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2006.07.22

索道の種類~複式単線自動循環式普通索道

複式単線自動循環式とは、1台の搬器を2条の支曳索で支える自動循環式索道で、支曳索に2本のエンドレスロープを使うDMC(ダブルモノケーブル)と1本のエンドレスロープが2周するDLM(ダブルループモノケーブル)の2種類があるが、国内で実績があるのはDLMのみである。また、国内では搬器幅よりも2条の支曳索の間隔が広いフニテル方式しかないが、本方式が必ずしもフニテルとは限らない。

ロープの取り回しについては、複式単線交走式を参考にして欲しい。

国内では箱根ロープウェイ一期線(早雲山~大涌谷・複線自動循環式)のリプレース時(2002年)に初めて導入され、その後、蔵王ロープウェイ山頂線(複線交走式)、谷川岳ロープウェイ(複線自動循環式)のリプレースに採用された。さらに、箱根ロープウェイ二期線の本方式へのリプレースが進行中だ。

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フニテル方式複式単線自動循環式普通索道の例:蔵王ロープウェイ山頂線

握索機は2個1組が左右に取付けられ、1台の搬器で4台の握索機を使う。風に強いことは、素人目にも直感的にわかるだろう。

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蔵王ロープウェイ山頂線・山頂駅

停留場機械は、基本的には単線自動循環式と変わらず、ロープの取り回しが違うだけだ。この画像では、場内押送や加速押送のゴムタイヤがよく見える。

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蔵王ロープウェイ山頂駅では、機械室内を見ることができる窓が設けられていた。このように機械を積極的に見せるロープウェイの駅は、増加傾向にあるようだ。

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新型であることを強調したいようで、このような掲示があった。(画像をクリックすれば拡大する)

本方式の特徴は、単線自動循環式よりも搬器の大型化が可能なため、多人数のグループや複数グループの相乗りの誘導、車椅子への対応が容易であり、さらに大スパンへの対応も可能という点にある。すなわち、輸送能力の大きさの点で単線自動循環式の、大型搬器と大スパンという点で複線交走式の利点を併せ持ち、ほぼ同等の利点が期待できる複線自動循環式に対しては、風に強いフニテル方式の採用が可能という点で優位性がある。

したがって、超長大スパンが必要などの特殊条件がない限りは、索道としては理想的な能力を持つが、支柱などが大掛かりなるのが難点であり、恒常的に大きな輸送力を必要とする路線でないと導入は難しいだろう。

執筆日:2006年7月22日

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