カテゴリー「近畿運輸局」の記事

2007.12.08

【ニュース】近江鉄道3スキー場の譲渡先決定

10月11日に売却が発表された近江鉄道の箱館山・国境・福井和泉の3スキー場の売却先が決定した。

まず10月25日に、箱館山スキー場のジェイ・マウンテンズ・グループへの売却が近江鉄道から発表され、12月7日には、ジェイ・マウンテンズ・グループの公式サイトでも箱館山スキー場のグループ入りが告知された。同グループでは、傘下スキー場の運営をエリア単位の運営会社に委ねているが、同スキー場の運営会社は調べた範囲では不明。

続いて11月29日に、国境スキー場の株式会社マックアースへの売却が近江鉄道から発表された。新聞報道によれば、近江鉄道の運営でオープンし、1月上旬に運営を引き継ぐもよう。マックアースは、ハチ高原のゲレンデ食堂経営から宿泊業・飲食業・旅行業などに進出した会社。公式サイトはこちら。マキノパークホテルのサイトで、国境スキー場の買収に触れているが、運営の引継ぎ日には明確にされていない。

最後に12月7日、福井和泉スキー場の株式会社穴馬組への売却が近江鉄道から発表された。新聞報道によれば、譲渡日は2008年1月11日で、それまでは近江鉄道が運営を行う。穴馬組は大野市の土木業者で社長が県スキー連盟副会長を務め、スポーツ振興に協力している点が評価されたようだ。

※箱館山譲渡の新聞記事
※国境譲渡の新聞記事
※福井和泉譲渡の新聞記事

執筆日:2007年12月8日

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2007.03.03

須磨浦ロープウェイ ~三代目搬器登場

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須磨浦ロープウェイ ~三代目搬器登場

事業者名:山陽電気鉄道(株)
公式サイト:http://www.sanyo-railway.co.jp/
所在地:兵庫県神戸市須磨区一ノ谷町5-3-2
区間:須磨浦公園~鉢伏山上
キロ程:446.69m
支柱基数:無し
高低差:180.51m
最急勾配:不明
輸送能力:360人/時
搬器台数:2台
速度:2.5m/s
動力:電気 100馬力(75kw?)
許可年月日:1957年3月14日
運輸開始年月日:1957年9月18日
種別:普通索道
方式:三線交走式(1支索2えい索)
搬器定員:30名(車掌乗務無し)
搬器台数:2台(1号搬器:やまひこ・2号搬器:うみひこ)
山麓:支索重錘緊張・曳索重錘緊張停留場
山頂:原動停留場
索道メーカー:(株)鹿島製作所
搬器メーカー:
 二代目 川崎重工業(株)(1980年)
 三代目 川崎重工業(株)(2007年)
鋼索メーカー:東京製綱(株)

観察日:2007年3月2日

本ロープウェイは、2005年2月27日付記事で取り上げているが、このたび搬器キャビンの交換を行ったので再度レポートする。そのため、上述のスペックは再掲であるが、搬器に関係する部分のほか、傾斜長が変わっている。これは現地の掲示に合わせたもので、新旧のどちらかの掲示が間違っていたものと思われる。現在の表示は『鉄道要覧』の値に一致するので、こちらが正解かと思われるが、えてして本書のデータも不正確な事があるので、結論づけるのは避けておく。

さて、今回のキャビン交換は2月27日~3月1日の3日間運休して行われ、3月2日11時からから、新キャビンによる営業を開始した。

2月27日は出張中のために工事の見学はできず、28日午後に現場に出かけた。

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現場到着時はちょうど昼休み中だったようで、現場にはトラックに載せられた新キャビンと高所作業車などが待機し、その上空にはサスペンダーのみがぶら下がっていた。この時点で1号搬器側はすでにキャビン交換を終え、山頂停留場付近に見えていた。見物に来ていた近所の人の話によると27日に1号搬器の交換を行ったそうなので、両日共に午前中に旧キャビンの取り外しを行い、午後に新キャビンを取り付けたものと思われる。

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トラックに積まれた向きは、線路に対しほぼ直交しているので、チェーンで吊上げながら空中でキャビンを回して、方向を揃える。

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電動チェーンブロックを使っているのか、巻上げは地上からの操作で行われた。サスペンダー密着するまで持ち上げたところで高所作業車を使い作業員が乗り移り、キャビンとサスペンダーの仮結合を行った。

前回の記事でも書いたように、本ロープウェイのメーカーは、現存する索道メーカーではなく、メンテ体制がどうなっているのか興味津々であり、今回の交換作業もどこが行うのか疑問に思っていたが、作業員は日本通運の制服を着用。現場にも「日本通運 神戸重機」と表記された車が来ていたので、キャビンの交換作業に直接タッチしたのは日本通運だと思われる。ほかに見かけた関係者は、車やヘルメットや制服などから察するに、山陽電鉄、川崎重工業、大阪車輌工業の方々と思われ、おそらく今回のキャビン交換工事は新キャビンの製作から交換までを川崎重工業で請け負ったのではないかと推察される。一般的には索道メーカーが請け負うケースが多いと思われ、このような形態は珍しいのではないだろうか。

話を現場に戻すと新キャビンの仮結合を終えた搬器は、山麓停留場付近に移動させた。おそらく、本結合作業をここで行ったものと思われるが、近くに見学に適した場所がないため見学は移動を確認した時点で終了。3月1日は試運転・調整に当てられたものと思われるが、現地確認はしていない。

新キャビンの営業初日となった3月2日。営業開始は11時、3月4日までの3日間は毎日先着1000名に無料乗車券配布と発表されていたため、営業開始に合わせて現地に向かう。実は筆者は、1980年の二代目デビュー当日も現地訪問しており、この時は通常の営業時刻だったような記憶がある。関係者のセレモニーはあったようだが、一般向けのセレモニーがあったかどうかの記憶が定かでない。記憶にあるのは関係者セレモニーで鏡開きを行ったこも樽のお酒が大量に余っており、その場に居合わせた数少ない一般人にも振舞われたこと。そのときは2月だったせいもあり、一般人はほとんど居なかったことが印象に残っている。

