルリフトのままとなった。架設場所は変わっていないが、停留場機械の関係で、若干線路が短縮されたためか、旧線廃止・新線新規許可の形となっている。

停留場の屋根は、先代用に設置されたものを引き続き使用している。機械自体は、標準的な2コラム・標準機械カバー。

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観光地らしく線路用地はしっかり整地され、緑化してある。標準仕様ではメッキ無塗装部分も塗装されているのは、国立公園内に立地するためと思われる。搬器には、幌がある夏山リフトでは標準的な仕様。

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山頂停留場も先代リフト時代のコンクリート製屋根が残っているが、折返装置の寸法の関係か、屋根の手前に停留場が置かれている。手前の建物は、円形展望台で、2階がガラス張りの展望室で、屋上に展望台がある。これも先代時代からの施設である。

一時は、夏山リフトが数多くあった静岡県も、今ではこの伊東市内の2本だけになってしまった。

執筆日:2008年3月11日

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2008.03.07

大室山登山リフト

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大室山登山リフト

事業者名:池観光開発(株)
公式サイト:http://www.i-younet.ne.jp/~oh-murol/index.html
所在地:静岡県伊東市富戸先原1317-5
キロ程:305m
支柱基数:8基 円筒鋼管柱
高低差:139m
最急勾配:
輸送能力:900人/時
搬器台数:59台
速度:1.3m/s(通常は0.8m/sで運転)
回転方向:時計
動力:電気 45kw
許可年月日:1990年12月18日
運輸開始年月日:1991年3月1日
先代開業:1965年8月1日
種別:特殊索道
方式:単線固定循環式
搬器定員:2人 セフティバー・ホロ付き
山麓:原動緊張(油圧)
山頂:折返
索道メーカー:日本ケーブル

観察日:2007年6月4日

伊豆半島には、普通索道が3本(アタミを入れると4本)あるが、リフトも2本ある。その2本共に伊東市内で割と近く、場所も小室山と大室山と名前が似ている。ということで、伊豆半島の2本のリフトを一気に片付けるべく、伊東市内を回った。

Img_1920_2 名前が似ている2つの山は、大室山の方が高く、またお椀を伏せたような独特の山容や毎年山焼きを行うので樹木がなく、非常に目立つ。このためか来場者は大室山の方が多く、1991年にペア化された。以前は、日本ケーブル製のシングルリフトが架かっていた。筆者は、シングルの時代には来た事があったが、ペアになってからは初めての訪問だ。ペア化の際に、旧線廃止、新規許可の形になっているが、位置はほとんど変わらない。以前と比べると山に向かって、少し右側にあるような感じがするので、登る際に左側に平行する伐採した空き地が旧線の跡かもしれない。

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リフト乗り場とは思えないような立派な建物は、シングル時代からあり、たぶんその建物を使っていると思う。シングル時代は建物にくっつくように乗り場があったと思う。

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4コラム形原動緊張装置を左右の2本足にしたような原動緊張装置。見ようによっては、安全索道のαドライブにも似ている。

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標準仕様ではメッキで無塗装の支柱のアームや作業アーム部分などが黄緑色に塗られている。これは、国立公園内での架設のため、公園事務所からの指示によってメッキ無塗装が認められなかったためだ。

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折返装置は標準タイプだが、やはりメッキ部分も塗装されている。

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搬器はモデルEで、セフティバー・ホロ付き。夏山営業のみでのペアリフトは珍しく、したがってホロ付きは珍しい。これまでに筆者が確認したのは「六甲山カンツリーハウス 展望ペアリフト」のみ。すでに廃止された「えぼし岳高原リゾートスポーツの里リフト」もモデルEだったが、夏山リフトとはいえ、人工芝スキー用のためかホロはなかった。

サスペンダーが塗装されているのも支柱などと同じ理由だろうが、珍しい。

執筆日:2008年3月7日

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2007.12.08

【ニュース】近江鉄道3スキー場の譲渡先決定

10月11日に売却が発表された近江鉄道の箱館山・国境・福井和泉の3スキー場の売却先が決定した。

まず10月25日に、箱館山スキー場のジェイ・マウンテンズ・グループへの売却が近江鉄道から発表され、12月7日には、ジェイ・マウンテンズ・グループの公式サイトでも箱館山スキー場のグループ入りが告知された。同グループでは、傘下スキー場の運営をエリア単位の運営会社に委ねているが、同スキー場の運営会社は調べた範囲では不明。

