カテゴリー「シュレップリフト」の記事

2007.02.19

ロックバレーテレキット ~もしかして日本唯一のテレキット?

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ロックバレーテレキット

事業者名:(株)フォーレストパーク
公式サイト:http://engaru.jp/kankou_information/chiiki/en/ski/ski.html
所在地:北海道紋別郡遠軽町字野上
キロ程:303m
支柱基数:4基
高低差:69m
最急勾配:不明
輸送能力:549人/時
搬器台数:50台
速度:不明
回転方向:時計
動力:電気
許可年月日:1980年7月31日
運輸開始年月日:1980年12月25日
種別:特殊索道
方式:単線固定循環式(滑走式)
搬器定員:1人
山麓:原動停留場
山頂:緊張(重錘)停留場
索道メーカー:安全索道
鋼索メーカー:不明

観察日:2007年2月7日

遠軽町遠軽地区の市街地外れにあるロックバレースキー場初級者コースにある滑走式リフト(旧丙種特殊索道)。『民鉄要覧』によれば、架設時の事業者は(株)ビーエム観光で後に(有)ロックバレーに譲渡され、1996年に同社が(株)フォーレストパークと商号を変更したらしい。遠軽町の合併協議会の資料によれば、(株)フォーレストパークは平成8年設立の第3セクターとなっており、商号変更という『民鉄要覧』の記述が正しくないのか、株式会社に移行した日を設立としているのかよく判らない。ともかく、現在の事業者である(株)フォーレストパークは遠軽町が49%出資する第3セクターである。

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これがスキー場の全景。1枚バーンのコースの山に向かって右側にトップまで登るリフト、左側の緩斜面部分にテレキットが架設されているのが判る。

滑走式リフトで一般的なのはスプリングボックスに巻き取られたロープの先端にプラッタースティックかTバーが取り付けられている方式で、シュレップリフトとかJバーリフト、Tバーリフトと呼ばれる方式だ。しかし、このテレキットは仏国ポマガルスキー社が開発した方式で、スプリングボックスとロープの代わりに伸縮式のポールを使う。このロックバレーテレキットが国内第一号という事であるが、筆者はここ以外に存在を知らない。もしかしたら、唯一の存在ではないかと思っているが、どこか他でも存在していたことをご存知の方は教えてほしい。

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これが山麓原動停留場。一般的なシュレップリフトよりも簡易な構造の原動装置である。

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原動装置をよく見るとポマガルスキー社のメーカーズプレートと色あせた安全索道のメーカーズプレートがあった。

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これがテレキットの搬器。乗車中に片手撮影した。二重になったアルミパイプが、突っ張り棒とは逆向きに作動すると考えると理解しやすいだろう。

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上下線で段違いになっているのは、滑走式リフトでは良く見られる形式。

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これが山頂停留場の降り場である。

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緊張装置も原動装置と同様に簡易な構造。

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降り場にある標識にもポマ社のマークが入っているが、これも輸入品なのだろうか? そうだとしたら、進入禁止は日仏で同じマーク?

とにかく筆者としては、テレキット初体験で、これが見たいがために遠軽まで足を伸ばした次第。大満足だった。

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こちらはテレキットとペアリフトの乗車券。さすがに1回券の利用は少ないのか、テレキットの乗車券には「平成8年シーズン終了まで」と書かれている。料金の訂正が行われているので、ミスプリではないだろう。ということは10年前に印刷した乗車券と思われる。シンプルな様式だが北海道のロコスキー場としては平均的なレベルだろう。

執筆日:2007年2月19日

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2006.01.09

柳津温泉スキー場 第2リフト ~国内生息希少種

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柳津温泉スキー場 第2リフト
事業者名:柳津町
スキー場名:柳津温泉スキー場
公式サイト:なし
所在地:福島県河沼郡柳津町小椿
キロ程:397m
支柱基数:5基 中間屈曲所あり
高低差:85m
最急勾配:不明
輸送能力:514人/時
搬器台数:不明
速度:不明
回転方向:時計
動力:電気 22kw
許可年月日:1979年7月4日
運輸開始年月日:1980年1月9日
種別:特殊索道
方式:単線固定循環式(滑走式)
搬器定員:1人
山麓:原動
山頂:重錘緊張
索道メーカー:日本ケーブル
鋼索メーカー:不明

観察日:2005年12月24日

いよいよ目当ての第2リフトだ。第1リフト終点から、ほとんど平坦ながらやや高く離れた位置に山麓停留場がある。国内では以前から少数派の滑走式のシュレップリフト・・・つまり旧丙種特殊索道というわけだ。ロープトゥとは似て非なるものだが、果たして一般スキーヤーのうちで区別がつく人がどれぐらいいるか疑問だ。それ以前に、ロープトゥも旧丙種も乗ったことがなかったり、見たことがない人も多いに違いない。

ちなみに滑走式の総称としてシュレップリフトと呼ぶようだが、2人乗りは搬器形状からTバーリフトと称する事が多いので、シュレップリフトという場合はたいていは1人乗りだ。また1人乗りをJバーリフトと称する事もある。野沢温泉では一人乗りをジェッターリフトと称していたが、Jバーが訛ったのか、メーカー(安索)がそう称していたのか判らない。とにかく野沢のシュレップも今は無い。なお、ロープトゥの類でもTバーを称する事があるようなので、これまた事情を複雑にする。

