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2006.12.26

番外編:2006年度の索道動向:特殊索道編

普通索道に引き続き特殊索道の2006年度の動向をまとめてみた。普通索道以上に抜けがあると思われるので、ドシドシご指摘いただけるとありがたい。

◎新規開業/運輸再開特殊索道
○富良野スキー場
・連絡リフト (株)プリンスホテル
※1982.12.18運輸開始の連絡リフト(東京索道製:シングル)を日本ケーブル製に架替、2006-2007シーズンから運輸開始。コクド流の命名なら連絡ロマンスリフトとなるはずだが、同スキー場公式サイトでも「連絡リフト」となっている。<GONさん、情報提供ありがとうございました
正式名称は「連絡リフト」で正解であることを確認。

○ルスツリゾート
・イゾラ第5ペア (株)加森観光 2006.12.2運輸開始
※ゴンドラとフード付きクワッドのみという非常にハイレベルな索道のみだったイゾラエリアに始めて登場した固定循環式リフト。どうもシーズンインの少雪期に山頂部のみで営業するために導入したようで公式サイトでも「オープン時~期間限定運行」と注釈入りで表示され、本格営業を開始した今では「ゴンドラ・リフト運行状況」の一覧から外されてしまった。本年は予定の11月23日から9日間遅れた12月2日に運行を開始し、気がついたらすでに運休していた。おそらく10日も営業していなかったと思われる。さすが加森というべきか、なんとも豪気な事である。しかし、完乗を目指すならわずかな期間に訪問せねばならずファン泣かせのリフトになりそうだ。<kikiさん、情報ありがとうございました
日本ケーブル製<07年1月現地調査で確認

○北大雪スキー場
・第1リフト (株)グランドレジャー 1979.12.11運輸開始
・第2リフト (株)グランドレジャー 1979.12.28運輸開始
※永らく休止していたが地主である国から返却か営業再開かを求められたため、春スキー期間の営業再開を決定。全4本の内2本を、2007年3月15日から5月6日まで営業する予定。

○雫石スキー場
・サンシャインリフト (株)プリンスホテル 2006.12.24運輸開始
※1981年12月22日運輸開始のサンシャインA/B線(日本ケーブル製シングルパラレル:A線は休止中)をペアリフトにリプレース。こちらもコクド流の命名ならばサンシャインロマンスとなるはずだが公式サイトでもサンシャインリフトとなっている。

○阿仁スキー場
・第2ロマンス (株)プリンスホテル 2000.12.19運輸開始
※近年は縮小営業を行っていた阿仁スキー場を平常営業に戻すに従い、休止していた第2ロマンスを再開する事になった。本スキー場はシティグループ・プリンシパル・インベストメンツ・ジャパンへの売却が決定しており、今シーズンの営業体制が当面受け継がれるものと思われる。

○たざわ湖スキー場
・銀嶺第1リフト 田沢湖高原リフト(株)
※「番外編:2005年度デビューの索道」に書いたように、2005年度から冬季国体向けにゲレンデ・リフト整備を進めており、銀嶺第1ロマンスを廃止し、位置をやや変えて銀嶺第1リフト(2人乗り、2.0m/s)を架設した。
機械は日本ケーブル製で、搬器の大部分は、東京索道製旧線からの流用らしい>U君さんの情報、ありがとうございました(2/17追記)

○鳥海高原矢島スキー場
・矢島クワッドリフト 由利本荘市
・矢島ペアリフト 由利本荘市
※3本あったペアリフトをフード付クワッド1本、ペア1本に整理した。ペアは旧線の移設or機器流用。クワッドは東京索道担当ながらドッペルマイヤーシステムだそうだ。<tuneさん、情報提供ありがとうございます

○妙高杉ノ原スキー場
・杉ノ原第2ロマンス (株)プリンスホテル
※1976年12月21日運輸開始の杉ノ原第1A/B線をリプレースしペアリフトを架設。公式サイトのブログ「杉ノ原日記」の画像によれば日本ケーブル製の模様。パノラマゲレンデにあったスノーパークが第2ロマンス横に移るようで、パノラマJバーリフトは、廃止もしくは休止の模様で公式サイトのゲレンデマップから抹消されている。

○奥伊吹スキー場
・第2ペアリフト 奥伊吹森林レクリエーション(株)
※奥伊吹スキー場は、リフトの正式名称と営業上使用している名称がまったく異なるので、今シーズンからペアリフトになったという第2ペアリフトの正式名称がわからない。とにかく、これで稼働中のリフトからシングルは無くなった。(1/4追記)

○ハチ北高原スキー場
・山麓ペア 鉢伏開発観光(株)
※登行リフトの正確が強い中央山麓リフト(1969年1月1日運輸開始:シングル)がペアリフトにリプレースされた。起点が並んでいたアルペン登行リフト(1983年12月19日運輸開始:シングル)も合わせて廃止されている。新リフトは神戸新聞記事の写真によると、日本ケーブル製と思われる。 ちゃきさんからいただいたコメントによれば樫山製との事。記事の写真を改めてよく見れば日ケではなさそう。思い込みは怖い。(1/11修正)

○奥神鍋スキー場
・登降ファミリーペアリフト (株)奥神鍋 2006.12.20運輸開始?
※駐車場とゲレンデの連絡リフト。かなり以前からの懸案であったがようやく実現した。「登行」という方が一般的だとおもうが、公式サイトで「登降」となっているのでこれが正しいのだろう。神鍋観光協会のサイトに掲載された写真によれば日本ケーブル製のように思われる。12月20日運輸開始は、この日に開通式が行われたようなのでこう記したが、営業運転は自然雪による営業が始まった後という事であるので、もっと遅い日で届け出る可能性もある。