続いて11月29日に、国境スキー場の株式会社マックアースへの売却が近江鉄道から発表された。新聞報道によれば、近江鉄道の運営でオープンし、1月上旬に運営を引き継ぐもよう。マックアースは、ハチ高原のゲレンデ食堂経営から宿泊業・飲食業・旅行業などに進出した会社。公式サイトはこちら。マキノパークホテルのサイトで、国境スキー場の買収に触れているが、運営の引継ぎ日には明確にされていない。

最後に12月7日、福井和泉スキー場の株式会社穴馬組への売却が近江鉄道から発表された。新聞報道によれば、譲渡日は2008年1月11日で、それまでは近江鉄道が運営を行う。穴馬組は大野市の土木業者で社長が県スキー連盟副会長を務め、スポーツ振興に協力している点が評価されたようだ。

※箱館山譲渡の新聞記事
※国境譲渡の新聞記事
※福井和泉譲渡の新聞記事

執筆日:2007年12月8日

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2007.01.26

“レインボーライン”梅丈岳第2リフト ~こちらが先の登場だった

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“レインボーライン”梅丈岳第2リフト

事業者名:(株)レインボーライン
公式サイト:http://www.mikatagoko.com/
所在地:福井県三方上中郡若狭町
キロ程:180m
支柱基数:不明
高低差:不明
最急勾配:不明
輸送能力:450人/時
搬器台数:不明
速度:不明
回転方向:反時計
動力:電気 15kw
許可年月日:1971年7月7日
運輸開始年月日:1971年9月15日
種別:特殊索道
方式:単線固定循環式
搬器定員:1人
山麓駅:原動停留場
山頂駅:緊張(重錘)停留場
索道メーカー:日本ケーブル
鋼索メーカー:不明

観察日:2006年10月21日


「レインボーライン」の観光リフトとしては、梅丈岳第1リフトよりも第2リフトのほうが早い登場だった。むろん、登場時は「第2リフト」とは名乗っておらず「梅丈観光リフト」だった。事業者は「スエヒロ若狭観光」であったが、同社と現在の(株)レインボーラインのつながりは、まだ未調査でよく分からない。著名な飲食店「スエヒロ」と関連がある会社であったらしく、筆者は1980年代に三方五湖の近くでスエヒロの名前を冠した店舗(レストランか旅館・・よく覚えていない)を見た記憶もある。

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梅丈岳の山頂をはさんで第1リフトと反対側に架設されている。こちらには有料道路本線沿いに第2駐車場があり、ここと山頂公園を結ぶ。路線である。この画像のように第2駐車場からはリフトの姿はあまり見えず、(画像中央やや右側の木立の後ろに山麓停留場)停留場までは有料道路本線を横断した上でスロープを登らないとならないので、人気がないことも理解できる。実際、訪問日もリフトは運休であった。第1リフトの係員に話を伺うと混雑時にしか運転はせず、次回に運転するとなれば「GWだろう」言っていた。

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山麓停留場はペデスタル形の原動装置で、建設年次を考えると搬器や索輪等は妙に新しく、比較的規模の大きな更新が交換が行われたと思われる。日本ケーブルのシングルリフト搬器にしては背もたれが高い。

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第1リフトで登り、山頂公園を散策すると第1リフトの山頂停留場を見下ろす場所に着いた。山頂には重錘式緊張装置がある。運賃は、第1リフトと共通の往復500円。バスでも通っていれば、第1で上がって第2で降りるような乗り方も可能だろうが、実質、車でのアクセスしかないとなれば、それも困難。山麓同士の徒歩連絡は不可能ではないが、けっこう距離がある上に道路には歩道がなく、ブラインドカーブも多いので危険だろう。そもそもレインボーラインが徒歩通行を認めているかどうか、確認していない。