珍しいのはこれだけでないが、まずは乗車してみよう。

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原動装置は小型で、見るからに安価そうである。ここで搬器のプラッタースティックを掴み股間に挟んでいると、みるみるナイロンロープがスプリングボックスから伸び、牽引を始めるという仕組みだ。

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乗車中は、こういう感じになる。もう少し滑走面の均一の勾配に整地し、圧雪をしっかりしてあればもっと快適なのだが、この状態ではけっこう疲れる。そして前方にそびえるタワーは終点ではなく、中間屈曲所だ。これが、本リフトの最大の特徴である。

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これが斜め上方から見た屈曲所だが、これではロープの取り回しがわからないだろう。そこで画像に加筆してみた。

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黄緑が上り線の支えい索、青が下り線の支えい索だ。内側屈曲になる上り線は、屈曲滑車で少し曲がるだけだが外側屈曲になる上り線はそう簡単にいかない。反対に曲がって、対になる屈曲滑車でもう一度折り返して山麓に向うのだ。レールファンがループ線方式の屈曲と称するのを読んだ事があるが、なかなか的確な表現だ。

貨物索道では古くからある一般的な屈曲方式だそうだが、チャアリフトでは交差部の高低差が大きく必要となるうえに搬器下が高くなりすぎるのであまり例が無い。筆者が知る限りでは、九州大和索道が手がけた別府ラクテンチのリフトと福岡県サンビレッジ茜リフトの2本があったが、前者は廃線、後者は直線のリフトに架け替えられた。

シュレップリフトではこのように比較的コンパクトに済ませることができるので、この種のリフトが多いヨーロッパでは珍しくないそうだが、国内では筆者が知る限りここだけだ。教えていただいたさいとーさんに感謝感謝、どれだけ感謝しても多すぎる事は無い。本当にありがとうございます。

さいとーさんの「スキー場四方山話」内の“雪山千夜一夜物語”に訪問記があるので、ご一読をお勧めする。

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曲がってしまえば、あとは山頂まで一直線だ。

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これが山頂停留場。平らな位置に載ったところで、プラッターを股間から外して手を離すと、ナイロンロープがするするとスプリングボックスに巻き上げられる。

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これが緊張装置。ロープを巻き取る時間が必要なので、降り場からけっこう離れている。そのため、山麓のコンパクトさに比べて、山頂ではけっこうな広さが必要になる。

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第2リフトのかかるゲレンデの全景。ゲレンデの外縁にそって屈曲させているのがわかる。

ゲレンデ自体はさらに高い位置まであるので、競技などではさらに上まで登るのだろう。第1リフト中間駅から上の斜面も含め、そこそこ変化があり、中級者でも楽しめる斜面だとは思う。ただし、第1リフトと第2リフトの間にレストハウスがあり、コース自体はレストハウスを迂回して滑れるようになっているものの、第1リフトと第2リフトの乗継が良くないので、第1リフト中間駅まで一気に滑る気が起きず、実にもったいないレイアウトだ。

筆者訪問時では、ボーダーはシュレップを嫌って第1リフトに集中、一方スキーヤーが第2リフトに集まり、自然に住み分けていたが、これが常態なのかどうかは知らない。

執筆日:2006年1月9日

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2005.02.16

パノラマJバーリフト

パノラマJバーリフト
事業者名:株式会社コクド
スキー場名:妙高杉ノ原スキー場
公式サイト:http://www.princehotels.co.jp/ski/myoko/index.html
所在地:新潟県中頸城郡妙高高原町杉野沢
キロ程:1282m
高低差:266m
輸送能力:600人/時
動力:電気
許可年月日:1979年9月10日
運輸開始年月日:1980年1月5日
種別:特殊索道
方式:単線固定循環式
搬器定員:1名
搬器台数:不明
山麓:不明
山頂:不明
索道メーカー:日本ケーブル

観察日:2004年1月25日

日本では数少ない滑走式(旧丙種特殊索道)=シュレップリフトの生き残り。シュレップは座って休むわけにはいかないが、速度はクワッド並なので、滑走本数を稼ぐには有利。疲れるという事で人気が無かったが、私は体力がある若いうちは好きだった。確かに今は辛いと感じることもある。

Jバーは主に日本ケーブル製で使われる製品名で、安全索道製ではジェッターリフトと呼ばれていたようだ。(野沢温泉スキー場に何基かあった)2人乗りは、両者ともTバーだ。

普通のリフトとは違って、途中で降車されても特に危険は無く、ここではJバーの線路を境にゲレンデとパークが別けられているために、パークに向かうボーダーの中には、終点まで乗らずに途中で降りてしまう人も多い。スキー場もそれを黙認しているように見える。

リフトの降車でも転ぶボーダーが多いので、シュレップは辛いのではと思うが、意外と上手く乗りこなしているような見えた。転ぶ人はスキーヤーよりも多いように思えるが、スキーヤーでも初心者はよく転ぶのがシュレップで、以前ここに乗ったときに、転んだスキーヤーがしがみついてきたので、振りほどいたことを思い出した。閑話休題。転倒者がいても避けることができるのがシュレップの良いところで、意外とシュレップとボーダーの相性は良いかもしれない。

(2005年2月16日執筆)

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