○プラーナ
・松山ハイランドリゾートトリプル プラーナ 2003.12.21
※サレガランドプラーナという名称で2004-2005シーズンまで営業を行っていたが、資金繰りなどの事情で2005-2006シーズンは休業。今シーズンからプラーナという名称で運営を再開した。新設ではないが、紹介しておく。

◎休廃止特殊索道
○稚内公園
稚内公園スキー場第1リフト 稚内市 1980.12.10運輸開始
※日本で最北のリフトである稚内公園第1リフトが、利用者減とアクセス手段であるロープウェイの設備老朽化のため2006年3月21日限りで営業を終えた。実際には20・21日は吹雪のため運休しており実質的には19日が最終日となった。即日廃止を届け出ていれば2005年度の廃止になるが、ロープウェイと合わせて2006年4月1日付での廃止届出の可能性もある。
この結果、日本最北のリフトは、稚内市こまどりスキー場第1ペアリフトとなった。

○森吉スキー場
・森吉第1高速 (株)プリンスホテル 1987.12.19
・森吉第2高速 (株)プリンスホテル 1990.12.24
※阿仁スキー場を通常営業する代わりに本スキー場が休業となった。売却対象であるが、シティグループ・プリンシパル・インベストメンツ・ジャパンの買収対象から外れており、今後が心配である。2本ともフード付きデタッチャブルクワッドで、第1は日本ケーブル製、第2はメーカー未確認。U君さんの情報によれば日本ケーブル製。(2/17追記)

○田沢湖高原アッスルスキー場
・アッスル第1リフト (株)ドリームビジョン田沢湖開発 1988.12.17運輸開始
・アッスル第2リフト (株)ドリームビジョン田沢湖開発 1982.12.18運輸開始
・アッスル第3リフト (株)ドリームビジョン田沢湖開発 1990.12.25運輸開始
・アッスル第4リフト (株)ドリームビジョン田沢湖開発 1991.12.14運輸開始
※2000年に経営不振の本スキー場を地元宿泊業者等で設立した会社で引き取り営業を継続したが、ついに行き詰まり今シーズンの休業が決まった。第2は日本ケーブル製シングルで、残りはペアリフト。

○スポーツコム浦佐国際スキー場
・第3ペア (有)フィールドボックス 1984.12.21運輸開始
・第5ペア (有)フィールドボックス 1985.12.21運輸開始
※今シーズンから廃業する事が決まり、すでにリフト撤去も終了した。

○苗場スキー場
・第6高速 (株)プリンスホテル 1989.12.16運輸開始
※日本ケーブル製のデタッチャブルクワッド。休止か廃止は不明だが、今年のゲレンデマップから消えている。索道趣味さん、情報提供ありがとうございます。(2/17追記)

○ARAI MOUTAIN&SPA
・膳棚第1リフト  新井リゾート(株) 1993.12.19運輸開始
・山麓第1リフト  新井リゾート(株) 1994.12.22運輸開始
・山麓第2リフト  新井リゾート(株) 1994.12.22運輸開始
小毛無第1リフト 新井リゾート(株) 1998.1.1運輸開始
※運営会社である新井リゾートマネージメントの特別清算により、今シーズンの営業を断念。資産は外資系投資会社が保有しており、施設の保全のみを行って来シーズンからの運営者を探している。
膳棚第1は安全索道製フード付きデタッチャブルクワッド、山麓第1は安全索道製ペア、山麓第2は安全索道製デタッチャブルペア、小毛無第1はフード付きデタッチャブルクワッドでメーカーを確認していないが、他が安索なので同じだと思われる。

○燕温泉スキー場
・燕第1/2ロマンス (株)プリンスホテル 2000.12.18
※一時は2005-2006シーズンから閉鎖と伝えられたが実際は営業が行われ、2006-2007シーズンは閉鎖となった。売却交渉を行っているようだが、売却先は未定。

○菅平高原
・大松山第1ペア 菅平大松山開発(株) 1986.12.19運輸開始
・大松山第2ペア 菅平大松山開発(株) 1988.12.17運輸開始
※今シーズン、スキー場公式マップから抹消された。両方とも日本ケーブル製。<五菱さん、情報提供ありがとうございます。

○八方尾根
チャンピオンスカイペア 八方尾根開発(株)
・スカイライン第1ぺア 八方尾根開発(株)
・北尾根第2ぺア 八方尾根開発(株)
・咲花第1トリプル 八方尾根開発(株)
※今シーズン、スキー場公式マップから抹消された。チャンピオンスカイペアは安全索道製のデタッチャブルペア、スカイライン第1は日本ケーブル製の固定式ペア。残る2本はメーカー未確認。八方尾根開発とスカイパーク八方が統合された成果としてのリフト整理と推察される。<安索好きさん、情報提供ありがとうございます(2/17追記)

○立山山麓スキー場らいちょうバレーエリア
・第1パラレルA/B線 富山市or大山観光開発(株) 1983.1.10運輸開始
・第4ペア      富山市or大山観光開発(株) 1988.12.18運輸開始
※昨シーズンで富山県が運営から手を引いたため、富山市が引き取り第3セクターの大山観光開発に運営を委託した。旧県営リフトのうち今シーズン営業されないのはこの3本。地権者のうち1名が県から市への移管を承諾していないために、運行できないリフトが1本あると報じられたが、どちらが該当するかは不明。
第1パラレルは安全索道製。第4ペアは、確か安全索道か東京索道製である。