今回は前回とは大違いで、ギリギリに着いた事もあって、須磨浦公園駅では階段の下のほうまで列が続いていた。結局、第1便には乗れずピストン運転された第2便に乗ることになった。3月3日付け毎日新聞記事によれば、運転開始時には約50人が並んだそうで、これは私の体験と合致する。

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配布の無料乗車券は配布当日限り有効で、このように山上のカーレーターやリフト料金込みのセットきっぷもロープウェイ運賃相当を引いた価格での発売なので、実質はこの3日間はロープウェイに無料招待という性格のようである。このきっぷ売り場の様子を見る限りでは「先着1000名」というのは有名無実のような印象を受ける。

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セレモニーの痕跡も生々しいホームから1号搬器「やまひこ」で出発。セレモニー後、招待された幼稚園児40名が試乗したそうなので、私が見送った一般客が乗った2号搬器「うみひこ」は2番目の出発、この1号搬器がセレモニーの後に出発した搬器と思われる。

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中間地点ですれ違う2号搬器「うみひこ」。1号と2号は、同じ塗り分けパターンであるが紅白の色遣いが逆である。この紅白の色は、源平合戦の古戦場である事をから平氏と源氏の旗印を意識して決められたそうだ。ちなみに旧搬器も紅白であったが、2台共に同じデザインであった。搬器自体の形状は、新旧共に良く似ており、正面窓が1枚の上下分割から、左右2枚となった上に上下分割となった点が異なる程度。ただ、窓回りや桟が黒色塗装となったため近代的な印象を受ける。

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搬器内のメーカー銘板は、このとおり「川崎重工」のみであり、搬器更新工事には索道メーカーが関わっていないことの傍証になろう。また、交換工事に立ち会っていた大阪車輌工業の銘板もなく、同社は川重の協力企業としての関わりと思われる。おそらくは、実質的には大阪車輌工業の設計製作で川重は元請としての管理監修だったのだろう。

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二重天井になっており、段差部分に小型蛍光灯が収められており、間接照明になっているものと思われる。索道搬器の間接照明は初めて見た。

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重ね塗りで読み難いが、サスペンダーには「川崎車輌 昭和32年」の楕円銘板がある。一般的なのは、キャビン部分は車輌メーカー製でもサスペンダー部分は索道メーカー製であるのが一般的で、この部分には索道メーカーの銘板があるほうが多い。メーカーである鹿島製作所は一般的な索道メーカーではないので、地上機械のみを担当し、搬器はキャビンのみならずサスペンダーや走行装置も川崎車輌が担当したのかもしれない。

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停留場の仕様掲示も、キャビン交換に合わせて新調された。前述の傾斜長の相違のほか、搬器交換年月日も入れられ、情報がより充実した。一般客は無関心だろうが、マニア的にはまことに喜ばしい事である。

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搬器前面の記念ヘッドマークは、先日の「2200万人達成」では山麓寄りのみであったのが、今回は山頂寄りにも掲げられた。

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ヘッドマークデザインは、両搬器・前後の4枚共に共通だったようだ。

執筆日:2007年3月3日

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2007.02.09

エキスポランド レインボーロード ~遊園地のリフト

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エキスポランド レインボーロード

事業者名:泉陽興業(株)
公式サイト:http://www.expoland.co.jp/index.html
所在地:大阪府吹田市千里万博公園
キロ程:161m
支柱基数:不明
高低差:不明
最急勾配:不明
輸送能力:不明
搬器台数:不明
速度:不明
回転方向:時計
動力:電気
許可年月日:1972年1月19日
運輸開始年月日:1972年3月15日
種別:特殊索道
方式:単線固定循環式
搬器定員:1人
山麓駅:原動停留場
山頂駅:緊張停留場
索道メーカー:不明
鋼索メーカー:不明

観察日:2006年10月28日



大阪万国博覧会に併設され登場した遊園地「エキスポランド」内にあるリフトがレインボーロードである。ただし、万博開催時にはなく、登場は単独の遊園地としてデビューしてからだった。

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南ゲートからウォーターパーク「カリビアンリゾート」の上空を横断して、遊園地中心部を結び、遊戯施設というよりも輸送機関としての色合いが濃い。そのため、南駐車場を使わない入場者の少ない時には運休しているようである。実は、観察日も運休していた。

今回の訪問は、&h3f3fさんの「つなわたり」とものぐさ太郎さんの「楽しい遊覧鉄道」の合同オフ「第4回乗りマス会」に参加してのもの。レインボーロード以外の遊戯鉄道は全て運行していたのにリフトが運休で残念だった。

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銘板が見つからなかったのでメーカーは不明。正直言って、この年代の機械になると私の知識では外観でメーカーを判定するのは無理である。事業者の泉陽興業は遊戯施設の大手メーカーでもあるが、得意分野以外はOEM供給を受けている場合もあり、自社製で無い可能性のほうが高いと思われる。

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実は、以前に乗車しているはずだがまったく記憶にない。今回も乗車していないが、見えた範囲では、全てがこのように保護網の上だった。

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遊園地のリフトらしく、搬器はこのようにユニークな形状。

エキスポランドは株式会社エキスポランドの経営であるが、遊園地では個々の遊戯施設が別の事業者であることは珍しくなく、本リフトもその例に漏れず、泉陽興業が営業参加しているのだそうだ。


執筆日:2007年2月9日


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2007.01.07

祝!須磨浦ロープウェイ2200万人達成

いささか旧聞ですが、新年らしくおめでたい話題を・・・・

山陽電鉄が運営する須磨浦ロープウェイは、2006年9月30日2200万人乗車を達成した。昨年11月に訪問したところ、これを祝う大きな看板が掲げられ、搬器にはヘッドマークが取り付けられていた。

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ヘッドマークは両搬器共に山麓側のみ。今回は、当ブログ初の試みとして画像をSVGAサイズで作成した。画像をクリックすると原寸表示されるので、さらに画像を右クリックしてデスクトップの壁紙に設定できる。※ココログの仕様で800×600ピクセルにリサイズされてしまいました(汗) 後日、別のサーバーに壁紙用の領域を設けますので、それまではこれで堪忍してくださいm(_ _)m

本ロープウェイは、本年9月18日で開業50周年を迎える。さらに本年は同社の前身である兵庫電気軌道が設立されて100周年という節目の年であるので、これらを記念して搬器交換を本年2月におこなう予定である。新搬器の営業開始日は、まだ正式に決まっていないようだが、新搬器の営業が始まれば、またレポートをあげたい。