実は、以前の訪問時も第1リフトに乗っており、今回は第2リフト乗車が主目的だったので、今回の運休には少々落胆した。次回訪問時には、事前に運転を確認してからの訪問になると思うが、道路通行料を合わせるとリフト1本に実質1500円・・・安いスキー場なら半日券の値段である。再訪は何時になることか・・・


執筆日:2007年1月25日


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2007.01.25

“レインボーライン”梅丈岳第1リフト ~三方五湖観光の要

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“レインボーライン”梅丈岳第1リフト

事業者名:(株)レインボーライン
公式サイト:http://www.mikatagoko.com/
所在地:福井県三方上中郡若狭町
キロ程:151m
支柱基数:4基
高低差:不明
最急勾配:不明
輸送能力:450人/時
搬器台数:不明
速度:不明
回転方向:反時計
動力:電気 22kw
許可年月日:1983年4月2日
運輸開始年月日:1983年5月1日
種別:特殊索道
方式:単線固定循環式
搬器定員:1人
山麓駅:原動緊張(油圧)停留場
山頂駅:終端停留場
索道メーカー:日本ケーブル
鋼索メーカー:不明

観察日:2006年10月21日



福井県若狭地方を代表する観光地三方五湖にある観光道路「レインボーライン」にある観光リフト。有料道路本体は福井県道路公社が運営しているが、沿線にある山頂公園やその付帯設備は株式会社レインボーラインが運営しており、駐車場と山頂公園を結ぶリフトの事業者である。

筆者は、以前にも訪問しているが未撮影であったので、北陸本線敦賀直流化の出発式の見学後立ち寄ることにした。レインボーラインの普通車通行料金は1000円、かなり割高である。福井県道路公社の公式サイトには1020円とあるが、なぜか1000円しか徴収されず、公式サイトのミスなのか不思議だ。

梅丈岳第1リフトの起点である第1駐車場は、有料道路本線から少し離れた位置にあり、リフトの開業年と合わせて考えると、おそらく追加で作られた設備と思われる。

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駐車場から一段上がった位置に起点停留場がある。この画像には写っていないが、隣接してリフトに平行するリフトカーの乗り場もある。運賃は往復500円で片道運賃の設定はない。リフトカーと共通乗車となっている。

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原動緊張装置は初期のタイプで、ダイナランドから松ペアリフトと同じように、後の標準機械カバーよりも小型の機械カバーとなっている。

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ほぼ全線に渡り保護網が設置されている。左側に見えるのがリフトカーの線路。

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山頂の終端装置はAポスト形。

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これが平行するリフトカーの車両。安全索道製と聞いたような覚えがあるが、残念ながらメーカーの手がかりは見つけられなかった。

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扉は山頂寄り1ヶ所のため、山麓乗り場は地中に隠れるように掘り込み式となっている。

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これがリフトカーの車内。かなり傾斜がある車両である事がわかる。リフトカーの導入は、主に車椅子対応のためだそうで、駐車場から乗り場まではスロープが整備されたほか扉付近には車椅子が乗れそうなスペースが確保されている。

執筆日:2007年1月25日

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2007.01.09

伊豆長岡かつらぎ山パノラマパーク“スカイライド” ~国道バイパスを横断するゴンドラ

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伊豆長岡かつらぎ山パノラマパーク“スカイライド”

事業者名:大日(株)
公式サイト:http://www.panoramapark.co.jp/index.htm
所在地:静岡県伊豆の国市長岡260-1
キロ程:1791.75m
支柱基数:16基
高低差:411.11m
最急勾配:不明
輸送能力:900人/時
搬器台数:40台
速度:5.0m/s
回転方向:反時計
動力:電気 280kw
許可年月日:1960年10月14日
運輸開始年月日:1962年5月3日(初代)
現設備建設年月日:1992年9月
種別:普通索道
方式:単線自動循環式
搬器定員:6人
山麓駅:原動停留場
山頂駅:緊張(油圧)停留場
索道メーカー:日本ケーブル
搬器メーカー:CWA社 OMEGAタイプ
鋼索メーカー:不明