○牛岳温泉スキー場
・第7/8リフト 富山市 1980.2.1運輸開始
※設備老朽化のため本リフトの架かるユートピアゲレンデを今シーズン休止と告知している。このまま廃止の公算が高い。おそらく安全索道製。

○鳥越高原大日スキー場
※大雨でゲレンデが崩落し、リフト支柱2本が転倒。今シーズンの休業が決定した。

○万座温泉スキー場
・万座第1高速 (株)プリンスホテル 1987.12.19運輸開始
※2006-2007シーズンの同スキー場公式サイトのマップから抹消されており、今シーズンから廃止または休止されたと思われる。昨シーズンはマップには掲載されていたものの休止していた模様で、マップからの抹消は復活の意思がないか、来場者からの問い合わせ対応の煩雑さを回避するためと思われる。東京索道製デタッチャブルクワッド。

○表万座スキー場

・第3ロマンス (株)プリンスホテル 1984.12.29運輸開始
※2006-2007シーズンの同スキー場公式サイトのマップから抹消されており、今シーズンから廃止または休止されたと思われる。安全索道製ペア。本スキー場はシティグループ・プリンシパル・インベストメンツ・ジャパンへの売却が決定しており、今シーズンの営業体制が当面受け継がれるものと思われる。

○すずらん高原スキー場
・第1ペア 御嶽鈴蘭高原観光開発(株) 1986.11.29運輸開始
・第2ペア 御嶽鈴蘭高原観光開発(株) 1984.12.5運輸開始
・第3ペア 御嶽鈴蘭高原観光開発(株) 1988.11.27運輸開始
・第4ペア 御嶽鈴蘭高原観光開発(株) 1988.12.3運輸開始
※今シーズンから休止。

○上の台緑の村
・上の台緑の村リフト
 安来市 1994.4.29運輸開始
※旧伯太町から合併に伴い引き継いだ人工芝スキー場用シングルリフト。平成18年度鉄道要覧から抹消。2006年4月1日付で安来市の設置条例が改正されており、2006年4月1日付で廃止の可能性が高い。<U君さん、情報ありがとうございます(2/17)

○グリーンピアなかがわ
・グリーンピアなかがわ第1 那珂川町 1986.7.20運輸開始
・グリーンピアなかがわ第2 那珂川町 1997.4.20運輸開始
※人工芝スキー場用ペアリフトで第1はスポーツスライドのスレッド&利用者運搬も兼ねていた。第2は実線側が屈曲で空線側が直線という三角形に架設された屈曲リフト。累積債務のかさむグリーンピアなかがわを大幅に縮小する事になり2005年度いっぱいで営業を終えたため廃止。廃止日がはっきりしないので2005年度に廃止の可能性もある。2本とも日本ケーブル製でこれにより国内の屈曲式チェアリフトは全廃となった(はず)。
なお、グリーンピアなかがわは、全国に展開されていた簡易保険によるグリーンピアとは無関係。

○烏帽子岳高原リゾートスポーツの里

・烏帽子岳高原リゾートスポーツの里リフト (財)佐世保観光コンベンション協会 1993.4.1運輸開始
※人工芝スキー場用ペアリフトで同施設営業見直しでスキー場を廃止する事になり、2005年度いっぱいで営業を終了。おそらく2006年4月1日付の廃止と思われる。日本ケーブル製で、日本最西端の索道・リフトであった。これによって日本で最西端の索道は、長崎スカイウェイ中腹駅(山麓)となったが長崎スカイウェイは12月29日から休止となったため、現役では長崎ロープウェイ稲佐岳(山頂)駅となる
なお、最西端のリフトとなったのは諫早市のいこいの森たかきリフトだが、こちらは長期休止中なので現役としては天山リゾート第2リフトになる。

廃止・休止線はこの程度で収まるとは思えないが、取りあえずアップする。

執筆日:2006年12月26日
加筆日:2006年12月27日/1月4・11日/2月17日/3月1日

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2006.12.25

番外編:2006年度の索道動向:普通索道編

2006年度はまだ3ヶ月以上あるが、索道界としてはスキー場の新設索道が明らかになるこの暮れで、その全容がほぼ明らかになったと言っても過言でないだろう。そこで現時点で筆者が掴んでいる索道の動向を新設情報中心にまとめてみた。

正直言って、かなり抜けがあると思われるので、コメントでどんどん補足いただけるとありがたい。

まずは普通索道編。


◎新規開業普通索道

○ニセコ グラン・ヒラフ
・エースセンターフォーゴンドラ ニセコ高原開発(株) 2006.8.1運輸開始
※2006年度新設の普通索道は無いと思っていたら、とんだ伏兵が潜んでいた。→の「索道ニュース」でもお伝えしたように8月1日から10月9日まで、エース第2センターフォーリフトを流用してヒラフゴンドラのキャビンを使い、普通索道として営業した。白馬47とタングラムが2004年夏営業で導入したものと同様なクワッドの利用法だが、キャビンは夏冬兼用で使う点が新たな試みである。

◎休廃止普通索道
○稚内公園
稚内公園ロープウェイ 稚内市 1975.7.27運輸開始
※日本で最北の索道・ロープウェイである稚内公園ロープウェイが、利用者減と設備老朽化のため2006年3月31日限りで営業を終えた。最終営業日から2006年4月1日付の廃止と思われる。
この結果、日本最北のロープウェイは、大雪山層雲峡・黒岳ロープウェイとなっている。