執筆日:2007年1月7日

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2007.01.06

八幡山ロープウェー ~八幡山城址に架かる観光ロープウェイ

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八幡山ロープウェー

事業者名:近江鉄道
公式サイト:http://www.ohmitetudo.co.jp/hachimanyama/index.html
所在地:滋賀県近江八幡市宮内町
キロ程:543m
支柱基数:2基
高低差:157m
最急勾配:不明
輸送能力:不明
搬器台数:2台 もみじ号(No.1)、さくら号(No.2)
速度:不明
動力:電気
許可年月日:1961年9月15日
運輸開始年月日:1962年11月23日
種別:普通索道
方式:三線交走式
搬器定員:25人(車掌省略)
山麓駅:原動停留場
山頂駅:緊張(油圧)停留場
索道メーカー:大和索道
搬器メーカー:大阪車輌工業(2006年2月21日交換)
鋼索メーカー:不明

観察日:2006年9月23日


滋賀県中央部の琵琶湖東岸にある近江八幡は、豊臣秀次が築いた城下町で近江商人の町として発展した。現在ではその商都の面影と水郷の町として知られている。この町の礎となった八幡城があった八幡山山頂近くと城下町を結ぶのが、八幡山ロープウェーである。最短距離にある山麓部と結ぶのではなく、ほぼ尾根沿いに日牟禮八幡宮の近くを結ぶところに路線設定の工夫のあとが見られる。同八幡宮は左義長祭で知られる観光スポットである。

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この画像をみると駅前広場風であるが、実は駅前はバスも通る道路。道路とほぼ平行にでるロープウェイ線路は珍しい。画像右手の方が日牟禮八幡宮である。ロープウェイの山麓停留場というと、けっこう高い位置まで階段を登らせる例が多いが、ここはこの通りほぼ道路とレベルであり、完全なバリアフリーではないものの人に優しい停留場と言えよう。

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停留場内には真新しい安全索道の銘板があった。建設を担当したメーカーは大和索道であるが、2005年に搬器交換を含む大掛かりな更新工事を受けており、それは安全索道が担当したそうだ。この更新工事で、山頂にあった原動装置が山麓となり、緊張装置が山頂となって、交走式では珍しい油圧緊張となったそうだ。

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これはホームに積んであったインゴット。もちろん金のインゴットではなく、鉄のインゴットで1個が30kg。これ2個で法令上の一人分の重量になる。検査時に人の代わりに積んだり、強風時に揺れ防止のために積む。ホームに置いてあるのは、強風時に使うためだろう。このインゴット、なぜか一部に日本ケーブルの旧トレードマーク入り(赤矢印のものなど)があり、近江鉄道のスキー場から移設されたものと思われる。

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搬器扉横の外側に、燈具などのスイッチがある。ここは車掌乗務を省略しているので、係員の便を図り、外側に装着したと思われる。

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こちらはNo.1搬器「もみじ号」。紅葉を意識したと思われる腰板部の赤が裾の部分がグラデーションで薄くなっているというなかなか洒落たデザイン。「もみじ号」「さくら号」という愛称は、搬器交換をつたえる新聞記事にあったのみで、現車には書かれていない。

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こちらがNo.2搬器「さくら号」。「もみじ号」と色調の異なる赤でいわゆる桜色となっており、桜の花びらを散らしたような模様が入っている。

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搬器内は内張りのある国産搬器としては標準的な感じだ。

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搬器内には安索の銘板があり、搬器交換工事も安索が請負った事を物語る。

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こちらは搬器のキャビン部分を製作した大阪車輌工業の銘板。よく見かける銘板で、最近の国産交走式搬器は同社のシェアがかなり高そうだ。

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搬器内にあった諸元表記。開業時の搬器は、21人乗り、自重1000kgだったそうで、1984年に交換された搬器も21人乗りだったそうなので、2005年の更新時にはロープの仕様も変えたのかもしれない。

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これが走行装置で、走行輪や曳索のソケット結合の様子がよくわかる。

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搬器には冷房装置がないので人力送風器が装備されていた。

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尾根沿いに位置する線路がよくわかる。

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これが1号支柱。比較的シンプルなトラス構造に建設時期を感じる。

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これが支柱サドルと索輪。支索はサドルのシュー部分に載せられているだけで、前後に摺動可能な構造になっている。三線交走式としては一般的な構造である。

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これが山頂駅で、ピークよりやや下がった位置にあり、展望館や八幡城跡にある村雲御所瑞龍寺門跡までは遊歩道や階段で結ばれている。

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これが西ノ丸跡から見た琵琶湖と比良連峰。正面あたりがびわ湖バレイで、ゴンドラ線路も見えるはずだが、はっきりとは分からなかった。

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遊歩道で西ノ丸跡や村雲御所瑞龍寺門跡を回り、ロープウェイ駅の案内に従って進むと展望館が行く手をさえぎった。建物内を通り抜けるのが正しい道順だそうだ。一応売店になっているので、ついお土産などを買ってしまう人もいるのだろう。むろん手ぶらで出てもなにも言われない。

さて、ここからおまけ。

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遊歩道沿いには、この通りラック式モノレールのレールが敷設されており、併用軌道状態だった。レールを見る限りは、最近動いた形跡はなく、残念ながら車輌も発見できなかった。

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ラック式モノレールの終点では、小型貨物ケーブルカーに接続。どうも村雲御所瑞龍寺門跡への貨物運搬用の設備らしい。

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ケーブルカーには貨車が残っており、エンジンも備え付けられているので、こちらは現役かもしれない。


執筆日:2007年1月6日


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2006.12.26

番外編:2006年度の索道動向:特殊索道編

普通索道に引き続き特殊索道の2006年度の動向をまとめてみた。普通索道以上に抜けがあると思われるので、ドシドシご指摘いただけるとありがたい。

◎新規開業/運輸再開特殊索道
○富良野スキー場
・連絡リフト (株)プリンスホテル
※1982.12.18運輸開始の連絡リフト(東京索道製:シングル)を日本ケーブル製に架替、2006-2007シーズンから運輸開始。コクド流の命名なら連絡ロマンスリフトとなるはずだが、同スキー場公式サイトでも「連絡リフト」となっている。<GONさん、情報提供ありがとうございました
正式名称は「連絡リフト」で正解であることを確認。

