索道メーカー 三菱重工業
日本を代表する重工メーカーである三菱重工業は、郵便汽船三菱会社が官営長崎造船所の払い下げを受けたことに始まり、三菱造船を経て1934年に三菱重工業となった。第二次世界大戦での敗戦により、財閥解体の対象となり、1950年に西日本重工業・中日本重工業・東日本重工業に三分割されたが、1964年に名目上は中日本重工業に2社が合併する形で現在の三菱重工業となった。そのため会社としては、中日本重工業設立の1950年が設立年となっている。
このように伝統ある重工業メーカーであるが、索道分野への参入は遅く、リゾートブームとなった昭和末期にガラベンダ社(スイス)とリフトエンジニアリング社(アメリカ)と提携、1989年に初めての実績を今金町ピリカスキー場とマウンテンパークのペアリフトで残した。この頃の同社は、リゾート施設の一体受注を狙っていたようで、圧雪車「ベルベア」の開発販売を行ったほか、広告を見る限りでは人工降雪システムへの参入も目指していたようだ。他にも汎用の技術であるコージェネシステムやナイター施設、ITV装置などがスノーリゾート関連の商品ラインナップに並んでいた。
しかしながら、この戦略は不発に終わった様で、ベルベアの販売も終了し、日本索道工業会からも撤退している。
ガラベンダの提携製品として建設した、単線自動循環式の新神戸ロープウェイや交走式の旭岳ロープウェイという大型施設は今も盛業中である。
しかし、リフトエンジニアリング社との提携製品であるYANリフトの自動循環式は、一時は合理的な設計と優れたデザインで一世を風靡したものの構造的な問題があったようで、本国のアメリカでも問題が多発し、北米でのスキーリゾートブームの落ち着きも伴ってリフト社自体が廃業、三菱が建設した製品も故障の多発で稼働率が低く、デタッチャブルリフトはすでに全基がリプレースされている。
三菱YANのデタッチャブルクワッド:ホワイトピアたかす 第2クワッドリフト
同形リフトとしては最後の現役機であったが、昨シーズンに日ケ製クワッドにリプレースされた
三菱YANの固定循環式リフト:網走レークビュースキー場 第2リフト
三菱YANでも固定循環式は何基かが現役中
ガラベンダ社は以前から日ケの提携先であるドッペルマイヤー社と提携関係にあったため、(三菱重工が現在、どの程度メンテに関与してるかわからないが)同社との提携製品のメンテは、それほど問題がないものと思われる。そのためかどうか判らないが、新神戸ロープウェイは日ケ系の会社が指定管理者になり三菱製のゴンドラの運営を行っている。
これまでに取り上げた、日本ケーブル、安全索道、東京索道、太平索道、小島製作所、JFEメカニカル、三菱重工の7社が(筆者の知る限り)平成になってから日本索道工業会に加盟していた実績のあるメーカーである。次回以降で、加盟実績のない現役メーカーを取り上げたい。
執筆日:2006年12月19日
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