○ニセコ東山スキー場
ニセコ東山ゴンドラ (株)プリンスホテル 1982.12.15運輸開始
※2005-2006シーズンでは休止と伝えられ、休止中のままコクドからプリンスホテルに譲渡された本ゴンドラは、キャビンを流用したアート作品が札幌近郊の公園で展示されており、プリンスの公式サイトのゲレンデマップからも抹消されている(ニセコ三山の共同サイトでは休止中として掲載)ので、休止中としても実質的には廃止と思われる。太平索道がミューラー社との提携で導入した単線自動循環式の最後の1本であった。

○ARAI MOUTAIN&SPA
・新井ゴンドラ 新井リゾート(株) 1993.12.19運輸開始
※運営会社である新井リゾートマネージメントの特別清算により、今シーズンの営業を断念。資産は外資系投資会社が保有しており、施設の保全のみを行って来シーズンからの運営者を探している。
安全索道製定員10名の立ち乗りゴンドラ。立ち乗りとしては、野沢温泉長坂(2代目)に次ぐ国内第2号機である。

○牛岳温泉スキー場
・牛岳ロープウェイ 富山市 1981.12.18運輸開始
※設備老朽化のため本ロープウェイでアクセスするユートピアゲレンデを今シーズン休止と告知している。このまま廃止の公算が高い。安全索道製交走式で、ワンスパンで谷を渡る。


○三峰山(埼玉県)

・三峰ロープウェイ 秩父鉄道(株) 1964.4.29運輸開始
※設備老朽化のため2006年5月19日から2007年5月31日までの予定で休止している。これを報じる中では、収支面で復旧に及び腰な様子も読み取れたので、発表どおり休止を終えるかどうか予断を許さない状況と思われる。

○箱根(神奈川県)
・箱根ロープウェイII期線 箱根ロープウェイ(株) 1960.9.7運輸開始
※三線自動循環式から複式単線自動循環式フニテルへの架け替えのため、2006年6月1日から2007年5月31日までの予定で運休中。2007年6月1日から新線の営業開始予定。2005年3月に宮島ロープウェイが二線自動循環式に改造され、後述の通り奈良ドリームランドスカイウェイが3月に休止されたため、この休止により日本独特の技術であった三線自動循環式は全て姿を消した。

○朝日村営鈴蘭シャンツェ(岐阜県)

・鈴蘭グループゴンドラ 朝日村 1996.2.10運輸開始
※『平成17年度鉄道要覧』には休止中として掲載されていたが、平成18年度版からは記載が無く、2005年度中、もしくは2006年4月1日付で廃止されたものと思われる。なお、朝日村は2005年2月1日付で高山市と合併しており、平成17年度版に朝日村として掲載されていること自体が問題であった。同シャンツェは現役ジャンプ台であり、2007年2月開催の第19回全国高等学校選抜スキー大会会場にも使われる予定である。運輸開始年から判るように老朽化とは考えにくく、運営コストが負担であったための廃止と思われるが、メーカーの太平索道が廃業した事も関係するかもしれない。高山市が2006年度に鈴蘭シャンツェの指定管理者を募集していたが、委託業務に索道は含まれておらず復活の目はなさそうだ。
本ゴンドラは、単線固定循環式を採用している点が珍しく、また普通索道完乗を目指す人には、競技関係者のみの利用となっていたために「乗れない」事で知られていた。
『鉄道ピクトリアル2001年4月増刊号 千年の京にありて』掲載の「単線固定式普通索道について」という記事が、本ゴンドラをまとめて紹介する数少ない文献と思われる。

○比良山スキー場
比良ロープウェイ 比良索道(株) 1962.8.16
※すでに本ブログでも取り上げたとおり2004年3月末を最後に休止していたが、『平成17年度鉄道要覧』には休止中で掲載されていたものの平成18年度版には記載がない。スキー場ゲレンデの復元作業の目途が立ったため、2005年度中か2006年4月1日付でリフト共に正式に廃止の手続きがとられたものと思われる。

○びわ湖バレイ
アルプスゴンドラ (株)びわ湖バレイ 1975.10.31運輸開始
※株式の大多数を持つ名鉄が、保有する全株を日本ケーブル系のNCリゾートに譲渡すると発表し、その報道の中で来季からはゴンドラを大型ロープウェイに架け替えると報じられた。筆者は、ゴンドラとは別位置にゴンドラの夏営業を行いながらの新線建設となると予想するが、今シーズンの終了と共に営業を休止する可能性も排除できない。営業を行った単線自動循環式普通索道では国内で2番目、現存する中では最古の施設であるので、機会があればこの冬に乗っておきたい。

○奈良ドリームランド

スカイウェイ (株)ドリームパーク 1961.7.1運輸開始
※『平成18年 鉄道要覧』に平成18年8月31日廃止予定として掲載されていたが、機器故障により2006年3月に運休し、そのまま再開することなくドリームランド廃園を迎えた。故障したのは制御盤らしく、代替の部品もないために簡単に修理とはいかなかったようだ。架設当時の機械がほぼそのまま残る三線自動循環式だったので、その廃線は惜しまれる。

○南レク御庄公園

御荘湾ロープウェイ 愛媛県 1977.8.10運輸開始
※設備老朽化と山頂駅付近を通る有料道路の無料化が決まり利用者減が見込まれるため、2006年3月31日限りで営業を終えると決定。実際は、3月27・28日の2日連続で宙吊り事故(27日は搬器が山麓駅構内で脱線、28日は4号柱脱索検出器誤作動)を起こし、29日に運休して総点検を行い、その結果、30・31日は運休となったために3月28日が最終営業日になった。稚内公園と同様、2006年4月1日付の廃止と思われる。
本ロープウェイは日本ケーブルが自社開発した単線自動循環式の最後の1本であり、この廃止によって純国産の単線自動循環式は姿を消した。
本ロープウェイが廃止され、2006年度に立山山麓ゴンドラが富山県から富山市(ないしは同市3セクの大山観光開発)に移管されたため、県営の普通索道は消滅した。