○ルスツリゾート
・イゾラ第5ペア (株)加森観光 2006.12.2運輸開始
※ゴンドラとフード付きクワッドのみという非常にハイレベルな索道のみだったイゾラエリアに始めて登場した固定循環式リフト。どうもシーズンインの少雪期に山頂部のみで営業するために導入したようで公式サイトでも「オープン時~期間限定運行」と注釈入りで表示され、本格営業を開始した今では「ゴンドラ・リフト運行状況」の一覧から外されてしまった。本年は予定の11月23日から9日間遅れた12月2日に運行を開始し、気がついたらすでに運休していた。おそらく10日も営業していなかったと思われる。さすが加森というべきか、なんとも豪気な事である。しかし、完乗を目指すならわずかな期間に訪問せねばならずファン泣かせのリフトになりそうだ。<kikiさん、情報ありがとうございました
日本ケーブル製<07年1月現地調査で確認

○北大雪スキー場
・第1リフト (株)グランドレジャー 1979.12.11運輸開始
・第2リフト (株)グランドレジャー 1979.12.28運輸開始
※永らく休止していたが地主である国から返却か営業再開かを求められたため、春スキー期間の営業再開を決定。全4本の内2本を、2007年3月15日から5月6日まで営業する予定。

○雫石スキー場
・サンシャインリフト (株)プリンスホテル 2006.12.24運輸開始
※1981年12月22日運輸開始のサンシャインA/B線(日本ケーブル製シングルパラレル:A線は休止中)をペアリフトにリプレース。こちらもコクド流の命名ならばサンシャインロマンスとなるはずだが公式サイトでもサンシャインリフトとなっている。

○阿仁スキー場
・第2ロマンス (株)プリンスホテル 2000.12.19運輸開始
※近年は縮小営業を行っていた阿仁スキー場を平常営業に戻すに従い、休止していた第2ロマンスを再開する事になった。本スキー場はシティグループ・プリンシパル・インベストメンツ・ジャパンへの売却が決定しており、今シーズンの営業体制が当面受け継がれるものと思われる。

○たざわ湖スキー場
・銀嶺第1リフト 田沢湖高原リフト(株)
※「番外編:2005年度デビューの索道」に書いたように、2005年度から冬季国体向けにゲレンデ・リフト整備を進めており、銀嶺第1ロマンスを廃止し、位置をやや変えて銀嶺第1リフト(2人乗り、2.0m/s)を架設した。
機械は日本ケーブル製で、搬器の大部分は、東京索道製旧線からの流用らしい>U君さんの情報、ありがとうございました(2/17追記)

○鳥海高原矢島スキー場
・矢島クワッドリフト 由利本荘市
・矢島ペアリフト 由利本荘市
※3本あったペアリフトをフード付クワッド1本、ペア1本に整理した。ペアは旧線の移設or機器流用。クワッドは東京索道担当ながらドッペルマイヤーシステムだそうだ。<tuneさん、情報提供ありがとうございます

○妙高杉ノ原スキー場
・杉ノ原第2ロマンス (株)プリンスホテル
※1976年12月21日運輸開始の杉ノ原第1A/B線をリプレースしペアリフトを架設。公式サイトのブログ「杉ノ原日記」の画像によれば日本ケーブル製の模様。パノラマゲレンデにあったスノーパークが第2ロマンス横に移るようで、パノラマJバーリフトは、廃止もしくは休止の模様で公式サイトのゲレンデマップから抹消されている。

○奥伊吹スキー場
・第2ペアリフト 奥伊吹森林レクリエーション(株)
※奥伊吹スキー場は、リフトの正式名称と営業上使用している名称がまったく異なるので、今シーズンからペアリフトになったという第2ペアリフトの正式名称がわからない。とにかく、これで稼働中のリフトからシングルは無くなった。(1/4追記)

○ハチ北高原スキー場
・山麓ペア 鉢伏開発観光(株)
※登行リフトの正確が強い中央山麓リフト(1969年1月1日運輸開始:シングル)がペアリフトにリプレースされた。起点が並んでいたアルペン登行リフト(1983年12月19日運輸開始:シングル)も合わせて廃止されている。新リフトは神戸新聞記事の写真によると、日本ケーブル製と思われる。 ちゃきさんからいただいたコメントによれば樫山製との事。記事の写真を改めてよく見れば日ケではなさそう。思い込みは怖い。(1/11修正)

○奥神鍋スキー場
・登降ファミリーペアリフト (株)奥神鍋 2006.12.20運輸開始?
※駐車場とゲレンデの連絡リフト。かなり以前からの懸案であったがようやく実現した。「登行」という方が一般的だとおもうが、公式サイトで「登降」となっているのでこれが正しいのだろう。神鍋観光協会のサイトに掲載された写真によれば日本ケーブル製のように思われる。12月20日運輸開始は、この日に開通式が行われたようなのでこう記したが、営業運転は自然雪による営業が始まった後という事であるので、もっと遅い日で届け出る可能性もある。

○プラーナ
・松山ハイランドリゾートトリプル プラーナ 2003.12.21
※サレガランドプラーナという名称で2004-2005シーズンまで営業を行っていたが、資金繰りなどの事情で2005-2006シーズンは休業。今シーズンからプラーナという名称で運営を再開した。新設ではないが、紹介しておく。

◎休廃止特殊索道
○稚内公園
稚内公園スキー場第1リフト 稚内市 1980.12.10運輸開始
※日本で最北のリフトである稚内公園第1リフトが、利用者減とアクセス手段であるロープウェイの設備老朽化のため2006年3月21日限りで営業を終えた。実際には20・21日は吹雪のため運休しており実質的には19日が最終日となった。即日廃止を届け出ていれば2005年度の廃止になるが、ロープウェイと合わせて2006年4月1日付での廃止届出の可能性もある。
この結果、日本最北のリフトは、稚内市こまどりスキー場第1ペアリフトとなった。