観察日:2006年10月13日

伊豆半島北部の中央にある伊豆長岡温泉の温泉街外れから葛城山に架設された普通索道。山麓駅のすぐ側に伊豆の国市役所があり、もしかしたら日本で一番市役所に近い普通索道かもしれない。最寄のバス停も「伊豆の国市役所前」であり、伊豆箱根鉄道駿豆線伊豆長岡駅からは、概ね1時間に3~4本のバスがあるので、公共交通を利用しての訪問が容易い部類になると思う。ただ、大半のバスは温泉街を半周するので、駅からの距離の割には時間がかかる。索道巡りには車利用が多い筆者も、今回は鉄道とバスの乗継だ。

バス停には細い路地を抜ける近道の案内があり、なかなか親切だ。

ここは、1962年に三線自動循環式で開業、開業時の事業者は伊豆長岡ロープウェイだったが、後に日本ケーブルの関連会社である大日(株)の経営に代わり、現在に至っている。三線自動循環式時代のスペックは以下の通り。

キロ程:1760.48m
支柱基数:9基
高低差:413.42m
最急勾配:23度26分
輸送能力:600人/時
搬器台数:32台
速度:2.0m/s
回転方向:不明
動力:電気 150kw
搬器定員:10人
索道メーカー:日本ケーブル

山麓停留場のすぐ南側を国道136号線バイパスが通過する事になり、この区間は高架道路で計画されていたために、線路の大幅な改修が必要となった。これを機に三線自動循環式から単線自動循環式にリニューアルする事になり、旧線の索道事業許可を生かしながら変更認可で架替が行われた。このような経緯があるために、単線自動循環式でよく使われるゴンドラではなく、ロープウェイという呼称を引継いでいる。

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山麓停留場は市街地に隣接しており、水田を横断してから山にかかる。山麓駅舎はドライブイン的な要素を持ち、特に観光バスの昼食場所として売り込んでいるために、ロープウェイの規模の割に、広い駐車場と収容力のあるレストランを持つ。

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日本ケーブル製のゴンドラではお馴染みの仕様銘板。

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これがリニューアルの大きな動機となったバイパスとの交差地点。すぐ左手が山麓停留場。2枚目の駅舎画像の撮影位置がほぼ道路上空。以前にはルスツスキーリゾートのイーストゴンドラ1号線が日本唯一の国道を横断するゴンドラだったので、ここは国道横断の第2号になると思われる。

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これは山すそにある市道との交差地点にある保護網。構造などから三線自動循環式時代の保護網を流用していると思われ、おそらく先代の唯一の遺構と思われる。

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小さなピークを越え谷を渡るという線下の地形のため、三線自動循環式時代では大スパンで一気に渡った谷も地形に沿って低く降ろしている。そのため圧索支柱が増え、乗り心地やメンテの面では好ましくないが、風には強くなったものと思われる。筆者が旧線時代に乗車した際は、強風でインゴットを積んだ上で減速運転を行い、それでも左右に揺れたという記憶がある。

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山頂駅は機械カバータイプ。到着側のすぐ外側に木製テラスが設けられ、到着するゴンドラの絶好の見学場所になっている。

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山頂からは伊豆半島西海岸の海が見える。この中央のおむすび形の島が淡島で、海上ロープウェイで結ばれているが、このとおり若干もやっており、全然判別がつかなかった。

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山頂駅内の搬器。屋根に載っている長方形の箱は制振装置で、石川島播磨重工業と日本ケーブルの共同開発品。全搬器に装備されているわけではないようなので、親会社である日本ケーブルが比較試験用に一部の搬器のみに装備したものがそのまま残されているのかもしれない。

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後期のOMEGAタイプに付けられてる銘板。

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夜間運転を行うので、ゴンドラに珍しい室内灯が装備されてる。電源は座席下のバッテリー。

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これが燈具のスイッチでバッテリーと並んで椅子下にある。室内灯のほかに、搬器外側の標識灯と非常灯のスイッチが並ぶ。

執筆日:2007年1月9日

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2006.12.25

番外編:2006年度の索道動向:普通索道編

2006年度はまだ3ヶ月以上あるが、索道界としてはスキー場の新設索道が明らかになるこの暮れで、その全容がほぼ明らかになったと言っても過言でないだろう。そこで現時点で筆者が掴んでいる索道の動向を新設情報中心にまとめてみた。