執筆日:2006年12月25日
加筆日:2006年12月26/27日

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2006.06.22

眉山ロープウェイ ~ひょうたんビュー号

Bizan01

眉山ロープウェイ
事業者名:徳島市
公式サイト:http://www.awaodori-kaikan.jp/bizan-ropeway/
所在地:徳島市新町橋2丁目20番地
キロ程:787m
支柱基数:不明
高低差:不明
最急勾配:不明
輸送能力:不明
搬器台数:2群4台
速度:不明
動力:電気
許可年月日:1957年1月16日
運輸開始年月日:1957年12月1日
現設備開業:1999年7月31日
種別:普通索道
方式:単線交走式
搬器定員:15人
山麓駅:緊張停留場
山頂駅:原動停留場
索道メーカー:安全索道
搬器メーカー:不明
鋼索メーカー:不明

観察日:2002年5月18日

高鷲スノーパーク SPゴンドラのコメントで、眉山ロープウェイの話題が出たので、レポートをまとめてみた。

以前ここには三線自動循環式普通索道があったが、1997年1月3日限りで架替のために運休となり、1999年7月31日に現設備が開業している。

旧設備は三線自動循環式の国内第3号で、1982年に搬器交換を行った以外には大きな改造が行われず、原形で残っていた日本ケーブル製三線自動循環式の最後の1基だった。主要仕様は以下の通り。

キロ程:792m
支柱基数:7基
高低差:258.49m
最急勾配:26度16分
輸送能力:480人/時
搬器台数:12台+1台
速度:2.0m/s
動力:電気 56kw
方式:三線自動循環式
搬器定員:8人
索道メーカー:日本ケーブル

旧免許を生かした変更認可で架け替えた場合『鉄道要覧』の運輸開始年月日は旧設備のものが引き継がれるが、なぜか平成15年度『鉄道要覧』より本ロープウェイの運輸開始年月日は現行設備のものが記載されている。

さて、現行設備は旧山麓停留場跡に建てられた阿波おどり会館の5階に山麓停留場を設けている。徳島駅からほぼ直線に約800mの場所に位置し、県庁所在地の代表駅であるJRの主要駅からこれだけ近いロープウェイも珍しい。中心市街地にあるので周辺の駐車場は全て有料。ロープウェイが目当てで出かけるなら、山頂の無料駐車場に止め、山頂から山麓を往復という手段も使える。

Bizan02

このように画像で見ると建物の5階が停留場というりも、ビルの屋上に停留場があるという感じだ。

Bizan03

こちらは山頂駅の内部。原動機は写真右側の停留場外にあるようで、原動軸がホーム床下を通り、原動滑車下部の床面に置かれた減速機に接続されている。減速機と滑車を結ぶ太い軸が目立つ。滑車にカバーが付けられており、このままの設備では循環式にはならない事が分かる。俯瞰するような位置からの撮影なのは、山頂停留場の乗り場は一段低い位置にあるので、高い通路を通り、階段を下りて乗り場に向かうようになっているため。

Bizan04搬器床下には停留場床面のガイドレールに対応したバーと、おそらくドア開閉用のバーがあり、後者を油圧により掴んで動かすことで、ドアの開閉と乗降時の搬器動揺を抑えているようだ。安全索道では同等の設備を榛名山ロープウェイでも架設しているが、こちらの搬器はCarvatech社のサイトに画像が掲載されており、同社の前身であるSwoboda社製と思われる。したがって、ほぼ同形状のこちらの搬器もSwoboda社製の可能性が高いが、サスペンダーとの接続方法が異なるなどの差異もあり、デザインを似せて他社で製作した可能性も否定できない。

安全索道では、この形式を「単線固定交走式パルスロープウェイ」と称しているが、交走式なので固定もパルスも当たり前で、変なネーミングだ。本来は単線固定循環式として開発していた設備の設計を流用したが故のネーミングだと思うが、「馬から落馬」などと同様の本来は誤った表現だと思う。現設備の建設中に現地を訪問した筆者は「パルスロープウェイ建設中」の看板を見て、すっかり固定循環式が建設されるものと思い込んでしまった。

本ロープウェイには設備更新にあたり「ひょうたんビュー号」という愛称が付けられた。丸い搬器が2台連なる姿をひょうたんに例えたかと思っていたら、これは不正解で、山頂から「ひょうたん島」がよく見えるからだそうだ。ひょうたん島というと「ひょっこりひょうたん島」に出てくる島を思い浮かべるが、徳島沖にひょっこりひょうたん島があるわけではない。三角州に発達した徳島市街地を形成する中洲のうち、助任川と新町川に囲まれ、城山や徳島駅、市役所などが立地する中心市街地がある中洲をその形状から「ひょうたん島」と呼び、そこがよく見えるという意味だそうだ。

速度は不明だが、所要時間は約6分ないしは約7分と紹介されているので、おそらく2.0m/sだと思われる。また、混雑時には約3分の急行運転が可能と記された紹介もあったので、設備上の最高速度は4.0m/sで設計されているのかもしれない。