○森吉スキー場
・森吉第1高速 (株)プリンスホテル 1987.12.19
・森吉第2高速 (株)プリンスホテル 1990.12.24
※阿仁スキー場を通常営業する代わりに本スキー場が休業となった。売却対象であるが、シティグループ・プリンシパル・インベストメンツ・ジャパンの買収対象から外れており、今後が心配である。2本ともフード付きデタッチャブルクワッドで、第1は日本ケーブル製、第2はメーカー未確認。U君さんの情報によれば日本ケーブル製。(2/17追記)

○田沢湖高原アッスルスキー場
・アッスル第1リフト (株)ドリームビジョン田沢湖開発 1988.12.17運輸開始
・アッスル第2リフト (株)ドリームビジョン田沢湖開発 1982.12.18運輸開始
・アッスル第3リフト (株)ドリームビジョン田沢湖開発 1990.12.25運輸開始
・アッスル第4リフト (株)ドリームビジョン田沢湖開発 1991.12.14運輸開始
※2000年に経営不振の本スキー場を地元宿泊業者等で設立した会社で引き取り営業を継続したが、ついに行き詰まり今シーズンの休業が決まった。第2は日本ケーブル製シングルで、残りはペアリフト。

○スポーツコム浦佐国際スキー場
・第3ペア (有)フィールドボックス 1984.12.21運輸開始
・第5ペア (有)フィールドボックス 1985.12.21運輸開始
※今シーズンから廃業する事が決まり、すでにリフト撤去も終了した。

○苗場スキー場
・第6高速 (株)プリンスホテル 1989.12.16運輸開始
※日本ケーブル製のデタッチャブルクワッド。休止か廃止は不明だが、今年のゲレンデマップから消えている。索道趣味さん、情報提供ありがとうございます。(2/17追記)

○ARAI MOUTAIN&SPA
・膳棚第1リフト  新井リゾート(株) 1993.12.19運輸開始
・山麓第1リフト  新井リゾート(株) 1994.12.22運輸開始
・山麓第2リフト  新井リゾート(株) 1994.12.22運輸開始
小毛無第1リフト 新井リゾート(株) 1998.1.1運輸開始
※運営会社である新井リゾートマネージメントの特別清算により、今シーズンの営業を断念。資産は外資系投資会社が保有しており、施設の保全のみを行って来シーズンからの運営者を探している。
膳棚第1は安全索道製フード付きデタッチャブルクワッド、山麓第1は安全索道製ペア、山麓第2は安全索道製デタッチャブルペア、小毛無第1はフード付きデタッチャブルクワッドでメーカーを確認していないが、他が安索なので同じだと思われる。

○燕温泉スキー場
・燕第1/2ロマンス (株)プリンスホテル 2000.12.18
※一時は2005-2006シーズンから閉鎖と伝えられたが実際は営業が行われ、2006-2007シーズンは閉鎖となった。売却交渉を行っているようだが、売却先は未定。

○菅平高原
・大松山第1ペア 菅平大松山開発(株) 1986.12.19運輸開始
・大松山第2ペア 菅平大松山開発(株) 1988.12.17運輸開始
※今シーズン、スキー場公式マップから抹消された。両方とも日本ケーブル製。<五菱さん、情報提供ありがとうございます。

○八方尾根
チャンピオンスカイペア 八方尾根開発(株)
・スカイライン第1ぺア 八方尾根開発(株)
・北尾根第2ぺア 八方尾根開発(株)
・咲花第1トリプル 八方尾根開発(株)
※今シーズン、スキー場公式マップから抹消された。チャンピオンスカイペアは安全索道製のデタッチャブルペア、スカイライン第1は日本ケーブル製の固定式ペア。残る2本はメーカー未確認。八方尾根開発とスカイパーク八方が統合された成果としてのリフト整理と推察される。<安索好きさん、情報提供ありがとうございます(2/17追記)

○立山山麓スキー場らいちょうバレーエリア
・第1パラレルA/B線 富山市or大山観光開発(株) 1983.1.10運輸開始
・第4ペア      富山市or大山観光開発(株) 1988.12.18運輸開始
※昨シーズンで富山県が運営から手を引いたため、富山市が引き取り第3セクターの大山観光開発に運営を委託した。旧県営リフトのうち今シーズン営業されないのはこの3本。地権者のうち1名が県から市への移管を承諾していないために、運行できないリフトが1本あると報じられたが、どちらが該当するかは不明。
第1パラレルは安全索道製。第4ペアは、確か安全索道か東京索道製である。

○牛岳温泉スキー場
・第7/8リフト 富山市 1980.2.1運輸開始
※設備老朽化のため本リフトの架かるユートピアゲレンデを今シーズン休止と告知している。このまま廃止の公算が高い。おそらく安全索道製。

○鳥越高原大日スキー場
※大雨でゲレンデが崩落し、リフト支柱2本が転倒。今シーズンの休業が決定した。

○万座温泉スキー場
・万座第1高速 (株)プリンスホテル 1987.12.19運輸開始
※2006-2007シーズンの同スキー場公式サイトのマップから抹消されており、今シーズンから廃止または休止されたと思われる。昨シーズンはマップには掲載されていたものの休止していた模様で、マップからの抹消は復活の意思がないか、来場者からの問い合わせ対応の煩雑さを回避するためと思われる。東京索道製デタッチャブルクワッド。

○表万座スキー場

・第3ロマンス (株)プリンスホテル 1984.12.29運輸開始
※2006-2007シーズンの同スキー場公式サイトのマップから抹消されており、今シーズンから廃止または休止されたと思われる。安全索道製ペア。本スキー場はシティグループ・プリンシパル・インベストメンツ・ジャパンへの売却が決定しており、今シーズンの営業体制が当面受け継がれるものと思われる。

○すずらん高原スキー場
・第1ペア 御嶽鈴蘭高原観光開発(株) 1986.11.29運輸開始
・第2ペア 御嶽鈴蘭高原観光開発(株) 1984.12.5運輸開始
・第3ペア 御嶽鈴蘭高原観光開発(株) 1988.11.27運輸開始
・第4ペア 御嶽鈴蘭高原観光開発(株) 1988.12.3運輸開始
※今シーズンから休止。

○上の台緑の村
・上の台緑の村リフト
 安来市 1994.4.29運輸開始
※旧伯太町から合併に伴い引き継いだ人工芝スキー場用シングルリフト。平成18年度鉄道要覧から抹消。2006年4月1日付で安来市の設置条例が改正されており、2006年4月1日付で廃止の可能性が高い。<U君さん、情報ありがとうございます(2/17)