正直言って、かなり抜けがあると思われるので、コメントでどんどん補足いただけるとありがたい。

まずは普通索道編。


◎新規開業普通索道

○ニセコ グラン・ヒラフ
・エースセンターフォーゴンドラ ニセコ高原開発(株) 2006.8.1運輸開始
※2006年度新設の普通索道は無いと思っていたら、とんだ伏兵が潜んでいた。→の「索道ニュース」でもお伝えしたように8月1日から10月9日まで、エース第2センターフォーリフトを流用してヒラフゴンドラのキャビンを使い、普通索道として営業した。白馬47とタングラムが2004年夏営業で導入したものと同様なクワッドの利用法だが、キャビンは夏冬兼用で使う点が新たな試みである。

◎休廃止普通索道
○稚内公園
稚内公園ロープウェイ 稚内市 1975.7.27運輸開始
※日本で最北の索道・ロープウェイである稚内公園ロープウェイが、利用者減と設備老朽化のため2006年3月31日限りで営業を終えた。最終営業日から2006年4月1日付の廃止と思われる。
この結果、日本最北のロープウェイは、大雪山層雲峡・黒岳ロープウェイとなっている。

○ニセコ東山スキー場
ニセコ東山ゴンドラ (株)プリンスホテル 1982.12.15運輸開始
※2005-2006シーズンでは休止と伝えられ、休止中のままコクドからプリンスホテルに譲渡された本ゴンドラは、キャビンを流用したアート作品が札幌近郊の公園で展示されており、プリンスの公式サイトのゲレンデマップからも抹消されている(ニセコ三山の共同サイトでは休止中として掲載)ので、休止中としても実質的には廃止と思われる。太平索道がミューラー社との提携で導入した単線自動循環式の最後の1本であった。

○ARAI MOUTAIN&SPA
・新井ゴンドラ 新井リゾート(株) 1993.12.19運輸開始
※運営会社である新井リゾートマネージメントの特別清算により、今シーズンの営業を断念。資産は外資系投資会社が保有しており、施設の保全のみを行って来シーズンからの運営者を探している。
安全索道製定員10名の立ち乗りゴンドラ。立ち乗りとしては、野沢温泉長坂(2代目)に次ぐ国内第2号機である。

○牛岳温泉スキー場
・牛岳ロープウェイ 富山市 1981.12.18運輸開始
※設備老朽化のため本ロープウェイでアクセスするユートピアゲレンデを今シーズン休止と告知している。このまま廃止の公算が高い。安全索道製交走式で、ワンスパンで谷を渡る。


○三峰山(埼玉県)

・三峰ロープウェイ 秩父鉄道(株) 1964.4.29運輸開始
※設備老朽化のため2006年5月19日から2007年5月31日までの予定で休止している。これを報じる中では、収支面で復旧に及び腰な様子も読み取れたので、発表どおり休止を終えるかどうか予断を許さない状況と思われる。

○箱根(神奈川県)
・箱根ロープウェイII期線 箱根ロープウェイ(株) 1960.9.7運輸開始
※三線自動循環式から複式単線自動循環式フニテルへの架け替えのため、2006年6月1日から2007年5月31日までの予定で運休中。2007年6月1日から新線の営業開始予定。2005年3月に宮島ロープウェイが二線自動循環式に改造され、後述の通り奈良ドリームランドスカイウェイが3月に休止されたため、この休止により日本独特の技術であった三線自動循環式は全て姿を消した。

○朝日村営鈴蘭シャンツェ(岐阜県)