執筆日:2006年6月22日

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2006.03.02

御荘湾ロープウェイ ~この3月で消える現存唯一の純国産ゴンドラ

MISHOUWAN01

御荘湾ロープウェイ
事業者名:愛媛県
施設名:南予レクリエーション都市公園(御荘公園)
公式サイト:http://www.insnet.ne.jp/hp/nanreku/misyoukouenn.htm
所在地:愛媛県南宇和郡愛南町御荘平城
キロ程:1566.37m
支柱基数:11基
高低差:155.20m
最急勾配:24度7分
輸送能力:900人/時
搬器台数:72台
速度:3.5m/s
回転方向:時計
動力:電気 110kw
許可年月日:1977年1月27日
運輸開始年月日:1977年8月10日
建設年:1977年7月
種別:普通索道
方式:単線自動循環式
搬器定員:4人
山麓:不明
山頂:不明
索道メーカー:日本ケーブル
鋼索メーカー:不明

観察日:2000年5月4日

2月28日付の愛媛新聞に御荘湾ロープウェイ廃止の記事が載ったためか、キーワードを「御荘湾ロープウェイ」として検索、本ブログに来られる方が増えたようなので、この冬の北海道ツアーレポートを中断して、御荘湾ロープウェイを取り上げよう。

この御荘湾ロープウェイは、愛媛県が計画した南予レクリエーション都市公園の一環として架設された普通索道だ。ロープウェイという名称ながら、実際は「ゴンドラ(リフト)」という呼び名の方が一般的な単線自動循環式である。

世界最初の単線自動循環式は、1927年に安全索道が三重県に架設した「矢ノ川峠旅客索道」であるが、これは索道発達途上の過渡期の製品で、この方式は国内においても世界的にも安全性の面からしばらくは顧みられなかった。その後、技術発達を受けて欧州で研究が進み、国内では1973年に安全索道が仏国ポマガルスキー社の機械を輸入して、五竜とおみスキー場(現 白馬五竜)に戦後の第一号となる五竜テレキャビンを架設した。のちに同社は、技術提携によりポマガルスキー社のゴンドラの国内生産を開始し、現在に至っている。

一方、日本ケーブルでは純国産技術による単線自動循環式普通索道の製品開発を目指し、五竜テレキャビンと同じ1973年に北海道横津岳で架設したが、施主側の諸般の事情により営業を断念している。その日本ケーブルの第二号機・・・営業機としては第一号となるのが、この御荘湾ロープウェイである。同社では、78年に第三号機となる札幌国際スカイキャビンを建設したが、その後は他の国内メーカーと同様に欧州メーカーとの技術提携路線に方針を転換し、オーストリア・ドッペルマイヤー社のシステムを導入したため、純国産ゴンドラは実質的に2路線。札幌国際スカイキャビンは1989年に現行の8人乗りに架け替えられたため、現在ではここが唯一の純国産ゴンドラとなっている。

つまり、国内索道技術史において、注目すべき設備なのだ。

また、海中に支柱を持つ、海上ゴンドラというロケーションも国内唯一と思われる。

ということで、筆者は以前から行きたいと思ってはいたが、四国で最も不便な地域の一つである南伊予にあるために、なかなか行くチャンスに恵まれなかった。2000年のGWに、宇和島と高知で行きたいイベントが開催されたのを好機に、宇和島~御荘湾~高知という計画を立てた。宇和島を朝出て、快調ながらも長いドライブの末に飛び込んできたのがこの看板だ。(実はこのあと、高知までの方が遠いし、道は混んでいて大変だった)

MISHOUWAN05

ゴンドラの搬器を使った看板は、白馬山麓の岩岳でも見たが、あちらは明らかに模造品。しかし、これは必要以上に精巧に出来ている。本物ではないかと疑って、見れば見るほど本物に見える。

MISHOUWAN06その結果発見したのが、この銘板だ。看板用の模造品で、ここまで再現する必要はないだろう。余剰・・・あるいは故障搬器の転用だと思われる。代替搬器が作られたかどうかが気になるが、自動循環式索道の搬器は、多少の余裕があるのが通例なので、代替は無かったのかもしれない。そうなると上述のスペックにある搬器台数は間違っている事になる。

MISHOUWAN02

これが山麓停留場だ。簡素な建物だが、スキー場のゴンドラにはもっと安っぽい、鋼板張りも多いので、それよりは建物らしい。停留場を出るとすぐ海で、トップ画像のように何本かの支柱が海中に建つ。ただ、非常に浅い海で、干潮時には限りなく干潟に近いような状態になるようだ。

山頂停留場の横には、回転展望塔があり、タワーを真ん中にしたドーナツ型の展望室が、回転しながら上昇する。これも日本ケーブルの製品だ。こちらも今後が心配だ。

MISHOUWAN03

話を本題に戻そう。時代を感じる仕様の掲示。

MISHOUWAN04こちらは停留場機械に取り付けられていた銘板だ。日本ケーブルでは、単線自動循環式普通索道の商品名をゴンデルバーンとしていたようだ。前述の札幌国際スカイキャビンも資料によっては朝里岳ゴンデルバーンという名称になっている。

さて、廃止の話。1980年度の年間約74000人の利用をピークに、99年以降は1万人台の利用(2004年度は約11000人)に落ち込んでいるために、愛媛県ではこの3月31日を最後に営業を廃止するそうだ。これを記念して3月21~31日の間、次のイベントが企画されている。

○往復料金を100円(大人・子供共)
○先着1000人に木製の乗車記念切符贈呈
○スピードくじ実施(商品は「ホテルサンパール」の宿泊券など)
○山麓駅に記念撮影用のゴンドラを設置