○グリーンピアなかがわ
・グリーンピアなかがわ第1 那珂川町 1986.7.20運輸開始
・グリーンピアなかがわ第2 那珂川町 1997.4.20運輸開始
※人工芝スキー場用ペアリフトで第1はスポーツスライドのスレッド&利用者運搬も兼ねていた。第2は実線側が屈曲で空線側が直線という三角形に架設された屈曲リフト。累積債務のかさむグリーンピアなかがわを大幅に縮小する事になり2005年度いっぱいで営業を終えたため廃止。廃止日がはっきりしないので2005年度に廃止の可能性もある。2本とも日本ケーブル製でこれにより国内の屈曲式チェアリフトは全廃となった(はず)。
なお、グリーンピアなかがわは、全国に展開されていた簡易保険によるグリーンピアとは無関係。

○烏帽子岳高原リゾートスポーツの里

・烏帽子岳高原リゾートスポーツの里リフト (財)佐世保観光コンベンション協会 1993.4.1運輸開始
※人工芝スキー場用ペアリフトで同施設営業見直しでスキー場を廃止する事になり、2005年度いっぱいで営業を終了。おそらく2006年4月1日付の廃止と思われる。日本ケーブル製で、日本最西端の索道・リフトであった。これによって日本で最西端の索道は、長崎スカイウェイ中腹駅(山麓)となったが長崎スカイウェイは12月29日から休止となったため、現役では長崎ロープウェイ稲佐岳(山頂)駅となる
なお、最西端のリフトとなったのは諫早市のいこいの森たかきリフトだが、こちらは長期休止中なので現役としては天山リゾート第2リフトになる。

廃止・休止線はこの程度で収まるとは思えないが、取りあえずアップする。

執筆日:2006年12月26日
加筆日:2006年12月27日/1月4・11日/2月17日/3月1日

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2006.12.25

番外編:2006年度の索道動向:普通索道編

2006年度はまだ3ヶ月以上あるが、索道界としてはスキー場の新設索道が明らかになるこの暮れで、その全容がほぼ明らかになったと言っても過言でないだろう。そこで現時点で筆者が掴んでいる索道の動向を新設情報中心にまとめてみた。

正直言って、かなり抜けがあると思われるので、コメントでどんどん補足いただけるとありがたい。

まずは普通索道編。


◎新規開業普通索道

○ニセコ グラン・ヒラフ
・エースセンターフォーゴンドラ ニセコ高原開発(株) 2006.8.1運輸開始
※2006年度新設の普通索道は無いと思っていたら、とんだ伏兵が潜んでいた。→の「索道ニュース」でもお伝えしたように8月1日から10月9日まで、エース第2センターフォーリフトを流用してヒラフゴンドラのキャビンを使い、普通索道として営業した。白馬47とタングラムが2004年夏営業で導入したものと同様なクワッドの利用法だが、キャビンは夏冬兼用で使う点が新たな試みである。

◎休廃止普通索道
○稚内公園
稚内公園ロープウェイ 稚内市 1975.7.27運輸開始
※日本で最北の索道・ロープウェイである稚内公園ロープウェイが、利用者減と設備老朽化のため2006年3月31日限りで営業を終えた。最終営業日から2006年4月1日付の廃止と思われる。
この結果、日本最北のロープウェイは、大雪山層雲峡・黒岳ロープウェイとなっている。

○ニセコ東山スキー場
ニセコ東山ゴンドラ (株)プリンスホテル 1982.12.15運輸開始
※2005-2006シーズンでは休止と伝えられ、休止中のままコクドからプリンスホテルに譲渡された本ゴンドラは、キャビンを流用したアート作品が札幌近郊の公園で展示されており、プリンスの公式サイトのゲレンデマップからも抹消されている(ニセコ三山の共同サイトでは休止中として掲載)ので、休止中としても実質的には廃止と思われる。太平索道がミューラー社との提携で導入した単線自動循環式の最後の1本であった。

○ARAI MOUTAIN&SPA
・新井ゴンドラ 新井リゾート(株) 1993.12.19運輸開始
※運営会社である新井リゾートマネージメントの特別清算により、今シーズンの営業を断念。資産は外資系投資会社が保有しており、施設の保全のみを行って来シーズンからの運営者を探している。
安全索道製定員10名の立ち乗りゴンドラ。立ち乗りとしては、野沢温泉長坂(2代目)に次ぐ国内第2号機である。

○牛岳温泉スキー場
・牛岳ロープウェイ 富山市 1981.12.18運輸開始
※設備老朽化のため本ロープウェイでアクセスするユートピアゲレンデを今シーズン休止と告知している。このまま廃止の公算が高い。安全索道製交走式で、ワンスパンで谷を渡る。


○三峰山(埼玉県)

・三峰ロープウェイ 秩父鉄道(株) 1964.4.29運輸開始
※設備老朽化のため2006年5月19日から2007年5月31日までの予定で休止している。これを報じる中では、収支面で復旧に及び腰な様子も読み取れたので、発表どおり休止を終えるかどうか予断を許さない状況と思われる。

○箱根(神奈川県)
・箱根ロープウェイII期線 箱根ロープウェイ(株) 1960.9.7運輸開始
※三線自動循環式から複式単線自動循環式フニテルへの架け替えのため、2006年6月1日から2007年5月31日までの予定で運休中。2007年6月1日から新線の営業開始予定。2005年3月に宮島ロープウェイが二線自動循環式に改造され、後述の通り奈良ドリームランドスカイウェイが3月に休止されたため、この休止により日本独特の技術であった三線自動循環式は全て姿を消した。

○朝日村営鈴蘭シャンツェ(岐阜県)