・鈴蘭グループゴンドラ 朝日村 1996.2.10運輸開始
※『平成17年度鉄道要覧』には休止中として掲載されていたが、平成18年度版からは記載が無く、2005年度中、もしくは2006年4月1日付で廃止されたものと思われる。なお、朝日村は2005年2月1日付で高山市と合併しており、平成17年度版に朝日村として掲載されていること自体が問題であった。同シャンツェは現役ジャンプ台であり、2007年2月開催の第19回全国高等学校選抜スキー大会会場にも使われる予定である。運輸開始年から判るように老朽化とは考えにくく、運営コストが負担であったための廃止と思われるが、メーカーの太平索道が廃業した事も関係するかもしれない。高山市が2006年度に鈴蘭シャンツェの指定管理者を募集していたが、委託業務に索道は含まれておらず復活の目はなさそうだ。
本ゴンドラは、単線固定循環式を採用している点が珍しく、また普通索道完乗を目指す人には、競技関係者のみの利用となっていたために「乗れない」事で知られていた。
『鉄道ピクトリアル2001年4月増刊号 千年の京にありて』掲載の「単線固定式普通索道について」という記事が、本ゴンドラをまとめて紹介する数少ない文献と思われる。

○比良山スキー場
比良ロープウェイ 比良索道(株) 1962.8.16
※すでに本ブログでも取り上げたとおり2004年3月末を最後に休止していたが、『平成17年度鉄道要覧』には休止中で掲載されていたものの平成18年度版には記載がない。スキー場ゲレンデの復元作業の目途が立ったため、2005年度中か2006年4月1日付でリフト共に正式に廃止の手続きがとられたものと思われる。

○びわ湖バレイ
アルプスゴンドラ (株)びわ湖バレイ 1975.10.31運輸開始
※株式の大多数を持つ名鉄が、保有する全株を日本ケーブル系のNCリゾートに譲渡すると発表し、その報道の中で来季からはゴンドラを大型ロープウェイに架け替えると報じられた。筆者は、ゴンドラとは別位置にゴンドラの夏営業を行いながらの新線建設となると予想するが、今シーズンの終了と共に営業を休止する可能性も排除できない。営業を行った単線自動循環式普通索道では国内で2番目、現存する中では最古の施設であるので、機会があればこの冬に乗っておきたい。

○奈良ドリームランド

スカイウェイ (株)ドリームパーク 1961.7.1運輸開始
※『平成18年 鉄道要覧』に平成18年8月31日廃止予定として掲載されていたが、機器故障により2006年3月に運休し、そのまま再開することなくドリームランド廃園を迎えた。故障したのは制御盤らしく、代替の部品もないために簡単に修理とはいかなかったようだ。架設当時の機械がほぼそのまま残る三線自動循環式だったので、その廃線は惜しまれる。

○南レク御庄公園

御荘湾ロープウェイ 愛媛県 1977.8.10運輸開始
※設備老朽化と山頂駅付近を通る有料道路の無料化が決まり利用者減が見込まれるため、2006年3月31日限りで営業を終えると決定。実際は、3月27・28日の2日連続で宙吊り事故(27日は搬器が山麓駅構内で脱線、28日は4号柱脱索検出器誤作動)を起こし、29日に運休して総点検を行い、その結果、30・31日は運休となったために3月28日が最終営業日になった。稚内公園と同様、2006年4月1日付の廃止と思われる。
本ロープウェイは日本ケーブルが自社開発した単線自動循環式の最後の1本であり、この廃止によって純国産の単線自動循環式は姿を消した。
本ロープウェイが廃止され、2006年度に立山山麓ゴンドラが富山県から富山市(ないしは同市3セクの大山観光開発)に移管されたため、県営の普通索道は消滅した。

執筆日:2006年12月25日
加筆日:2006年12月26/27日

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2006.06.19

高鷲スノーパーク ダイヤモンドクワッド

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高鷲スノーパーク ダイヤモンドクワッド
事業者名:東和観光株式会社
公式サイト:http://www.takasu.gr.jp/main.html
所在地:岐阜県郡上市高鷲町西洞
キロ程:1670m?
支柱基数:不明
高低差:不明
最急勾配:不明
輸送能力:2400人/時
搬器台数:不明
速度:不明
回転方向:反時計
動力:電気
許可年月日:1998年9月24日
運輸開始年月日:1999年12月23日?
種別:特殊索道
方式:単線自動循環式
搬器定員:4人
山麓:車庫線
山頂:
索道メーカー:樫山工業
鋼索メーカー:不明