3月31日は、稚内と南予という日本の南北でロープウェイ・ゴンドラが最終日を迎えるわけだ。合掌

執筆日:2006年3月2日

3月28日付け四国新聞記事によれば、27日14時40分ごろ、山頂駅の場内レールで搬器が脱輪したため全線で一時運転を止め、脱輪した搬器を取り除くまで30分ほど宙吊りになったそうです。どうも後続の搬器が停止した搬器に当たり、せり上げるような形になったので脱輪したようです。試運転中の事ではありますが、同様のトラブルは筆者も見たことがあり、場内でのトラブルは自動循環式の泣き所ですね。場内で脱輪すると人手で持ち上げるしかないため、たぶん人を集めるのに時間がかかったのでしょう。安全上の問題は小さい事故ながら、事故に遭遇された方は不安だったでしょう。お見舞い申し上げます。あと僅かですから、トラブルなく最後の日を迎えて欲しいですね。
3月28日追記

28日には4号支柱で脱検が誤作動し、約1時間停止。29日に運休して点検した結果、30・31日も運休をする事になりました。結局、無事に最後の日を迎えられなかった事になります。ああ~
3月31日追記

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2005.08.28

松山城リフト

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松山城リフト
事業者名:松山市(産業経済部)
公式サイト:http://www.city.matsuyama.ehime.jp/matsuyamajo/siro/ropu/
所在地:愛媛県松山市大街道3丁目2-46
キロ程:329m
支柱基数:不明
高低差:不明
最急勾配:不明
輸送能力:不明
搬器台数:不明
速度:不明
動力:電気
許可年月日:1966年2月8日
運輸開始年月日:1966年7月13日
種別:特殊索道
方式:単線固定循環式
搬器定員:1人
山麓:緊張
山頂:原動
索道メーカー:安全索道

観察日:2002年1月3日

松山城ロープウェイに平行して架設されているリフト。

ちなみにロープウェイとリフトの山麓駅前の道は、松山空港から松山駅・松山市駅を経て奥道後方面に向うバスが通るので、索道乗り潰しには便利。ただし、一方通行のため、奥道後から空港に向うバスはロープウェイ前を通らないので要注意だ。

MATUYAMASL02

乗車券はロープウェイと共通なので、天候が許せば、上りはロープウェイ、下りはリフトにすると見晴らしが良い。

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山頂駅になぜか外しておいてあった搬器。整備用に予備搬器があるのかもしれない。あるいは、訪問時には一部を外して整備していたのかも。

MATUYAMASL04

新設時に設置されたと思われる銘板。現在は滋賀県にある安索の本社が、当時は大阪であった事がわかる。

2004年5月24日~10月31日まで運休し、リニューアル工事が行なわれた。機械装置一式を撤去して新設されたようなので、実質的な架替と思われる。公式サイトでさえも、リニューアル後の画像が無いので現状が不明だが、一人乗りのままだとすれば、国内最新のシングルリフトかもしれない。

執筆日:2005年8月28日

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2005.08.27

松山城ロープウェイ ~四国最古のロープウェイ

MATUYAMARW01

松山城ロープウェイ
事業者名:松山市(産業経済部)
公式サイト:http://www.city.matsuyama.ehime.jp/matsuyamajo/siro/ropu/
所在地:愛媛県松山市大街道3丁目2-46
キロ程:327m
支柱基数:3基
高低差:62.36m
最急勾配:23度08分
輸送能力:300人/時
搬器台数:2台
速度:3.6m/s
動力:電気
許可年月日:1955年2月2日
運輸開始年月日:1955年8月7日
種別:普通索道
方式:三線交走式(1支索2えい索)
搬器定員:51人
山麓:
山頂:
索道メーカー:安全索道
搬器メーカー:大阪車輌工業(1997年)

観察日:2002年1月3日

松山を代表する観光地「松山城」に登るロープウェイ。平行してリフトも架かり、乗車券は共通となっている。天守閣入場券と索道往復がセットになった券もあるが、割引となっているわけではないので、あまり意味は無い。

MATUYAMARW02

搬器の塗装は、訪問時行なわれていた「松山城400年祭」の一環としてなされていた記念塗装。たぶんラッピングだとは思うが確認はしていない。

奥道後ロープウェイで書いたように、筆者は幼児の頃に松山在住であったので、おそらく初めて乗った索道はここだと思われるが確証はない。

一般営業用として正式に許可を受けた普通索道としては、四国最古だ。

執筆日:2005年8月27日

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2005.08.26

奥道後ロープウェイ ~来島ドックの置き土産

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奥道後ロープウェイ
事業者名:奥道後国際観光株式会社
公式サイト:http://www.okudogo.co.jp/hotel/index.html
所在地:愛媛県松山市末町267
キロ程:1168m
支柱基数:2基
高低差:476m
最急勾配:34度39分
輸送能力:327人/時
搬器台数:2台
速度:3.6m/s
動力:電気 100kw
許可年月日:1963年12月19日
運輸開始年月日:1964年12月25日
種別:普通索道
方式:三線交走式(1支索2えい索)
搬器定員:41人
山麓:
山頂:
索道メーカー:日本ケーブル
搬器メーカー:武庫川車輌 1993年

観察日:2002年1月3日

企業再建王として一世を風靡した坪内寿夫率いる来島ドックグループが開発した温泉リゾートの一角にあるロープウェイ。今は、来島ドックの中核事業を引き継いだ新来島ドックとは無関係のようだ。系列会社である奥道後温泉観光バスが事業者であった時期があったが、2004年4月26日付で奥道後国際観光に譲渡された。

筆者は奥道後の開業当時に松山在住で、親に連れられ何度か遊びに行った記憶がある。坪内オーナーが映画館主から身を起こしただけあり、園内に映画館があったほか、動物園などもあったような気がする。いま思えば、開業直後のロープウェイに乗った事になるようだ。

1982~83年頃にも来たが、そのときは山頂の少し下にあった奥道後YHの建物が廃墟になっていたのを見た覚えがある。

トップ画像は奥道後を象徴するようなアングルで、バックがホテル奥道後。夏には山頂で松山市内の夜景を眺める屋外ビアレストランの営業があるそうで、機会あれば行きたい。ケーブルカーで行くビアガーデンは、高尾山ケーブルにあるが、ロープウェイはここの他にどこかあるのだろうか?