・鈴蘭グループゴンドラ 朝日村 1996.2.10運輸開始
※『平成17年度鉄道要覧』には休止中として掲載されていたが、平成18年度版からは記載が無く、2005年度中、もしくは2006年4月1日付で廃止されたものと思われる。なお、朝日村は2005年2月1日付で高山市と合併しており、平成17年度版に朝日村として掲載されていること自体が問題であった。同シャンツェは現役ジャンプ台であり、2007年2月開催の第19回全国高等学校選抜スキー大会会場にも使われる予定である。運輸開始年から判るように老朽化とは考えにくく、運営コストが負担であったための廃止と思われるが、メーカーの太平索道が廃業した事も関係するかもしれない。高山市が2006年度に鈴蘭シャンツェの指定管理者を募集していたが、委託業務に索道は含まれておらず復活の目はなさそうだ。
本ゴンドラは、単線固定循環式を採用している点が珍しく、また普通索道完乗を目指す人には、競技関係者のみの利用となっていたために「乗れない」事で知られていた。
『鉄道ピクトリアル2001年4月増刊号 千年の京にありて』掲載の「単線固定式普通索道について」という記事が、本ゴンドラをまとめて紹介する数少ない文献と思われる。

○比良山スキー場
比良ロープウェイ 比良索道(株) 1962.8.16
※すでに本ブログでも取り上げたとおり2004年3月末を最後に休止していたが、『平成17年度鉄道要覧』には休止中で掲載されていたものの平成18年度版には記載がない。スキー場ゲレンデの復元作業の目途が立ったため、2005年度中か2006年4月1日付でリフト共に正式に廃止の手続きがとられたものと思われる。

○びわ湖バレイ
アルプスゴンドラ (株)びわ湖バレイ 1975.10.31運輸開始
※株式の大多数を持つ名鉄が、保有する全株を日本ケーブル系のNCリゾートに譲渡すると発表し、その報道の中で来季からはゴンドラを大型ロープウェイに架け替えると報じられた。筆者は、ゴンドラとは別位置にゴンドラの夏営業を行いながらの新線建設となると予想するが、今シーズンの終了と共に営業を休止する可能性も排除できない。営業を行った単線自動循環式普通索道では国内で2番目、現存する中では最古の施設であるので、機会があればこの冬に乗っておきたい。

○奈良ドリームランド

スカイウェイ (株)ドリームパーク 1961.7.1運輸開始
※『平成18年 鉄道要覧』に平成18年8月31日廃止予定として掲載されていたが、機器故障により2006年3月に運休し、そのまま再開することなくドリームランド廃園を迎えた。故障したのは制御盤らしく、代替の部品もないために簡単に修理とはいかなかったようだ。架設当時の機械がほぼそのまま残る三線自動循環式だったので、その廃線は惜しまれる。

○南レク御庄公園

御荘湾ロープウェイ 愛媛県 1977.8.10運輸開始
※設備老朽化と山頂駅付近を通る有料道路の無料化が決まり利用者減が見込まれるため、2006年3月31日限りで営業を終えると決定。実際は、3月27・28日の2日連続で宙吊り事故(27日は搬器が山麓駅構内で脱線、28日は4号柱脱索検出器誤作動)を起こし、29日に運休して総点検を行い、その結果、30・31日は運休となったために3月28日が最終営業日になった。稚内公園と同様、2006年4月1日付の廃止と思われる。
本ロープウェイは日本ケーブルが自社開発した単線自動循環式の最後の1本であり、この廃止によって純国産の単線自動循環式は姿を消した。
本ロープウェイが廃止され、2006年度に立山山麓ゴンドラが富山県から富山市(ないしは同市3セクの大山観光開発)に移管されたため、県営の普通索道は消滅した。

執筆日:2006年12月25日
加筆日:2006年12月26/27日

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2006.06.07

奈良ドリームランド スカイウェイ ~夢の国はもう目覚めない

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奈良ドリームランド スカイウェイ
事業者名:株式会社ドリームパーク
公式サイト:http://www.nara-dreamland.co.jp/
所在地:奈良市法蓮佐保山二丁目
キロ程:452m
支柱基数:4基
高低差:0m
最急勾配:不明
輸送能力:240人/時
搬器台数:57台
速度:1.5m/s
回転方向:時計
動力:電気 15kw
許可年月日:1961年6月30日
運輸開始年月日:1961年7月1日
種別:普通索道
方式:1支索2曳索三線自動循環式
搬器定員:4人
奈良坂駅:原動停留場 車庫線
法蓮町駅:緊張停留場 車庫線
索道メーカー:安全索道
搬器メーカー:不明
鋼索メーカー:不明

観察日:2006年5月31日

2002年春のスキー場巡りのレポートの途中だが、緊急?レポートをお送りする。

右側の「索道ニュース」に掲載したとおり奈良ドリームランドの閉園が決まった。ここには三線自動循環式普通索道の「スカイウェイ」があったが、ひっそりと3月頃に運休しており、実質的に一足先に永眠してしまったようだ。昨年頃から悪い予感がしていたので、行こうとは思っていたのだが、雪がある間はスキー場を優先していたのがあだとなった。こうなる事が判っていれば、奥美濃への行き帰りの途中にでも寄ればよかった。

悔いていても始らないので、ホームページで配布している入園無料チケットの最終日である5月31日に出かけてみた。この入園無料チケット、閉鎖が発表されたのでもう配布を止めるかと思っていたら、現在、7月2日まで有効のバージョンが配布中である。週末のみの営業であるがお手軽にお名残り入場のチャンスだ。

今回は筆者にしては珍しく電車で向った。このところ寝不足気味だったので、寝ていこうという魂胆があったのと、駐車料金が1200円と効果なのが車を敬遠した理由。JR奈良駅から近鉄奈良を経由するバスは複数の系統がドリームランド前を通るので、本数はそこそこあるが、どうも時間帯に偏りがあるので、バスで行かれる方は調べておいた方がよいだろう。

トップ画像の岩山をトンネルで抜ける線路は、カリフォルニアのディズニーランドを意識していたのは誰の目にも明らか。下のモノレールも2~3年前に運休してしまい、復活する事無く閉園になる。

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これが衝撃的な告知だ。しかし、筆者の注目は最下段の1行“索道ドリームランドロープウェイ”だ。一般利用者向けの呼称で「索道」を使うのは珍しい。

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高低差が無いので、山麓停留場・山頂停留場とも呼べずどちらが起点でどちらが終点かもわからずどう表現するか迷っていたら、『日本近代の旅客索道』(コロナ社)の巻末資料に、区間を「法蓮町~奈良坂」と記載されているのを発見。園外の地名から類推して、北側に位置するこちらが奈良坂駅と思われる。原動装置はここにある。右側にあるのは木造ローラーコースターの「飛鳥」。