観察日:2002年4月8日

スキー場上部の多くのコースをカバーするリフト。山頂から山麓まで滑ると、後半部に緩斜面が多いので、中級者以上ならこちらを繰り返し滑った方が楽しめるだろう。このリフトだけで、旧来の奥美濃エリアのスキー場分ぐらいを楽しめる。

ただ、筆者訪問時はチャンピオンクワッドのシーズン営業が終了していたので、こちらのコースとどちらが楽しいかは比べていない。

さて、本スキー場のリフト名は、正式名と通称が異なる事はパノラマクワッドの記事で触れたとおり。こういうケースは別に珍しくないが、他のスキー場ではリフトの長さや営業開始年などで見分けられるのに対し、本スキー場では鷲ヶ岳の記事でも触れたように、リフト延長の記載が不正確なので、このリフトの正式名称がわからない。

ゲレンデマップなどでは、本リフトは1700mとなっているが、もう1本あるチャンピオンクワッドも1700m。リフトの正式名称では第1リフトが1683mで、第5リフトが1670m。支柱銘板などに正式名が表示されていることもあるが、残念な事にそのような記録をとっていなかったので区別がつかない。名称から推察すると、リフト名で第2・3が飛んでいるので、あと2本保留となっている計画線があるか、1本の保留計画があり、ゴンドラが第2・3のいずれかである可能性もある。または2本のリフトを1本のゴンドラで代用したという可能性も考えられる。

まあとにかく、パノラマとダイヤモンドが乗り継げる位置関係になるので、第4がパノラマであるという事はダイヤモンドが第5である可能性が高いと思うのだがどうだろう。

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正式名称はともかくとして、同時建設だけあり、ハードとしてはパノラマクワッドと同じように見える。ただ、山麓停留場の近くにキュービクルが見当たらないので、山頂原動かもしれない。

山頂の様子はトップ画像の通り。最終支柱がゴンドラとほとんど変わらない高さである事がわかる。これで保護網が無いのは、やはり規制緩和の賜物だろう。

チャンピオンクワッドは、前述のとおり営業を終えており、コースも閉鎖されていたので観察もしていない。よって、これで高鷲スノーパークのレポートは終わり。そして2001-2002シーズンのスキー場関連の索道レポートも終了だ。


執筆日:2006年6月19日

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2006.06.17

高鷲スノーパーク パノラマクワッド

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高鷲スノーパーク パノラマクワッド
事業者名:東和観光株式会社
公式サイト:http://www.takasu.gr.jp/main.html
所在地:岐阜県郡上市高鷲町西洞
キロ程:1237m
支柱基数:19基
高低差:不明
最急勾配:不明
輸送能力:2400人/時
搬器台数:不明
速度:不明
回転方向:時計
動力:電気
許可年月日:1998年9月24日
運輸開始年月日:1999年12月20日
種別:特殊索道
方式:単線自動循環式
搬器定員:4人
山麓:車庫線
山頂:
索道メーカー:樫山工業
鋼索メーカー:不明

観察日:2002年4月8日

1999-2000年シーズンにオープンして以来、エリア屈指のロングコースと全て1キロを越える単線自動循環式索道という快適な環境で、瞬く間に奥美濃エリアの盟主にのし上がった高鷲スノーパークの初級者エリアをカバーするリフト。正式名称は第4リフトだ。

スキー場内の標高差600mをストレートに感じる事ができる資質をもつだけあって、初級者では山頂からの滑降は難しいので、このリフトの重要性は高い。ただ、コース中間部にかなりの緩斜面があるのが難点だ。

リフト線路の大半は、谷の中を進み、最後に崖のような斜面を一気に上がって山頂停留場に至る。この部分の搬器下はかなりの高さになっており、おそらくは1997年度の省令改正による規制緩和により、実現が可能となった設計と思われる。従来なら、間違いなく保護網が必要となった高さと思われ、この点は筆者の好みではない。

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原動がどちらなのかはっきり判らなかったが、このキュービクルの大きさを見ると、山麓原動の可能性が高いと思われる。

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樫山工業のクワッドは、ここの他に鷲ヶ岳、ヘブンスそのはらで見ているが、いずれも機械カバーの形状が違うのが興味深い。搬器の形状はどこも同じように見える。

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これが山頂停留場。本スキー場の奥行きを感じさせる構図だと思っているがどうだろうか?