訪問日は正月だったので、ジャングル風呂はそれなりに利用があったが、冬にロープウェイに乗る物好きは皆無で、乗車したのは我々一行(@nifty鉄道フォーラムのオフで訪問)のみ。JAF会員割引の対象施設だが、同行者の割引は家族に限るという説明で、適用されたのは私だけ。これまで多くの施設でJAF割引を受けたが、家族のみというのは初めてで、その後もない。

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こちらは山頂方面を見上げたアングルで、支柱基礎の土留工事を行なっているのがわかる。こういう安全に関わる部分に手を入れているのを見ると信頼度が高まる。

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搬器内外の検査票と銘板。1993年に武庫川車輌製の搬器に交換した事がわかる。すでに日ケーではCWAが主流の時代で、国産搬器の採用は珍しい。納期か価格の問題だろうか?

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こちらが山麓駅に掲示されていた仕様表。

執筆日:2005年8月26日

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2005.03.04

箸蔵山ロープウェイ ~国内唯一の複式単線交走式

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箸蔵山ロープウェイ
事業者名:箸蔵山ロープウェイ株式会社
公式サイト:http://www2.ocn.ne.jp/~ropeway/
所在地:徳島県三好郡池田町字州津藤ノ井559番地14
区間:登山口~箸蔵寺
キロ程:948m
高低差:342m
支柱基数:憶えてません
輸送能力:417人/時
速度:5.0m/s
動力:電気
許可年月日:1998年12月25日
運輸開始年月日:1999年4月1日
種別:普通索道
方式:複式単線交走式普通索道(Double Loop Mono-cable)
搬器定員:32名
搬器台数:2台
山麓:油圧緊張
山頂:原動(300kw)
索道メーカー:日本ケーブル
搬器メーカー:CWA

観察日:2002年5月12日

古くより「こんぴら奥の院」として信仰をあつめる真言宗別格本山「箸蔵寺」参拝用のロープウェイ。戦前は箸蔵登山鉄道が鋼索鉄道を運行していたが戦時撤去となり、1971年に旧ケーブルカーの路盤に平行してリフトが架設された。さらに、リフト終点から本殿の近くまで交走式ロープウェイが同時に開業し、戦前よりも参拝の便が改善された。その後、1977年にリフトに平行した交走式ロープウェイが開業している。このあたりの経緯と状況は『鉄道ピクトリアル1994年1月号』掲載の「鋼索鉄道の遺構がある箸蔵山」という記事にまとめられている。

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今も登山口駅の後に鋼索鉄道のコンクリートアーチ橋が残る

この2本のロープウェイとリフトに代わる路線として建設されたのが現在の箸蔵山ロープウェイ。大門前停留場での乗り継ぎを解消し、山麓から山頂まで1本で結んでいる。

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今の登山口駅。バックのやや高い位置の看板がある建物は旧ロープウェイ山麓駅の一部。

今のロープウェイの特徴は、日本で唯一の複式単線交走式であることだ。箱根ロープウェイの複式単線自動循環式に先立って登場しており、国内のフニテル方式複式単線の第1号機でもある。複式単線というのは、2本の支えい索を用いる方式で、DMC(Double Mono Cable)という2本の支えい索を使うタイプとDLM(Double Loop Mono-cable)という1本のロープが2周する形式がある。DMCではロープの同調をとるのが難しく、国内で導入されているのは、全てDLMとなっている。

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山麓駅に置かれていた、DLMのロープの取り回しを説明する模型。上が原動停留場、下が緊張停留場となっており、原動停留場の真ん中にある滑車が原動滑車。左側の外側ロープが原動滑車で折り返し右側の内側ロープとなり、真ん中の緊張滑車で折り返して、左側の内側ロープとなり、再び原動滑車で折り返して右側の外側ロープとなり、両外側の緊張滑車で折り返して左側の外側ロープになるわけだ。

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これが山頂の原動装置。前述のロープの取り回しがわかる(はず)。内外の支えい索を搬器の幅より広く張る事で、搬器は左右2ヶ所で支持される形になるので、横風による横揺れが防止され、風に強くなるのが特徴。基本は自動循環式なので、ここでも握索機は自動循環式と同じものを使っている。

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ロープの間隔が広いので、支柱が大がかりになるのが、この方式の欠点かもしれない。

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搬器は、オレンジ色と黄色の2台。定員は旅客31名+車掌1名の32名。

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折りたたみ式の座席があるが、大半は立席になるため、このようななんと呼んだら良いのか良く判らない転倒防止のひもが天井から吊られている。(「吊り玉」? 「握りひも」?) これはCWA搬器でよく見られ、交走式で搬器メーカーが不詳の時に判別に役立つ。

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搬器内のメーカースプレート。ぶれてしまって読みにくいが、搬器タイプは「フニテル エボルーション 31+1」と読める。エボルーションという事は、ベーシックタイプもあるのだろう。

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索道としての仕様表

(2005年3月4日執筆)

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