このように複線自動循環式では1号柱・最終柱にあたる構造物が停留場機械と一体化されており、出枠と呼ばれる。この出枠に不自然な勾配がある構造が見て取れるが、これは試験勾配と呼ばれ、握索機がロープを確実に握索したかどうかを確認するために設置されていた。不確実だと、ここで滑って出発できないという仕組みだが、乗り心地の上ではあまりよい構造とはいえない。単線自動循環式にはあまりない構造であるが、この名残で1号柱・最終柱を出枠と呼ぶ関係者も少なくない。

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さて、奈良坂駅では乗り場入口・出口はともに階段下でロープが張れているので、停留場内部の様子はよく見えないが、外周列車から見ると、このようによく見えた。スカイウェイ見学のために外周列車に乗ることをお勧めする。

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支柱銘板が地上近くにあるのも珍しい。奈良坂駅~1号柱~人工岩山~4号柱~法蓮町駅という並びなので、起点は奈良坂で、人工岩山内に支柱が2本ある事がわかる。支柱は、コンクリート製。日本ケーブルのゴンドラ・クワッドに使われていた鋼板製角錐形支柱によく似たシルエットの角錐形だ。

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こちらが法蓮町駅。左側に見える出口に通じる階段は、やはりロープが張られて入れないが、右側にある(画像では写っていない)階段は、上に出した「営業終了」の看板は掲出されているが閉鎖はされていない。ここの上にある乗り場前の広場には、比較的新しいテーブルと椅子が置かれており、休憩している人もいたので立ち入り禁止ではないと判断して上がってみた。どうもこの広場は、外周列車の廃駅「幻想の国ステーション」の跡地&駅前広場跡のようだ。つまりスカイウェイは駅前ロープウェイだったのだ。

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乗り場はこういう感じ。これぐらい離れて見ると、デザイン的に少々古く臭いものの搬器は綺麗で、窓も大きく、快適そうに見える。

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ただ、アップで見るとちょっとくたびれて見える。

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これが握索機部分のアップ。握索装置は重力式とねじ(スプロケット)式なので、左側がねじ式と思われる。

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興味深かったのが、この概念図。交走式ロープウェイでは見たことがあったが、三線自動循環式では初めて見た。・・・といっても、筆者が実際に乗った三線自動循環式は伊豆長岡かつらぎ山と宮島だけなので、サンプル数が少なすぎるのだが。

入園料を払ってまで休止ロープウェイを見るのに抵抗がある人は、前述の無料チケットが使える期間がラストチャンスだ。

執筆日:2006年6月7日

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2006.04.07

びわ湖バレイスキー場 白谷第2ペアリフト

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びわ湖バレイスキー場 白谷第2ペアリフト
事業者名:(株)びわ湖バレイ
スキー場名:びわ湖バレイスキー場
公式サイト:http://www.biwako-valley.com/index.html
所在地:
滋賀県大津市木戸
キロ程:666m
支柱基数:18基
中間停留場:なし
高低差:140m
最急勾配:不明
輸送能力:1200人/時
搬器台数:112台
速度:不明(搬器台数から逆算すると2.0m/s)
回転方向:時計
動力:電気
許可年月日:1967年9月27日
運輸開始年月日:1967年12月25日
建設年:1997年7月
種別:特殊索道
方式:単線固定循環式
搬器定員:2人
山麓:原動緊張油圧
山頂:終端
索道メーカー:安全索道
鋼索メーカー:不明

観察日:2006年2月25日

白谷第1リフトとの乗り継ぎで蓬莱山北斜面のチャンピオンコース/ダイナミックコースをカバーするリフト。びわ湖バレイでは目だっていないリフトだが、本スキー場では最長のリフトである。コースの特徴から、比較的慣れた利用者が多いようなので、2.3m/s仕様でも良かったようにも思える。

BIWAKOSHIROTANI02PL02

安全索道の標準的なペアリフトだが、夏冬兼用の使用となっているので、支柱の高低切替えのアームと共に、停留場の避雷針が目立つ。

BIWAKOSHIROTANI02PL03

このように終端装置も避雷針を装備している。

BIWAKOVALLEYTICKET01

BIWAKOVALLEYTICKET02

リフトは全面的に自動改札化されており、1回券以外はこのように非接触式ICカード化されている。時間券の減算はゲート通過時から開始されるようになっており、ゲートで残時間が表示されるシステム。6時間券では最初の通過時に370分と表示されたので10分のおまけがあったようだ。鷲ヶ岳と同じ樫山の製品のようだが、カードの大きさは異なるので違う商品なのだろう。

執筆日:2006年4月7日

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2006.04.06

びわ湖バレイスキー場 白谷第1ペアリフト

BIWAKOSHIROTANI01PL01

びわ湖バレイスキー場 白谷第1ペアリフト
事業者名:(株)びわ湖バレイ
スキー場名:びわ湖バレイスキー場
公式サイト:http://www.biwako-valley.com/index.html
所在地:
滋賀県大津市木戸
キロ程:270m
支柱基数:8基
中間停留場:なし
高低差:70m
最急勾配:不明
輸送能力:1200人/時
搬器台数:51台
速度:不明(搬器台数から逆算すると1.8m/s)
回転方向:時計
動力:電気
許可年月日:1967年9月27日
運輸開始年月日:1967年12月25日
建設年:1997年7月
種別:特殊索道
方式:単線固定循環式
搬器定員:2人
山麓:終端
山頂:原動緊張油圧
索道メーカー:安全索道
鋼索メーカー:不明

観察日:2006年2月25日

ホーライペア/クワッドの山頂停留場がある蓬莱山のトップからびわ湖と反対側に降りるチャンピオンコース、同リフトの山麓付近から下るダイナミックコースをカバーする2本のリフトの内の1本。両コース共に谷コースで幅が狭く、斜度もややある中級コースで、幅が狭いのが嫌われてかびわ湖バレイの中では滑走者が少なめ。

リフト2本の乗り継ぎになっているのは、地形的な問題とトップ画像に写っているチャンピオンコースの滑り出しの広い部分だけの繰り返し滑走を考慮したのだと思われる。

BIWAKOSHIROTANI01PL02

山頂原動緊張で、ハードは安全索道の標準的なタイプだが、夏冬兼用仕様となっている。

執筆日:2006年4月6日

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