執筆日:2006年6月17日

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2006.06.15

高鷲スノーパーク SPゴンドラ ~国内唯一の15人乗りゴンドラ

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高鷲スノーパーク SPゴンドラ
事業者名:東和観光株式会社
公式サイト:http://www.takasu.gr.jp/main.html
所在地:岐阜県郡上市高鷲町西洞
キロ程:2538m
支柱基数:26基
高低差:577m
最急勾配:不明
輸送能力:3272人/時
搬器台数:57台
速度:6.0m/s
回転方向:反時計
動力:電気 1120kw
許可年月日:1998年10月15日
運輸開始年月日:1999年12月20日
種別:普通索道
方式:単線自動循環式
搬器定員:15人
山麓:車庫線
山頂:
索道メーカー:樫山工業
搬器メーカー:Fibercar
鋼索メーカー:不明

観察日:2002年4月8日

2002年春のスキー場巡り最終日。スケジュールの都合で、夕方には名古屋に着かないとならないので、高山に泊まって奥美濃地区で1ヶ所攻めて帰る事にする。そうなれば、このエリアの大型スキー場で唯一未訪だった高鷲スノーパークしかない。

この規模のスキー場としては、国内ではもっとも新しく、現在の状況から考えると、新規スキー場としては最後の大規模開発となるかもしれない。しかし、以前にダイナランドの記事で触れたように、元々はダイナランドの拡張エリアとして考えられていた場所で、しかも山頂付近では実にスムーズな形で両スキー場の連絡が可能となれば、新規スキー場としてカウントするのは間違っているのかもしれない。それはともかく、つくづく、両スキー場の不仲が惜しまれる。

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これがベルリンの壁ならぬ「かますの壁」をダイナランド側から見たところ。両スキー場を隔てるのは、このロープと看板のみだが、これを無視して侵入すると財布に大打撃を受ける事になる。・・・・なお「かます」とは、高鷲スノーパークがある場所が「叺谷」で、本スキー場計画段階では「かます谷スキー場」とか「かます高原スキー場」とか呼ばれていた事から、筆者がいま名付けた。

脱索した話を索道に戻そう。ここの特徴は人工降雪機大手の樫山工業製のゴンドラであること。むろん、そうそう簡単に索道メーカーになれるわけではないので、イタリアのライトナー社と技術提携しての参入だった。リフトは何ヶ所か実績をもち、ゴンドラもよみうりランド「スカイシャトル」の実績があるが、スキー場ではここが唯一の実績だ。また、国内で4箇所目の立席ゴンドラとなっている。

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スキー場ベース部にある山麓停留場は、センターハウスからやや離れている。もう少しセンターハウスに近いほうが筆者の好みなのだが、長く並ばせる事を想定したのだろうか。訪問日は4月の月曜だったので、人影もまばらでハイシーズンの様子は想像もできなかった。

停留場本体は機械カバー式で、隣接して建屋式の車庫線がある。スキー場全体のイメージコンセプトがイタリアらしいので、配色はイタリア国旗を意識したものだろう。搬器も赤・白・緑の3色。

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仕様銘板。速度はゴンドラ国内最高速の6.0m/s。

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オープン後3シーズン目で、まだまだ線路敷緑化の途上である事がわかる。

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立席と言っても、多少は腰を預ける段差がついている。とはいえ、着席とは大違いなので、スキーヤーの評判は悪いと聞く。筆者も、登行設備ならともかく、繰り返し乗るゲレンデ用の設備なら着席がいい。

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搬器内の銘板。この画像では見難い「LEITNER KASHIYAMA」のステッカーと手摺の間に貼ってある小さなステッカーを拡大すると下のとおり。

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この「made by Fibercar」が搬器のメーカー名と思われる。「Piacenza」はミラノ州の都市名のようだ。

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山頂停留場も機械カバータイプ。奥側に見えるのはダイヤモンドクワッドの山頂。

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まるでクワッドの山頂のような降り場。側線がある事がわかる。

執筆日:2006年6月15日

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